なんて事のない日々。
モモの警戒心はなかなか取れない。
そこで、僕からキャットフードを与えようと、キャットフードの入った皿を持ち上げた。
それが功を奏したのだろうか。
キャットフードの入った皿を覗き込み、鼻をヒクヒクさせて、そのままかぶりついてきたのだ。
そこで、そのまま皿をその場に置き、モモに食べさせた。
「モモ。ようやく食べたかー。」
そう言って頭を撫でる。モモは、食べ終わると舌なめずりをして、その場で直ぐに顔を洗った。
その様子をみて、僕は安心した。
間もなくして、モモは僕の足に擦り寄る様になった。
こうなればもう、大丈夫。
新しく住む場所だと認識しただろう。
その日僕は、モモから離れずずっと構った。
けれどその夜。アパートに帰らなくてはいけない。
時間ぎりぎりまで愛でて、そして帰った。
其れから3日経ち、水曜日。
僕のほうから電話をかけて、モモの様子を伺う。
「ねえ。母さん。モモの様子はどう?」
「モモはねえ。だいぶ動く様になったよ。餌も食べるし、昨日なんか、部屋のあちこちの匂いをかいで
回ってたわよ」
「そうなんだ。じゃあ、大丈夫だね」
「うん。そう。次来るとき、猫缶買ってきてくれる?」
「何を買えばいいんだっけ?」
「モンプ○」
「ああ。モンプ○ね。分かった」
それから、僕は仕事をこなし、幾日か経って実家に帰る。
「ただいまー」
実家の玄関のドアをあける。すると、モモがひょこっと出てきた。
「モモー。ただいまー。むかえにきてくれたのかー?」
僕は嬉しかった。
でも、この行動の真意を後で知ったのだが、単純に誰が来たのか気になって見に来るという事だった。
それを知って少しがっかりしたり。
でも、一度部屋で落ち着いてしまえば、モモは僕の側にきて寝転んで落ち着く。
身体を撫でると、気持ちよさそうにしてくれる。
あと、モモは此方に引っ越してから、随分鳴くようになった。
名前を呼べば、三回に一回位は鳴いて返事をし、鳴かなくても大抵は振り向く。
そしてもう、老猫であるせいか、良く寝るのだ。
その姿がとてもかわいいのだけど、変わった様な所がない。




