【夢が覚めるその前に】もしも少年が少女のことを幽霊と勘違いしていたら
【夢が覚めるその前に】より
《もしも、少年が少女のことを幽霊と勘違いしていたら。》
彼女はフェンスを挟んで道路に佇んでいた
こちらをじっと見つめて動かない
少年は、少し気味が悪かった
なぜ少女があんなところからこちらを見て佇んでいるのだろう
少女に怯えながらそんなことを考えていると道の向こうからトラックが走ってきた
少年は、少女が危険を避けるために道の隅に避けると思って疑わなかった
しかし少女はピクリとも動かずにこちらを見てニコニコしている。
本格的に危ない!と思った頃には遅かった
トラックに轢かれる少女
体はボンネットの上を跳ね返り道路に叩きつけられる…はずだった
少年は目を疑った
トラックが通り過ぎたのである、かわしたようにも見えなかった
少女がすり抜けたようにしか見えなかった
少女は身を守ることもせずただただこちらを見てニコニコしていた
あの女の子は幽霊だ!!
少年の心はそうと決めたら揺るがなかった
まずはゆっくりと立ち上がり一歩後ずさる
すると少女は少年が一歩下がったことに気がつきこちらにむかってトテトテと歩いてきた
少年は気が気でなかった
迫り来る恐怖から逃げることしか考えなかった
『お化けが追いかけてくるー!!だれか助けてー!!』
僕は叫びながら幽霊から逃げるように走り出した
『おいかけっこかなっ?まてまてーっ』
少女はニコニコしながら楽しそうに少年を追いかけた
『ゔぁぁあっ!!助けてっ!誰かぁ!!』
逃げる少年
『えへへっ!まってよーっ!』
追いかける少女
キャーキャー!ワーワー!
冬の澄んだ空の下、二人はまるで仲の良い姉弟のように走り回っていた。
結果【平和になる】