Episode:07 その名は、ワン・ターレン
7話目投稿。
やあ、おはよう蝗の王だ。
現在、俺達は”犬型獣人”の集落の入り口に着いた所だ。
付近にいた”犬型獣人”達が俺達を見つけて様子を窺ってるみたいだな。
ナタクさんが進み出て、近くに居た”犬型獣人”に、何やら話かけてる。
多分、俺達の素性と目的を説明してくれているんだろう。
ちなみに、セタク君は俺の背中で”はふはふパタパタ”しとるわw
(*´Д`) コノママサラウゾ、コノヤロー
……ん? スゴイ勢いで、まるで転がる様に走ってくる集団がいるぞ?
その集団は、俺達の前に来ると、8号に向かって話しかけて来た。
「あなたは、あの時の方では、ありませんかワン!」
「憶えて、おいででしょうかワン?」
「あの時、開放して貰った者ですワン!」
……正直に言おう! 『ワンワン』五月蝿せえ!!
だが、萌える!!!(キリッ!)
(どんだけイケメンなんですかw)
(無駄に凛々しいw)
(このロリコンめ!!)
!?ロリコンちゃうわ!!!?
…俺は只、可愛いモノを愛でたいだけだ。(キリッ!)
(変態じゃないですかw)
(変態だw)
(うん、変態だねw)
変態じゃ無ぇよ!!
仮に変態だとしても、変態と言う名の紳士だよ!!!(泣)
(あー、いま紳士と言う単語で、気づいたんだけど…。)
(うん?)
(俺等、真っ裸に赤いマフラーだけの姿じゃね?)
(((( !!!!? ))))
( そ う 言 え ば w )
(なんと言う紳士w)
(そう言えば、この甲殻で覆われた格好って、”生まれたままの姿”だったわw)
( 昆 虫 人 変 態 説 w )
(漏れ達、\(^o^)/オワタ)
(/(^o^)\ナンテコッタイ)
…蝗の王です。 嫌な事実が発覚したとです!
…蝗の王です。 心が折れそうになったとです!!
…蝗の王です。 記憶の底に封印する事にしたとです!!!(泣)
↑【くどい様だが思考速度は1000分の1秒】
「あぁやはり、捕まっていた仲間を、助けてくれた”見た事も無い昆虫人”とは貴方達の事でしたかワン。
案内している途中で、仲間の言葉を思い出して、もしやと思っていましたワン。」
……お? 集落の奥から”白い体毛”の”犬型獣人”が、数人の大柄な
”犬型獣人”に囲まれて、こっちに向かって来たぞ。
「ようこそ、新しき種族の王とその眷属の方々。
わしは、”犬型獣人”を統べる”長”、【ワン・ターレン】と申す者。
余りに長く生きたので”犬型獣人”の歴史の中で、わしより長生きな
”犬型獣人”は存在しない程。
それ故、【大族長】の名で呼ばれております。
過日、攫われた部族の者共を助けて頂いたばかりか、今又、甥のナタクとその息子セタクの命まで救って頂いたとか。
まこと、感謝に堪えませぬ。
本日はわざわざ我ら”犬型獣人”に、挨拶をしに参られたと聞きました。
大したモノも無い村ですが、我等”犬型獣人”は【軍団】と、その長【蝗の王】殿を歓迎いたしますぞ。」
突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、
突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、
突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、
突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ、突っ込んじゃダメだ!
(シンジくんかw)
(まぁ、その気持ちは理解できるw)
(つーか、ワン・ターレンかよw)
(ここは、男塾ですかw)
(民明書房とか置いてるんですか?w)
「…ワン・ターレン殿、つかぬ事を、お聞きしますが、”江田島平○”と言う名前に心当たりは無いでしょうか?」
(うわ、聞いたしw)
(王様、自重しるw)
(普通に、無ーだろw)
「ほほう、その名を知って居られるとは、”造物主”にお聞きになられましたかな?」
「ええ、その名を口にしているのを、聞きましたので。
(うそぉ!? マジで居るのぉ!!!?)」
(いるんだw)
(やっべ、メッチャ見てぇw)
(嫌な予感しかしねェけどなw)
「…それで、どの様なお方なのでしょうか?」
「…………………申し訳ありませんが、わしの口からは申せません。
ですが、他ならぬ蝗の王殿の頼みとあらば、わしから言えるのは、一つだけ。
【セイレーン】を、お尋ねなされ。」
「【セイレーン】ですか?」
「左様。
見目麗しく、美しき歌声で様々な事象を操り、女性のみしか存在せぬと言う。
滅多に、他種族と関わらぬが故に”未知”と言う名の神秘のベールに包まれた謎多き種族。
……【セイレーン】をお尋ねになれば、件の”江田島平○”の事も知れるでしょう。
それにしても、最近はその名をよく耳にします。
その名を尋ねて来られたのは、蝗の王殿で、3人目ですな。」
(((((( !!!!!? ))))))
(どう言う事なんだろ?)
(”江田島平○”って名前を知っていた?)
(しかも、”ワン・ターレン”とセットで知ってるって事だよね?)
(もしかして、王様の他にも?)
(……考えてみれば、その可能性はあったのか。)
(うん、転生者じゃね?)
「……ちなみに、他の2人の事を聞いても?」
「無論、構いませぬよ。
一人はエルフで、レイ・アムロと名乗ってましたな。」
(! 決定。)
(ビンゴかw)
(これで違うとか、無いわw)
「いま一人は、我が部族の者にて、”ロボ”と言う者です。」
(……シートン動物記?)
(…狼王”ロボ”か?)
(微妙に怪しいなw)
(とにかく、確認するにも後でだな。)
(そだね。)
「どうやら、場所の用意が出来たようです。
まずは、そちらへどうぞ。」
「では、お言葉に甘えて……。
そうだ、件の”鬼熊”の肉を、土産に持って来ました。
よろしければどうぞ。」
「これは、お心遣い痛み入ります。
折角の、お志ですのでありがたく、受け取らせて頂きます。」
これ、手すきの者を何人か呼んできなさい。」
「わかりましたワン。」
「あと、甲殻も無傷で剥ぎ取っておいたので、こちらもどうぞ。」
「わかりました、代金は後ほど”助けて頂いた”お礼も含めてお話させていただきます。」
「時に【大族長】殿は、他の【コポルト】の方と違って、語尾に”ワン”をつけていない様ですが?」
「ほっほっほ、わしぐらい長く、族長などをしておりますと、他の種族の方々と話す機会も多くなりますし、
これほど、長生きすれば、長生きしすぎて最早、通常の【コポルト】とは異なった存在になるのやも知れませぬ。」
「なるほど。」
(多分この年老いた【コポルト】は、長生きしすぎてナニかを”超えちゃった”のかも知れないな。)
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
そして、酒や料理が出来上がり、宴会が始まった。
俺達の持ち込んだ、鬼熊の肉や、焼酎に【カララム】の実を漬け込んだ【カララム酒】は大好評で、期待した通り、この集落との交易で、主力商品になってくれそうだ。
そして、眷属達のバックコーラスで演出された俺の歌や、借りた楽器と羽での交響曲は、そんな”概念”の無かったこの世界の住人には、非常な驚きと感動を持って絶賛された。
……一人妙な顔で驚いてる【コポルト】が居たから、奴が【ロボ】だろう。
顔と特徴をチェックしとくのも忘れない。
そして、今現在、俺達は【コポルト】の女性に囲まれてチヤホヤされてます。
【コポルト】の女性は、人間の女の子に犬っぽい”メイク”を施したような顔立ちで、犬耳と尻尾があり、手足の先端部分と、尻尾からうなじまで毛が続いてると言った姿なので、とってもカワユイ娘ばかりですた。
キタ━━━(゜∀゜)━━━ !!!!!
ついに、魂太ゼクターの性能をこの身で実感する時が来た!!
しかも、好都合な事に昆虫人特有の、”表情が解かり辛い顔”のおかげで、がっついて居るのが気取られません!!!
( モ チ つ け w )
(そんなに”魔法使い”の称号、嫌だったんだ………。)
(つーか、漏れら普通に魔法使えるけどなw)
…誓いの時は来た、漏れは今 運命を越える!(皮の帽子装備中w)
(トキとラオウの対決かよ!)
(しばらく戻って来ないなw)
(もはや、手の施し様も無いしw)
(ナゼ、こんなになるまで放置したし!?)
こうして、容赦ない眷属達の突っ込みを流しながら、俺の熱い夜は更けて逝ったんだ。