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人間の都合

ショッキングな事があってから、幾日かが経った。

この頃には「な○猫」ブームも終わり、新たに「wha○’sマイ○ル」という、猫の漫画が流行り出し、

もともと猫を飼っている我が家では、これにすぐ乗っかった。

家族でこの漫画を見ながらの「猫あるある」が炸裂する。

でも、この漫画から知った物もあり、特に「かにカマボコ」は、当時新製品として売られてから、

月日はそんなに経って居なくて、この漫画で知ったものだ。

また、漫画の表現の中に猫が、美味しいものを口にすると「ウニャウニャ」と声を出すとあったのだ。

実際、既に刺身をあげた時に、風太郎がウニャウニャ声を上げたので体験済みではあったけど、かに

カマで果たして声をあげるのかと半信半疑ながらモモにかにカマを与えてみた。すると、

「ウニャウニャ」と、声を上げたのだ。

これに家族で爆笑。一気に和んだりしたものである。

また、wha○’sマイ○ル」がアニメ化され、更にブームが広がった時、クラスメイトの女子で、

元々絵が上手いのだが、これの絵が非常に上手い女子がいて、その女子の絵が、卒業文集の表紙になったりもしたっけ。

そしてまた月日が経ち、風太郎がまた妊娠をした事で「人間の都合」が行われる事になる。

それは、風太郎のお腹が少し大きくなったのが分かり、父が風太郎を徐々に嫌がり始めた為だ。

「どうせまた、始末が大変になる」

父はこう言った。

そして。

風太郎のお腹が明らかに大きくなり始めた頃のが分かる。

「なあ、ひかる。風太郎のお腹が大きくなっているのは分かるな?」

まだ、甘えん坊だったモモは、数日前、風太郎のお乳を飲んでいた。

だから。

風太郎を「捨てる」のを決めた日曜日の朝、モモに最後のお別れのため、風太郎に近づけると、

モモはそのまま甘えるように風太郎のお乳を飲んだ。

飽きるまで飲ませた後、いよいよ、風太郎を捨てる事に。

先ず父は風太郎が余裕で入る、巾着袋と無数に開けたダンボールを用意。

そして、何も警戒していない風太郎をおびき寄せるために袋の中にマタタビの粉末を撒いた。

そして、その巾着の口は僕が開ける。

風太郎はそれに直ぐに反応して、袋の中を覗きこむ。

「今だ!」

父は風太郎の尻を押さえて無理やり入らせ、直ぐに僕と交代して口を締め、更に紐を上に持ち、少しの

間宙ぶらりんにした。

それから持ち替えてダンボールに入れて蓋を閉めて、それから車のトランクに載せると、

車を走らせて何処かへ行ってしまった。

この時僕は同乗しなかったのだ。

そして、数時間後。父は帰って来た。

「何処まで行ってすててきたの?」

「県境だ。○根川の向こうな」

「隣の県まで行ったんだ」

「そうだよ。仮に風太郎に帰巣本能があったとしても、あの交通量の多い橋は渡れないだろうと思ってな」

「あのさ。風太郎を袋から出した時、どうだったの?」

「どうだったのって。先ず、車トランクの中で吐いたんだなあ。袋に黄色いしみがついていたよ。

あと、袋から出して河川敷に放したんだけど、暫く身を伏せてあちこち見て警戒したけど、俺を見ずに

住宅街の方へ走って去って行ったんだ」

「えー?」

「いやさ。もともと風太郎は野良猫だし、三毛猫で頭もいいんだ。きっと向こうでも、事故する事なく

たくましく生きるって!そう、考えた方がいいぞ。ひかる」

と、こう言われたのだった。

僕は、そう思うようにした。

これこそ、人間の都合であるのだ。

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