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〜欠陥少女と殺戮少年の邂逅編〜#1

どうもどうも、作者ですよ〜。

恐らく、初めましての方だと思います。

この本は本気で書きました。全力です。


誤字、脱字等ありましたら、心より、お詫び申し上げます。

できれば、評価を、お願いいたします!



〜プロローグ〜


もう1時間もすれば日付が変わろうかという時刻、帰宅ラッシュもとうに過ぎている。ベッドタウンとはいえ、閑静な住宅街の道に人気は無く、大通りから微かに車の走行音が聞こえているだけだった。


おまけに所々にある、道を照らすはずの街灯さえ切れかけているのか点滅を繰り返していた。

それがまた、道に不気味さを追加していた。



そのがらんとした道を1人若い女が歩いていた。よく見れば若いと言う中でも特に若く見え、大学生か、 ぴかぴかの社会人と言った様だった。


ただ、その顔は赤く、足取りはふらついていて、明らかに酔っていた。



しかし、頼りない足取りではあったが女も慣れている道であるらしく、とりあえず迷っている訳ではなさそうだった。



誰もいない道を「ふふふ〜ん」と鼻歌を歌いながら

上機嫌で歩いて、十字路を右に曲がろうとした女の前に突然、壁が現れた。 いや、壁があった。




まさに青天の霹靂というような出来事に、

(夜ではあるが)

「へっ!?」と間抜けな声を上げ、 危うく、あるはずの無い壁に飛びこむところをなんとか踏みとどまることが出来た。



危なかったと思いつつも、その壁に目を向ける。

女は、

「何、これ」

と、首を傾げてそれだけ呟いた。


それは壁のようだったが、街灯が暗いことと、酔っていることでよく見えない。



そこは確かに道路であって壁があるはずがない。

では道を間違えたか、決してそんなはずはないし…



目の前に壁がある理由を考えようとしたが、酔いで頭が上手く回らない。

そうして、女は少し考え込んでいたが、急に何を思ったのかおもむろに手を伸ばしその壁に触れた。



返ってきたのは、 ぐちゃり という音と感触 。


そして、べちゃりとした冷たい液体の感触。



その生理的に耐え難い感触に、ひっ、小さく声を上げて手を引き戻す。

それから、その手を見てまたも声を上げそうになったのをなんとか堪えることが出来たのは奇跡だろうか。



切れかけの薄暗い街灯におぼろげに照らされたその手に、

べっとりと付いていたのは赤黒い液体。



紛れもなく、血 であった。



それを認識した途端、酔いは消し飛び、不確かだった五感が飛び込んでくる。



今更のように気づいたのは、 あたりに響く、


ぐちゃ…ぐちゃり


という断続的な嫌な音。


おまけに周りに漂う濃い、鉄の臭い。



久しく忘れていた本能という物が異質な危険を察知した。


そのまま数歩、後ずさり見上げると壁のように見えたものの全体が見えた。



大型車がギリギリすれ違える程の道をほぼ埋めている大きい、饅頭型の、何か。

その表面は血まみれで肉の塊としか言い表せない。

それに、モゾモゾと動いている。



得体の知れない恐怖に苛まれ、さらに後ずさろうとして、女は躓き「きゃっ!」と叫んで尻餅をついた。



裏切り者の左足を責める間も無く、声が聞こえていないようにと祈る間も無く、反応したソレが動いた。


振り向いた (と思われる) ソレには、巨大な口があった。

その体の半分ほどまで大きく裂けている口には、これまた大きな乱杭歯が、サメの歯のように何重にも、なっていた。

その上にある眼は小さく丸く、白く光っている。



その悪ふざけとも思える様なデザインの肉塊の口端から紐のように垂れているのは、紛れも無い、


人の、腕だった。


それがさらに恐怖を煽る。先程の音の正体が分かってもそれを気にしている余裕すら無い。



今更のように、「ひっ…」と口から悲鳴が零れる。

身体は竦んで動かない。

女はこれから自分がどうされるのか、想像もつかなかったが、自分には死が待ち受けているということだけ、朧げに理解した。



その時、



女の背後に、誰かが降り立った。いや、そうとしか思えないような、高いところから着地する音がした。

そうでなければ高い場所から物が落ちた音か。



神にも藁にも縋る思いで振り向くと、そこには


どう見ても小学生程度にしか見えない、少女が、堂々と立っていて、その眼は女より向こうを見つめていた。

その異質さに、一瞬怪物のことも忘れて少女を凝視してしまう。



その少女は、まず、どう見ても日本人には見えない。

その可愛らしくも凛々しい顔立ちは、まあ日本人と思えなくも無い。

だが、腰の辺りまで伸びる髪が、真紅や、紅蓮とでも言うような赤だった。


それに加えて黒い、マントのような物を全身を包むように羽織っていて、着ている服も見えなかった。



女の思考はただ混乱するばかりであった。しかし、女の思考を他所に少女はつかつかと歩き、女と怪物の間に立ちはだかる。



そして、マントを払い、すっと右手を真横に上げるとその手にはいつの間にか、刃先から柄まで全てが銀色に輝く剣が握られていた。


装飾こそ無いが無骨とはとても言えない高貴さがその剣にはある。

それは、剣の事など毛ほども解らないし、見た事もない女でもそれが解るほどだった。



と、次の瞬間には右手は剣共々真上に掲げられていた。

さらに、ワンテンポ遅れて、「くしゃっ」と、軽い音を立てて怪物が、裂けた。


真っ二つに。



どこからどう見ても、この怪物を斬ったのはこの少女である事は明らかだった。

怪物はどしゃっという音と共に崩れ落ち、辺りに血を撒き散らした後、なんと真っ赤な炎を上げて燃え始めた。



女は何が起こったかも理解できず、ただ呆然と少女をみていた。

すると、少女はくるりと振り向いた。そして、たった今、気がついたかのように女を見た。



女ははっと我に返って、立ち上がろうとしつつ、

「あっ…あの…」と、声をかけたが、女が言い終わる前に、鋭く、激しい痛みが襲いかかってきて、またもや尻餅をついてしまう。



自分に何が起こったか理解するのに時間はかからなかった。答えは目と鼻の先にあるのだから。


理由は単純明解。



少女の持つ剣が女の腹部に、深く刺さっているのだから。

身体の中で ぐちゃり と音が響き、剣の冷たさが全身の体温を奪う。

何故、と思う間も無く、いきなり激しい脱力感に襲われ思考を巡らす暇も余裕も無くした。



女が最後に見たのは、腹部から勢いよく流れ出る血が、銀の剣身を重力に逆らいながら、伝わって吸い込まれていくところと、それを見つめる少女の無機質な目だった。



女は知るよしもなかったが、それは血が抜け出るとき特有の脱力感だった。



そして、女は何も理解できないまま、血の気を失い崩れ落ちた。



女の全身の血が抜けて絶命したことを首筋に手を当てて確認した少女は、ふぅ、と可愛らしく溜息をつくと、慣れ切った動作のように銀の剣身を抜き取った。

そのままマントの中に剣を入れると、出された右手には何も握られていなかった。



その際に少女は右手に血が少し付いていることに気づいた。先程の飛び血だろうか。

少女は、ふと顔を近づけすんすん、と鼻をならすと、舌で血を舐めとった。すると、若干驚いたような顔をして一人呟く。


「なんだ…結構な上玉だった。少しだけでも味見しとけばよかったかな」



少しの間、残念そうに肩を落としていたが、すぐに興味を無くしたかの様に上を向いた。


そしてすぐに足を屈め、反動をつけて大きく跳躍し、近くの家の屋根に音も無く降り立つと、そのまま、家々を飛び越えながら、去って行った。



その頃には燃えていた怪物の遺骸も跡形も無く消えていた。

道路には、全身の血を抜かれた女の死骸だけが転がっていた。




そして、それから数時間もしないうちに発見された女の死体は、変死体としてそこそこ大きく報道され、数日間に渡って世間を、少しだけ、騒がせた。






〜欠陥少女と殺戮少年の邂逅編〜


休日、まだ微睡みのなかに居る人も多い時間帯。

昨夜の事件が起きたその住宅街、その一角にある

狭くて縦に長い家が密集する地帯にある家。




周りの家とほとんど同じ構造になっている家の2階で、


「ぐぅ、…もう6時半か…」


そう呟きつつ、その少年はベッドから這い出す。

何があっても6時半には必ず起きる。

という自分ルールがある彼は目の端を擦りながら階段を降りる。



リビングのソファーに座り、

いつも見ているニュース番組をつけると、まず目に飛び込んだのは「K県のY市で女性の変死体発見」という、普通の人なら休日の朝っぱらから聞きたくないであろうニュースであった。



しかし、テレビをつけた少年 赤霧 桜灼

(あかぎり さくや) はとても普通とは言えなかった。



一言、「ここじゃねぇか…」

と、呟いた途端テレビにかけ寄り、かじりつくように見始めた。



すぐにその、さして長くないニュースが終わり、次のニュースにうつる。

政治家の賄賂の発覚など、どうでもいいとばかりに立ち上がると狭い家の中、走り出した。




階段を駆け上がると自室のパソコンデスクの椅子に飛び込み、即座に起ち上げると、猛然と今がした見たニュースを調べ始めた。


それから、1分もたたないうちに

目当ての物を見つけると、


「…くくっ…、いいヤツがあった」


と、凶悪そうな笑みを浮かべる。



そのサイトには、正確な時間、場所のみならず、

第1発見者の証言まで書き込まれていた。


それを全てメモ帳に几帳面な字で書き込むと、大慌てで出かける準備をし始めた。


準備が終わると同時に部屋を飛び出し、階段を駈け降りる。


それから、鍵もかけずに玄関から飛び出すと、

家の前に停めてある自転車に飛び乗り、走り出した。



…もちろん、彼は忘れなかった。


テレビを消してくることと、


食パンを咥えて行く事を。













いかがでしたか?

楽しんでくだされば、幸いです。はい。


まだ話は途中ですので、次回も読んで欲しいです。

では、またいつか。



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