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イセカイスリープ  作者: かなかな
第一章 裕翔
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第十五話「部外者」

「あなた達ったら、裕翔探しをもうすっかり諦めてたのかと思ってたわ」

「俺だっていきなりお前が家に帰るもんだから、『裕翔、探すのよろしくね』って言われたのかと思ったよ」

「さあ、早速探しに行きましょ、もう行くところは決まってるわ」



「お姉ちゃん、お昼ご飯置いておくよ」

フローラがスピカの部屋の前に昼食を置いた。しかし、スピカの返答がない。

「(お姉ちゃん、反省してるのかしら)」

フローラはスピカのことが気になったので、そっと扉に耳を当てた。


風の音が聞こえる。バサバサと風が原稿用紙を巻き上げる音も。

「お姉ちゃん、原稿飛ばされないように気をつけてよ?」

……。

応答がない。フローラは、スピカが部屋に閉じ込められてしまったせいで、ショックを受けてしまったのだと思い、謝るために扉のガムテープを剥がした。

「お姉ちゃん、ごめんね、だから返事をして!」

フローラは扉を開けた。が、そこには誰も居らず、窓が開いている。これは完全に、窓からスピカが飛び降り、自ら命を絶ったのだとしか思えないだろう。

フローラはショックを受けた。

「お姉ちゃん? 考えすぎだよ……」

怖かったが、窓から下を覗いた。スピカの死体が落ちていると思ったが、何もなかった。

「(……!?)」



ケンジとスピカが歩きながら話している。

「一体どこに行くつもりなんだ?」

「わからない、ネタの香りがする方よ」

「適当だな」

「適当の意味も正しく使えないようじゃ駄目ね」

ルクスが割って入る。

「まあ、喧嘩は止まってからしたらどうかな」


スピカが止まる。

「だって、私とケンジが喧嘩するのを通りすがりの人が見たら、絶対ケンジの方が悪いって言われるかもしれないから、かわいそうだよ」

ケンジは苦い獅子唐に当たった時のような複雑な表情をする。


「私だって、何も考えてないわけじゃないのよ、だいたい何よルクスは、他人と他人の間にすぐに割り込んできて、あーだこーだ自分が悟ったかのように、偉そうに……」

「僕は間違ってない」

「ほら、そうやって、わかりきったような言葉、マジムカつくんだけど。生意気が!」

ルクスがいきなり高い声になった。

「酷い! 姉ちゃんの意地悪! 家出してやるぅ!」

スピカは動揺する。

「ちょ、いきなりなにバカなこと言ってんのよ! いつから私があなたのお姉ちゃんになったわけ?」


通りすがりの人がルクスとスピカの様子を見てやってきた。

「そこのお姉さん、いくらなんでもそれは酷すぎやしないか? 自分の弟を散々貶した後、家出すると言った弟のことを、もう家族ではないと言って突き放して!」

「あの、これは誤解です! こいつが、いきなり変なことを言うもので……」

「それにしても酷いぞ! 今では虐待として罪に問われると言うのに」

「……。姉弟ならこのくらい当たり前でしょ! なんなのよあなた、部外者でしょ?」

通りすがりの人はふとケンジの方を見る。

「ん? お前さんどこかで見覚えがあるような……」

ケンジの冷や汗が止まらない。予想していた最悪の事態が起ころうとしている。


「あんた、逃げてるだろ」

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