子猫の名前が決まる。
保護し、育てる事になった三毛の子猫。
僕は、この三毛の子猫を手に取る。
まだ、目は開いておらず、プルプルと震えながら、一生懸命鳴いている。
身体を覆う産毛はまだしっとりと濡れた感じ。
僕の手に抱えられた子猫を心配そうに見上げる風太郎。
そして、風太郎に子猫を返すと、風太郎は子猫の首をくわえ、少し離れた場所で、自分の舌で
子猫の身体を懸命に毛繕いをする。
でも、風太郎の舌は、子猫には強力過ぎて、子猫が風太郎の舌の力で転がってしまうのだ。
それが数回続き、風太郎も学習したのか、子猫をお腹のほうに誘導し、抱え込んで毛繕いしたりする。
特にお乳を与えている時なんかは、前足で子猫を押さえ込んで毛繕いをする。
子猫は前足を動かし、風太郎のお腹を押したりして、お乳を飲むのに一所懸命だ。
そんな光景も見られた。
そんなこんなで1週間位は付きっ切りで子猫の面倒をみる風太郎。
この時、不思議に思えたのは、風太郎の仕草で、お腹を少しでも擦ってやると「グルル・・・」と
猫撫で声を出しながらその場に座り込んで落ち着いてしまうのだ。これが不思議でしょうが無かった。
そして、1週間も経つと、子猫の目が開いて居た様に思う。
もう、外の景色は見え、よちよち歩きも割りとしっかりしてきて居た筈だ。
そして、子猫の名前もそろそろ決めようという事になり、猫の名前を今度は母が付ける事になった。
そして、つけた名前は「モモ」。
名前の由来は、母の好きなファンタジー小説で、映画化もされた作品「ネバーエンディングストーリー
(はてしない物語)」
の作者、ミヒャエル・エンデのもうひとつの作、児童文学の「モモ」からであった。
名前も無事に決まり、改めて、三毛猫の子猫、モモを迎え入れる。
モモは、目が見える様になったその時から、周りの物に好奇心旺盛で、いろいろな物にちょっかいを
かけたり、凄いスピードで走りまわる。
じゃれる道具として、特にビニール紐は効果絶大で、左右に振れば、その先端を目で追い、飛びついたら
紐を噛みながら猫キックをしたりする。
後は、紐にじゃれさせる為に、時計回りに高速で自分が回転するのだが、これが見てると面白いのだけど
正直疲れる。やった本人が目をまわすから。
それを見ている風太郎も気が気でないって感じで、つかず離れずでモモの様子を見ていて、沢山じゃれ合い、
時にはモモの首を咥えて連れ戻したりと、母猫としての仕事をしっかりとこなした。
モモが遊び疲れて、風太郎とモモの二匹が一緒に寝ている時の姿が、可愛くってたまらなかった。
しかし、モモの面倒を見るのに忙しいせいなのか、食事の量が何故か減った。
食べるには食べるけれど良く残すのだ。
それを見ていた僕らは、食事時にモモを抱きかかえたりして風太郎から離し、食事時だけその面倒をみる。
すると、それが分かったのか、しっかりと食べる様になった。
モモは、人に抱きかかえられるのを嫌がる様な猫ではなかった。
そんなこんなで一ヶ月。
モモは相変わらずやんちゃでよく走りまわり、カ―テンに良くよじ登った。
そのため、カーテンはほころびだらけになる。
また、風太郎は、何かあると、普段とは違う特殊な鳴き方をして、モモを呼び寄せたりしていた。
二ヶ月目。
この頃にはモモの産毛も殆ど見なくなった。
モモも成長し、少し位なら外に出しても良いだろうと、風太郎と一緒に外に出してみた。
そうしたら、その初日、半日位帰って来なかったのを、僕は今でも覚えている。
外で、風太郎はモモに何を学ばせたのかは知らないけれど、成長が楽しみではあった。