第六幕 第五節:そして
「潰れろっ!」
両手に作った3m級の白い刃をヒナに叩きつけるように投げる。
ブォン!と風を切りながら進むその刃はヒナに届く寸前に、ヒナの体からあふれる黒いモノに打ち消される。
「流石に・・・・まだヒナのほうが強いのぅ・・・」
目を細めて二人の戦いを見ていたハイナはとあることに思い至り、全員に指示を出す。
「ここはもう大丈夫じゃ、各員全大陸の神塔へと向かい現時点で戦っている人間を援護するのじゃ。悪魔と戦う天使に、加護を与えるために!」
ハイナがそう叫ぶと、おぉ!と兵士達が雄たけびを上げ、それぞれの大陸へと向かうべく駆け出す。
「これが、わし等の戦いじゃのう・・・」
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体からあふれ出てくる光る風を視界いっぱいに広げて、詩架は思った。
「なんだかトンデモ人間になっちまったねぇ・・・」
呆れながら、詩架はヒナを見据える。
「お前も・・・ずいぶんと化け物じみた格好してるじゃねぇか」
詩架がいうと、ヒナは笑って答える。
「お主に言われたくはないのう、今のお主は人間と言われて納得できるような格好でないぞ?」
「言ってろ老害。なんかボルテージも下がってきたなぁ、まぁ何だ。後にも先にもこれが最後だ」
「そうじゃのう」
「俺がお前を殺せば、俺の勝ち。お前が俺を殺せば、お前の勝ち。」
「単純で良いのう」
「ああ。単純で良い。」
そう言って二人は不敵に笑って、共に剣を構える。
「ラストゲームと行こうか、老害!」
「負け戦へ身を投じるとはまだまだ頭が弱いな!若造!」
叫び、地面を蹴って飛ぶ。
すさまじい速度でぶつかった二人の周りに衝撃波が発生し、城はすでに原型をとどめないまでに破壊されつくされる。
「そら吹き飛びな!」
両者の気ともいえる白と黒のソレがぶつかりすさまじい轟音が響き渡る中、詩架が左手に握った剣を引き絞って放つ。
白い気を纏って放たれた剣戟はヒナの黒いソレを切り裂きながら進み、ヒナへあともう少しで届く、というところで剣戟は黒いものに押しつぶされて消えてしまう。
「クソッたれめ・・・」
相手は全世界の負の感情の塊。
大してこちらは神話の力。
どちらが強いかは、明白だろう。
「神とやらの力・・・借りたいところだが・・・」
このまま、突っ込むか―――――
そう心の中で思って右足を踏み出そうとした瞬間に、脳裏に自分が串刺しになる映像がフラッシュバックする。
一瞬何がなんだかわからなかったが、とにもかくもこういうときの直感は馬鹿に出来ないということを今までの死闘で身をもって知っていた詩架は思いきり後ろへ後ずさる。
「ほう・・・今のを予知してかわすか・・・変わったようじゃのぅ・・・若造」
感心したようにそう言うヒナの言葉に違和感を感じて、逡巡し、理解する。
そうか。
そうかこの世界はあの世なんかじゃない。
この世界は―――――




