プロローグ
色々な方からのご意見ご感想を頂きたく、この作品を投稿させて頂きました。
カメ更新ですが、なにとぞ宜しくお願いします。
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初めまして。
――と、言った所で、果たしてこの言葉は君に届いているだろうか?
残念な事に、今の私にはソレを確認する術がない。
なんといっても、この様な事態は私にとって……いや、この世界にとって、初の試みなのだろうから。
故に、この試みが有効なものであるのか、またそうでないのかの確認は、最終的な結果が出るまで、保留にせざる負えないのだ。
そして残念なことに、その結果を確認することは、きっと私には不可能だろう。何故ならその結果が出る頃には、私がこの世界に存在している確率は、著しく低い物であるからだ。
だからこそ、私は君に伝えておきたい。
例えこの試みが失敗する可能性が高かろうとも、成功すると信じて、私は君に託したいのだ。
私の、生きた証として。
私と共に歩いてくれた、友人達との絆として。
これから君に語るのは、私の過去であり業である。
恐らく君は、今の段階ではその内容の一欠らすら、満足に理解することが出来ないだろう。
だが、私の考えが正しければ、君はこれから私が語る内容を、委細漏らさず記録していく筈だ。
……我々は――そういう存在なのだから。
そして近い将来、君は必ずこの内容を理解し、私が望む選択をしてくれると、そう信じている。
だが、自らの過去を他の誰かに背負わせる事など、愚行以外の何者でもないだろう。だから私は、私がどの様な選択を君に期待しているのかを、伝える心算は毛頭ない。
これはあくまで私の過去であって、君の未来ではないのだから。
我ながら無責任なことだ。
これから語る内容が、君の未来に全く影響を及ぼさないなど、どう考えても在り得ないというのに……。
もしこれから先、私の伝えた話の内容によって、君の進む先に大きな困難が立ちはだかるというのならば、それは間違いなく私が原因だろう。
そう考えると、私はこの世から消滅して尚、この世界に業を産み出してしまうことになる。
――成る程。
どうやら、この試みが成功しようと失敗しようと、私は後悔することに成るらしい。
幾ら現段階で君の意思を尊重出来ないとはいへ、この様な我侭を一方的に君に押し付ける私には、当然の報いで在るのかもしれない。
いや……もしかすると、コレこそが“託す”という事なのだろう。
死して尚、その存在を失って尚、その先の未来に影響を与え続ける。
良しにせよ。
悪しにせよ。
ああ……そうか、この世界に生きる者達は、そうやって歴史を積み重ねてきたのだな。
その様なことに、今更ながらに気が付くとは、全く持って度し難い。この私とて、託された者の――受け継いだ者の一人であるというのに。
……さぁでは、実のところ余り時間もない。そろそろ話を始めることとしよう。
本来であれば、時系列に沿って語る方が解り易いのだろうが、私の場合は他の者達とは少々事情が異なっている。
なので、語り出しは“最初”の私からでなく、“その次”の私から始めさせてもらう事にしよう。
――それは、ある晴れた日。
大陸東部の国〈アーデラーズ〉。その西側の一角を流れる川沿いに、〈マハロ〉という一つの小さな村が在る。
私はそこで、私にとって“三人目”にして“最後の主人”と成る――小さくとも逞しい、ある一人の少年と出会った。
プロローグってこんなんで良いんだろうか?