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イセカイスリープ  作者: かなかな
第一章 裕翔
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第十六話「矛盾」

「人違いじゃないっすか」

「いや、間違いない。お前、小野寺裕翔じゃない方!」

「(お笑い芸人じゃないんだから……)」

「覚えておるぞ! かば……かば、ば、けん……。わかった! カバオだ!」

「違います、さよなら」


三人は逃げるようにその場を離れた。

スピカはケンジを睨む。

「あなた今度から頭巾被りなさいよ! 頭巾を!」

ケンジは咄嗟に気の利いた(?)事を言う。

「頭巾がなくてドキンってか?」

「ぶっ殺す」


ケンジの悲鳴が夕焼け空に鳴り響く。



陽も落ち、星が煌めきだしたその時、スピカは立ち止まった。

「ここね」

そこはなにもない(敢えて言うなら草しかない)場所だった。

そこには一人の髪の長い女が立っていた。しかし、周りが暗いため、それが知っている人なのか、知らない人なのかさえわからない。

その女は言う。

「よく、ここがわかった。裕翔は私のもの。あなたのものではない」

スピカは返す。

「裕翔は私のものではない。でも、返しなさい。あなたのものでもないから」

「なら、誰のもの?」

「そうね……裕翔の両親、もしくは大切な人のものかしら」

「裕翔は私の大切な人」

「あなたがどうなのかなんて聞いてないわよ? あなたもケンジと同類ね」

ケンジは学校で先生に指名された時のような反応をした。

「ぅえ? 俺?」

「ケンジと、一緒にしないで。あいつは私よりバカ」

「初対面でそりゃないだろ!」


静まり帰ったその時、ルクスはライトで女の顔を照らした。

「「もっちー!?」」

「バレてしまっては仕方ない。私のイリュージョンに付き合ってくれる?」

「あなた、裕翔になにをするつもりよ!」

「くちあに」

女はそう言うと、スピカは固まってしまった。

「(……前より、金縛りが強くなってる……!?)」

ケンジはもっちーに飛びかかる。

「よくもスピカを!」

女は、降りかかるケンジの拳を掴み、ケンジを放り投げた。

「ぐはッ!」

ルクスは驚きを隠せなかった。

「(まさか、望月君にあれほどの力があったとは)」

「ルクス君、次はお前だ。君はあれだけ研究に協力的だったのに……。裏切ったな!」

「待て、誤解だ。少し話し合わないか。平和的な解決を望んでいる」

「人は話し合いで解決できないから戦争する。人間なんて所詮その程度。くちあに」

ルクスは地面から伸びる手に引きずり込まれてしまった。

「さあ、待ちに待ったイリュージョンのはじまりはじまり……。神よ、この世界に矛盾を与えよ」

二つの魔法陣から出現したのはこの世界の裕翔の身体と、もう一つの世界の裕翔の身体だった。

「(裕翔が二人?!)」

スピカは驚いたが、金縛りの所為で中途半端にしか驚けなかった。

二つの魔法陣から放たれる光が渦を巻いて大きな光となり、空がみるみるうちに明るくなっていく。

すると、別の謎の女がもっちーに近づいていくのをスピカは目撃した。

「(あの女は誰なの?)」

すると女はもっちー目掛けて飛び蹴りをした。

「(……!?)」

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