Episode:06 犬耳との遭遇
6話目投稿。
やあ、なんだか久しぶりの様な気がするね、軍団の長、蝗の王だ。
今日はアリさんとは、又違った、癒しを求めて獣人族の集落に行こうと思うんだ。
べ、別に好物で釣ってウハウハしようだなんて思って無いんだからね!
……邪な理由なんて無いよ?ホントだよ?
<本心駄々漏れだしw>
<どう見てもそれが本心だろ、JK>
<いろいろ、残念なヒトだなぁ。>
<ナゼ、こんなに成るまで放置したしw>
<ばかプーw>
「うるさいですよ!藻マエラ!? …さっきから聞いてれば言いたい放題じゃないですか!? 漏れは王様ですよ? 偉いんですよ? 大事なヒトなんですよ!!!!?
………もっと、俺を大切にしる!!!!!!(泣)」
<わがままだなぁ。>
<まぁ、王様だしなー。>
<仕方の無いヒトだなー。>
<王様命令じゃ仕方ない。>
<チカタナイね。>
……いや、自分で言っといてナンだけど、
藻マエラそれでいいんですか?(汗)
<漏れら”虫”だし。>
<王様を頂点に置いた、生きてる【システム】だし。>
<どこにでも居る、なんの変哲も無い虫ケラだしねー。>
<こんな連中、どこにでも居られたら困るわw>
<俺等を”なんの変哲も無い”とは言わんだろ。>
<普通に”地海空”で活動出来るしな。>
<でも、真面目な話 王様死んだら俺等”蟻とか蜂”みたいに、精神に異常をきたして 最終的には死んじゃうと思うよ。>
<滅多な事では、死な無いだろうけど。>
<つーか、殺す方法 思いつかんしw>
エエェェェ (;´Д`) ェェェエエ
「な、なんだってー(棒読み)」
<いや、キバヤシさんの真似はイイから。>
「まぁ、それはソレとして。
藻マエラ、”アミダくじ”で5人選んでくれなさい。」
<切り替え、速っ!?>
<ん?5人??>
<なんで?>
「ぞろぞろ11人で行くのも、どうかと思うんで、漏れと5人で逝くわ。 ハズレた5人はお留守番ね。」
<えぇ~~っ?>
<皆で行けばいいじゃん~。>
<そーだそーだ。>
「我が侭言って無いで、さっさとしる!!」
<うわぁーーーーーん!?>
<そんなのヤダよー(><)>
<ヤダヤダ、ミンナと行くんだい!!>
「躾の出来てない子供ですか! 藻マイラ!!!?」
駄々を捏ねる”特撮ヒーロー”とか、シュールとかってレベルじゃねーぞ!!?
…つーか、嫌すぎるにも程があるわ!!!ww
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
…で、結局1号~5号は【エルフ】の里に、行商に行って貰ったわけだ。
この世界では、まだ”蒸留酒”は造られて無かったので、【倍々ハンマー】で量を揃えて、嗜好品や工芸品と交換。
その後、仕入れた”食料品(主に乳製品)”を増やす→行商、のループで食卓を豊かに彩るって寸法だ。
一方、俺等は陸路で森を突っ切り、”犬型獣人”の集落に向かってる最中だ。
深い森の中を、風のように走り抜ける6つの影。
やっぱこの身体、ハンパ無いわw
何で、飛んで行かないかって?
俺等”虫”の所為か森の中とかだと『居心地が良い』んだよね。
それに、走っての移動だってそんなに時間を食う訳じゃ無い、疲れを知らぬ身体と強靭な脚は、容易く時速300キロのスピードを叩き出す。
そんなスピードでも、【超感覚】【虫の知らせ】【脳内会議】等の、スキル補正のお陰で危なげ無く、走り続ける事が出来るしね。
まぁ、折角”大自然”に囲まれた異世界に来たんだ、この世界の隅々まで見て廻らないと、勿体無いだろ?
こんなに綺麗な景色なんだからさ。
「……そう思ってた時期が、私にもありましたww」
現在、目の前には体長2、5ダルクにも及ぶ、”鬼熊”の番が戦闘態勢を取っております。
「 ど う し て こ う な っ た w 」
(王様、現実逃避してる場合じゃ無いっスよ。)
(あの”犬型獣人”の親子助けないと。)
(う~ん、2、5ダルク級、2頭かぁ~。)
(一人じゃ、かなりの腕利きでもツライ相手だね。)
(…しかも、子供を後ろに庇いながら。)
(これ、何て無理ゲー?w)
”鬼熊”ってのは、地球の熊にフルプレート着せた上に、ドーピングしまくって、大きさも身体能力も、ついでに凶暴性も数倍にUPしたような生き物の事だ。
ちなみに、魔獣でも何でも無い、普通の獣ね。
(…まず手前の”鬼熊”を【熊A】、奥の”鬼熊”を【熊B】と呼称する。
6号7号は、あの親子の保護と傷の手当てを、俺と8号で【熊A】を、9号10号で【熊B】を傷つけ無い様に牽制、親子を安全圏に移動させたら、殲滅に移行。
尚、森や精霊への影響を考慮して、
【メギドの火】及び、魔法の使用を禁止とする。)
(以上、作戦開始!)
((((( 了解! )))))
(ちなみに、俺等の念話は【マイクロセカンドの領域】で行っているから、この間1000分の1秒ねw)
(…解説乙w)
(メタ発言、自重しる!!w)
「とぅ!」
ドカッ!!
「くまっ!!!?」
まず、俺が親子の退避ルート及び【熊B】の方向と被らない様に、【熊A】を手加減して5ダント程、蹴り飛ばす。
<<我々は味方です、さ、此方へ!>>
「ワゥ? ワ、ワン?」
間を置かず、6号7号が親子を抱えて安全圏に移動を開始。
<<お前の相手はこっちだ!>>
逃げる親子に、意識を向けた【熊B】の前に、俺の頭上を飛び越えて9号10号が、牽制する為に立ち塞がる。
…牽制してから、幾らも立たずに”親子を安全圏に確保した”と念話が入ったので、(鎧のような甲殻部分には傷をつけるな。)と、指示を出して殲滅に移行する。
「くまーーーーー!!」
ブォン!!
唸りをあげて振り回された右前脚を、後方宙返りでかわし、大樹の幹に垂直に着地する。
他の眷属達も、乱立する樹を足場に、三次元的な動きを駆使して、”鬼熊”の甲殻を傷つけ無い様に、間接部分を中心に攻め立て、追い込んで行く。
…今更だが、初めて俺達の”種族名”の由来を実感した。
俺と8号が【熊A】を牽制している時。
6号7号が親子を抱えて安全圏に移動を始める時。
9号10号が【熊B】を牽制している時や、”鬼熊”と交戦している、今この時でさえ!
俺達は互いの視線や情報を共有し合い、【分割高速思考】を駆使して最適化された情報の元、1000分の1秒で的確な判断を下して、言葉も交わさず、1つの目的の為、最良な行動を取る。
まさに、群れでありながら一個の生命体として機能しているのだ。
だから”軍団”、【大勢なる者】の名を与えられたのだと。
「・・く・まぁ・・・・。」
「ベ、ベァァ・・・・・。」
流石に、タフネスで知られる”鬼熊”も、俺達の連携攻撃で弱ってきたようだ、……そろそろ、止めをさすか。
(8号、9号で奴らの注意を引き付けろ。)
(( 了解 ))
2人が、2頭の注意を引き付けている間に、気配を殺した俺と10号が死角に回り込んで、一気に首を捻って頚骨を粉砕して戦闘終了。
「「 く・・ま・・・・・ 」」
…ドサリ…。
いやぁ、彼らは強敵でしたねw
((( ミストさん!? )))
相変わらず、イイ突込みだw
それよりも、戦闘中ずっと突っ込み入れたかったんだけどさ、「くまーーーっ」とか”鬼熊”の鳴き声、変じゃね?
(…え? 普通じゃないの?)
(”鬼熊”って「くまー」と鳴くモンでしょ?)
(別に変わった所は無かったよ?)
「ゑ?」
エエェェェ (;´Д`) ェェェエエ
「うそ!? マジで!!?」
<本当だってw>
<うん、こんな事で嘘 言っても仕方が無いし。>
<相変わらず、王様は妙な事いうなー。>
<まただよ(笑)>
周り全部が、敵であります!!?
…………知らなかった、”鬼熊”って「くまー」と鳴く生き物だったんだ……。
さすが異世界、意表をついて来るぜ!
……ん? どうやら6号7号に治療された”犬型獣人”の親子がこっちに来た様だな。
「…あの、どうもありがとうございましたワン。
私は、”犬型獣人”のナタク、こちらは息子のセタクと言いますワン。」
「はふ、はふ。」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタ。
…セタク君が、つぶらな目をして『はふはふ』言いながら、すごい勢いで尻尾を振ってます。
(*´Д`)カワイスギダロコノヤロー
これです、これなんですよ! 漏れが犬耳に求めてた”癒し”は!!
「食料を探しに森に入り、運悪く”鬼熊”の番に遭遇してしまい、もう駄目かと半ば諦め、
それでも何とか、この子だけでも逃がさなければと、相打ち覚悟で時間をかせぐつもりでしたワン。
貴方達のお陰で、命拾いをしましたワン。
此方の方(6号)に伺ったのですが、私どもの”長”に挨拶に向かわれる途中であったと聞きましたワン。
宜しければ、私がご案内致しますワン。」
「それは、ありがたい。
こちらこそ、よろしくお願い致します。
…ですが、少々時間を下さい、この”鬼熊”を解体してしまうので。」
そう話してる内にも眷属達が、”高周波爪刃”を操って、【コマ送り】の様なスピードで解体してゆき、”腑分け”した傍から【ポーチ】の中にストックしていくので、もう終わりそうですw。
ちなみに、この光景を目にしたナタクさんは、目がまん丸になってましたw。
…そして、俺達はナタクさんの案内で”犬型獣人の集落”に、向かったんだ!