Episode:02 昆虫人、異世界に立つ!
2話目投稿ー。
やあ、俺だ【木村一郎】改め”アバドーン”さ! 只今、絶賛落下中だ。
「ヤフーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
回転しながらなwww
…地面に激突しても、死ぬ心配が無い上に、多分【カーロン】が気を利かせてくれたんだろう。
必要以上に”恐怖”などの【負の感情】が出ないように、精神が保護されてる感じだ。 至れり尽くせりだね。
落ち着いたらお礼に、神様を奉る”祠”でも造るかー。
それにしても、随分高い所から落としたモンだなー、景色は正に”絶景”だけどな。
……お? すごいでっけー”樹”を発見! つーか、山よりもデカイとかw どんだけだよw
きっとあれが、【世界樹】ってヤツにマチガイ無いだろ、JK。
あの”根元”と言うか”麓”に【エルフ】が住んでるらしいから、まずは彼らに挨拶すっか。 ……イキナリ”怪しい奴”呼ばわりで争いに発展しないよな?
まあ、そこら辺は神様に”伝言”頼んだから、大丈夫だろ、多分。 【カーロン】ならともかく【サイオン】なら有能そうだしな! 愉快犯っポイけど……。
しかし、この回りながら落ちるの楽しいな…クセになるかもしれんww
地表まで、あと10モルダントほどかな? 下に見える小さくて動いてるの、アレ【エルフ】じゃね?
激突したら【ボディープレスってレベルじゃねーぞ!?】って怒られそうだし、死んだりされたら気まずいから、声出して知らせるか……。
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
今日は【世界樹の森】全体が、騒めいているな。
まるで妖精達や精霊達が喜んでいるような感じだ。
何があったんだろう? それとも、これから何かが起こるのだろうか? 長や長老からは何も言われて無かったが、帰ったら尋ねてみるか?
「・・・・・……ァァァァァアアアアアァアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
!?何だ?!!・・・上か?!!!
突然、”叫び声”のような音が上の方から聞こえてきたので、私を含め他の仲間も慌てて上を向いて”音”をさがす!
アレか?! 黒い豆粒に見える点が、段々近づいて……………人型の何かが此処に落ちて来ている?!!! このままだとぶつかるぞ!!!?
「! 全員、逃げろーーーーーー!!!」
「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」
「「「「「「ウワァァァァァァァァ?!!ーーーーーー」」」」」」
…さすがに全員、蜘蛛の子を散らすような勢いで逃げ出した。 その直後!!!!
ズッゴオオオオオォォォォォオオオオオォォン!!!!
「「「「「「ヒィёΛナニΞ#タスヶヾбて△ら■!!!!」」」」」」
……一体何が起きたんだ!!?
「…おい、タク・ラン無事か? 他の者も皆無事だったかァーーーーー?」
「あぁミシ・ワン、お前も無事だったか、誰も怪我とかした奴は居ないみたいか?」
「………こっちには、誰も居ないみたいだ。」
「………こちらも、無事だ。」
「あーびっくりした、一体ナニがあったしw?」
「何かが落ちて来たんだろうけど……。」
「おい!アレを見ろ!!!」
!! 地面に”人型の穴”が!!?
しばらくの間、皆で恐々と注視していたが、やがて落ち着いて来たのか皆それぞれ今の出来事について話し始めた。
「落ちて来たのは【人】か?」
「穴の形からしてそうなるんだろうが…。」
「大方、大きな飛翔生物に”エサ”として捕まったのが、途中で落ちたんじゃ無いか?」
「…なるほど、有り得ない話では無いな。 最近は見た事もない生き物やコウモリの羽の付いた大きなトカゲを見た、と言う話も頻繁に聞くしな。」
「だとすると、落ちて来た”奴”も気の毒に……。 運が無かったんだなァ…。」
「…せめて、丁重に弔ってやるか。」
そう、私達が結論付けて、皆で穴に近づいて行った時、突然”穴”の中から黒っぽい手が伸びて、穴の淵に手を掛けた。
「「「「「「「 !!? 」」」」」」」
そして、次の瞬間には、赤く大きな目をした黒い人影が穴から這い出て来た!
「「「「「「「 …うわぁああああ!!? 」」」」」」」
・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・
「イテテテ・・・・」
…流石チート生物だけあってダメージは無かったモノの、”衝撃”までは完全に消せ無かったようだな。 2~3秒ほど意識が飛んでいたw
穴の外なので良く聞こえ無いが、なにやら声が聞こえて来る、イキナリ降って来て驚かせたみたいだし、驚かせた詫びと”長”への案内を頼まないとな。
穴の淵に手を掛け、一息に身体を穴から引き上げると、突然「「「「「「「 …うわぁああああ!!? 」」」」」」」と言う悲鳴が聞こえてきた。
『何事!?』と思って、声のした方を見たら、「じーーーーーーーーーーーーー」と言う擬音が聞こえて来そうな感じで、
数人の【エルフ】が木の陰から、こちらをメッチャガン見してましたww
……やっべ! イキナリ警戒度MAXですよ!!w
これから、友好度上げて協力を仰がないとダメな相手に、イキナリ不安と恐怖を撒き散らしちゃいましたよ!!!!w
じーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ
互いに目を逸らす事無く、緊迫感に満ち溢れまくってる、地獄のような沈黙の中、この沈黙に耐えきれ無くなったので、原因である俺の方から【アクション】を起こす事にした。
「やあ、エルフの皆さん始めまして。 俺の名は”アバドーン”。
さっき、”造物主”に創られたばかりの【最も新しい13番目の種族】だ、君たちの”長”に挨拶したいので、取り次いで貰えないかな?」
「「「「「「「 !!? 」」」」」」」
「しゃべった!?」
「コイツ動くぞ!?」
「長に取り次げとか言ってるよ!?」
「どうしよう!?」
「どうしようか!?」
……………………メッチャ動揺しとるw それにしても、2番目のオマエ、
ナゼ【そのセリフ】を知ってるし!?
「静まれ!」
…ん? 森の奥から別の集団が来たぞ?
いかにも”精鋭”って感じの戦士 数人に守られる様にして、風格漂う年を経たエルフと幹部っぽいエルフが数人、こちらに歩いて来た。
静止の声を出したのは、中心に居る”長”っぽい爺さんみたいだな。
「お、長!?」
「ナゼ、こちらに!?」
長と呼ばれた爺さんは、おもむろに片手を上げ、うろたえてるエルフ達を制すると、威厳を感じさせる声で話し始めた。
「つい先ほどの事じゃ、ワシと長老たちは”神託”を受けた。」
「「「「「「「 !!!!! 」」」」」」」
「それも、直接声を賜ると言うハッキリとした形での。
…しかも、”神託”を受けたのは、我等【エルフ】だけでは無く、人間を除く11種族全ての長と、その重臣や主だった者達が、一斉にじゃ。」
「「「「「「「 !!!!? 」」」」」」」
…へぇ、みんな一様に驚いているけど、長に制されてから一言も”声”を出して無い。
カリスマか、他の理由かは知らないが、大した”統率力”だ。
「”神託”の内容は、どれも驚愕すべき話ばかりであったが、その中に『新しく創造した、13番目の種族の”王”が、我等の元に”挨拶”に赴いた。』との啓示を受けたので、他の古老も引き連れ、こうして出向いた次第じゃ。」
そう言って締め括った後、興味深げに視線を向けて来た。
その時俺には、その瞳に”幼子のような好奇心”と”賢者のように深い叡智”が、まるで矛盾せずに同居してるのだと、何故か唐突に理解した。
…まぁ、それはともかく此方も新興とは言え【一つの種族の長】として、ちゃんと挨拶しないとなー。
「お初にお目にかかる。 俺は最も新しき種族”レギオン”の王、”アバドーン”、 わざわざのご足労、痛み入る。
【造物主】に託された使命を果たさんが為、まずは、【最初に生まれた種族】である【エルフ】の長に挨拶せんと、この地を訪れた次第。
又、先ほどはお騒がせして、大変申し訳ない。
生まれて初めて見た”世界”の、あまりの美しさに、つい目を奪われてしまい。 羽を広げる事すら失念して、大地に激突してしまいました。」
…ホントは、【身体の強度】を試してみる為、ワザと激突したんだけどねw さすがに、そんなハッチャけた理由であんなに騒がせたと分かったら、怒るだろうしなーw ウソも方便って奴?
こう締め括るとエルフの長は、『ほう』と感心したような顔をして。
「これは、丁寧なるご挨拶、こちらこそ痛み入ります、ワシは【エルフ】を束ねておる”エル・パス”と申す。 周りの者は【氏族の長】や【古老】達じゃ。
お主の背負うた”使命”については神々より、承っておりますぞ、俄かに信じがたい話なれど、現実にお主がこうして目の前に居られる以上、信じる他には無いじゃろう。
…それよりも、安心しましたわい。」
「? ”安心した”とは、又、如何なる事でしょうか?」
「…神々より、聞き及んだお主の能力は、大凡の事しか判らぬが、それでも強力無比なモノであった、
それゆえ、少々不安だったのじゃ、お主が、好戦的で荒々しい者では無いか? とな…。
だが、先ほどのお主の話では世界の美しさに目を奪われて、大地に激突したと言う。
それで無事に済んだ、と言うのも驚嘆に値するが、ワシが安心したのは、美しさに想いを寄せる”心”を持っているのなら、きっと”優しさの意味”を理解しておると思うたからじゃ。」
「…過分な評価に、身のすくむ思いです。」
やっべ、良心が痛むわーw。 怒りを買わない為に付いた”軽い嘘”で、なんと言う高評価(笑)、動揺が顔に出ない”昆虫人”で助かったわww
「ともあれ、このような場所で”立ち話”も、なりますまい。
わが集落においで下され、【エルフ】は”レギオンの王アバドーン”殿を、歓迎いたしますぞ。」
そう言うと、エル・パスは 周りのエルフ達にも合図して、先導するかの様に歩きはじめた。
・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
「…おぉ、これは凄い…。」
思わず、声に出てしまったが、目の前に広がる光景を目にしたら、それも仕方ないと思う。
俺の目の前にあるのは【森の樹上】に造られたエルフ達の”大集落”。
…いや、もはや”都市”と言っても良いくらいの”威容”を誇る、【空中都市】とも言うべき光景だった。
「ほっほ、どうやら気に入って貰えたようですな。」
エル・パスも、俺の様子を見て満足そうにしていた、やはり、自分の生まれた集落を褒められるのは、誇らしいのだろう。
そうして、俺とエルフの幹部達は、中深部に位置した一際高い”家”に、招き入れられた。
中部はかなり広く、窓や照明器具のような物が無いのに やさしい光に満ちていて、どうやら大広間のような部屋で、車座になって胡坐を組んで座るのだろう。
座布団らしき物が中央を囲む様に、敷いてあった。
「まずは、これで喉を潤してくだされ。」
そう言ってエル・パスは、ガラスの器に入れた【薄い黄金色の液体】を、俺や皆の前に差し出した。
俺は腹を壊す事が無いし、少々得体が知れない飲み物だろうが、こちらの”信頼”を表す為にも一気に飲んでみるか。
「では、お言葉に甘えて、遠慮無く。」
…! 美味い、なんとも表現の仕様が無い、芳醇な香りと爽やかな味が口中に広がって、更には体中に活力が満ちてくるのが分かる。
「この様な、美味い飲み物を、初めて口にしました。」
俺が、素直に驚きを伝えると、エル・パスは笑いながら、
「”生命の水”と呼ばれる液体での、精霊の力が強い場所に泉のように湧き出して、あらゆる生き物に活力を与えてくれるのじゃ。
この世界が、我等に与えてくれる”恵み”そのものじゃよ。」
好々爺とでもいう笑顔で、教えてくれた。
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・・・・・・
・・
それからは、友好的な雰囲気のまま、今後の事や、今の世界情勢の確認、他の種族の動向などを話し合い、俺を歓迎する宴に突入。
【芸術神の祝福】で、更に強化された【森の音楽家】を駆使して、羽と喉チンコを震わせ捲った俺の歌声に、宴は大いに盛り上がったようだ。
そして、現在。
長に許可を貰って、世界樹の根元に卵を設置中~。
眷属を増やして、早速【アンテナ】を配らないとね。
既に孵化寸前まで神力を注がれた卵は、直径1,5ダントほどの丸い岩って感じだ。
ピキピキ!
程なく、卵の一つにヒビが入ったと思ったら 中から最初の眷属が生まれてきた。
その姿は、緑を基調としてる色以外は俺と同じで、既に成体になっており、興味深げにキョロキョロと辺りを見回している。
そうしている内に、俺と目があった。
じーーーーーーーーーっ。
ただいま、メッチャ見られておりますw。
「ハジメマシテ、王様。 …コンゴトモヨロシク」
悪魔合体か!?
「あぁ、初めまして。 これからよろしくな! それと他と区別を付ける為に、暫定的に”1号”と呼ぶぞ。」
そして1号の【ショルダーガード】みたいな甲殻に、神様から貰った”001”と書いてあるシールを貼りつけた。
これで見分けが付け易くなっただろう。
パキパキパキ!
次々と生まれて来る眷族たちに、同じ要領で名前とシールを付けてゆき、ポーチに入れてあった【赤いマフラー】を首に巻いてやる。
「よ~し、全員揃ったみたいだな。 早速…」
「王様、一人足りないっス。」
「ゑ?」
「あそこに、一個転がったままですよ。」
「「「…ホントだー。」」」
…あれ? 注がれた神力が足りなかったのかな?
バリン!バリン!
お!手足が出て来たぞ。
………………………つーか、卵から手足が生えてる、この姿って。
「「「「「 …エッグマン? 」」」」」
半熟英○かよ?!
ピキピキ! パリン!!
「ふぅ~、おはようございま~す。」
…なんだか、ノンビリした奴っちゃなー。
まぁ これで全員揃ったし、今日は宛がわれた家でゆっくり寝て、明日【アンテナ】を配ってもらおう。