悪役令嬢を攻略するのはヒロイン♂でした
はじめまして!よろしくお願いします
「昔々あるところに可愛いお姫様がいました。お姫様は国中のみんなから愛されていて国王も女王もお姫様を可愛がっていました。ですが悪い魔女から呪いをかけられました。それは……あら、もう寝ちゃったわね」
「今日はエミルと沢山遊んだからね、きっと疲れているのだろう」
寝息をたてて寝ている女の子を見て母親やしき女性と父親らしき男性が微笑んだ。
「おやすみなさい、ローズ」
二人は可愛い我が子のほっぺたにチュッとキスをした。
この物語のようにローズが呪いがかけられませんように、ずっと幸せに暮らせますように、と願いを込めて。
しかし、この幸せは長くは続かなかった――――――――――。
「すまないローズ、私との婚約を破棄してくれ」
誰もいない放課後の学園で、この国の王子レオ・アレクサンドルは静かに告げた。
それとは反対にローズブロンシュ・エリーズは眉間に皺をよせた。
「なぜです? 私のどこが至らなかったのでしょうか。」
「ローズのせいではない、私はアンに恋をしてしまったのだ。」
アン、その名を出すとさらにローズは機嫌が悪くなる。
「いつもアン、アンって……レオ様はいつもそればっかり!! どうしたら私を見ていただけるのですか!?」
声を荒らげるとレオも機嫌が悪くなったのかキッとローズを睨む。その顔を見てローズはハッと我に帰る。
「す、すみません……言い過ぎました。」
「そういう所だ、気に食わないことがあるとすぐ感情に出る。私がアンと最近仲が良いと知って嫌がらせをしているのだろう? アンが泣いて私の所に来た。お前にやられたと言っていたぞ」
図星だったのか、ローズは気まずそうに目を逸らす。
その様子を見てレオは鼻で笑う。
「そういうことだ、お前との婚約は破棄と私からも伝えるがお前からもご両親に言ってくれ、じゃあ」
レオはローズに別れを言って愛しのアンがいる所に向かう。
そのレオの後ろ姿をローズが睨んでいることも知らず。
「アン!」
そう呼ぶと可愛らしい女の子がくるりと振り向く。同時にレオの顔が綺麗な青色の瞳にうつる。
「レオ様!!」
アンと呼ばれた女の子は花のようにニコリと笑う。その姿は誰が見ても可愛らしい女の子だ。
「今日、ローズと話をしてきたよ……これでやっとアンと結婚することができるな」
レオは柔らかい顔で微笑む。アンもまぁと口に手を当て笑う。その顔はとても幸せそうだ。
「嬉しいです、これでもうローズ様に嫌がらせをされないですみます」
涙ぐんだ目でレオを見ると、レオはぎゅーと強くアンを抱きしめた。こんな華奢なのによく頑張ったなとレオはアンの綺麗な金色の髪を撫でる。
「えへへ、レオ様、くすぐったいです!」
「あぁ、すまない……もう、こんな時間か楽しい時間はすぐ過ぎてしまうな、また明日会いにくる」
アンは短くはいっと答えさようならと帰るレオに向かって手を振った。
アンもそろそろ帰ろうと思ったときに後ろから声をかけられた。
「アン……貴女、よくも私のレオ様を奪ったわね、自分のやったこと分かっているのかしら?」
その顔は名前に似合わず氷の女王のように冷酷な顔をしていてゾクゾクする。
「申し訳ありません、でも私……好きな人とは絶対に幸せになりたいんです。このようなこと、卑怯だと思います、ですがもうこの気持ちは止められない。すみません!」
アンは頭を下げてからローズから走って逃げた。
しばらく走ると学園の外に自分の馬車がありそれに乗り込んだ。
「はぁぁ、疲れた」
アンは制服をパタパタさせ少し風を体に送る。
そして肩まで伸びた髪を雑にゴムで結び、綺麗にメイクを落とす。制服のスカートの下に男子制服のズボンを履き、スカートを脱ぐ、リボンはネクタイに変えて完成だ。
「次は何をやったのですか?アンドレア・アムール様?」
目の前には眼鏡をかけ知的な顔をしているラファエルが姿勢良く座っていた。その姿はまるで子供を叱る母親のようだった。
アンは逆らえないと思ったのか微笑んで口を開いた。
「はあああああああ!! ローズ可愛い!! 怒った顔も可愛いし、生きている時点で可愛い、もう、ローズがいる空間が可愛い、ローズが触った水も可愛い!! もう尊い、死ぬ……死ぬのかな、俺」
「死んだらローズ様に会えなくなりますよ?」
「ああああ! それは駄目!! 頑張って生きる!!」
さっきまで鈴の音のような声は、低くなり、綺麗に揃えていた足は今ではがっと広げられている。その姿はまるで男のようだった。
アンって何度も呼ばせたら、ちょっとあれですね……次はいつ出すか分かりませんが人気出たら多分出します!!