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第六幕 第三節:開

間隔あいてすいません。

「お嬢さん、私に勝とうというのは無理だといっているだろう?」

シルクハットをゆらゆらと揺らして言う男性は、おちょくりでもなんでもなく真剣に言っているのだとわからせる。

「確かに・・・今の私はとっても弱い」

なぎなたを下に向けて構えながら、氷見は改めて言う。

「けれども、勝機と強さは、イコールじゃ・・・ないの・・・!」

ダッと地面を蹴り上げてなぎなたを突き出して突進するも、易々と上に飛ばれてかわされる。

つい先ほどまでならこのまま頭の後ろを少し押されて転んでいたのだが、今は違う。

「まだまだぁ!」

グッと腕に力をこめて思い薙刀の刃を回転させ、右手で刃付近の柄をしたに押し上げ、左手で石突を押し下げて刃を上に振り上げる。

「なんとっ」

予想外の攻撃に意表をつかれた男性は胸元をわずかばかりに裂かれる。

その振り上げた回転をいかして、わずかに軌道をずらすだけで斜めの回転で二撃目を加えんと円の動きを生かしてそのまま叩きつける。

うまくいけばそのまま真っ二つに裂けろうものだが、シルクハットの男性は一味違う。

「やるねぇ!」

ニヤリとわらった彼は手に持っていた杖から刀を引き抜いて勢い良く迫る薙刀を受け止める。

その光景をみて、薙刀が受け止められることが明白だと判断した氷見は、チラリと石突へと視線を投げる。

(地面まで10cm程度)

そう確認した瞬間に、薙刀は鈍い音を立てて受け止められる。

衝撃でそう判断した瞬間に、回転方向の地面向きに両手で思い切り力をくわえて飛び上がった。

すると必然的に薙刀を受け止めていた男性は空中にいるために踏ん張ることもできずに地面へと叩きつけられる。

「ぐっ」

地面にぶつかって肺の空気が一気に外へと逃げて、空気を求めるために男性は一瞬あえいだ。

その一瞬をついて、飛び上がった氷見は体重と回転をそのまま乗せた重い一撃を叩きつける。

「やられた・・・・ままではいかんよ!」

縦の一撃を男性から見て右に転がることでかわすと、左手で地面を押し出して上半身を押し上げながら、右手の暗剣を転んだ回転をいかして氷見のわき腹を切り裂くために引き上げる。

それを視界の隅で確認した氷見はすぐさま行動に移った。

(いまからじゃこの薙刀の重さじゃ防御が間に合わない・・・・!)

脳裏でそれだけ把握すると、地面に接地している刃を押して体を上方へ少しずらして余裕をつくり、そのまま体を右側にひねりながらさらに力をこめて刃を押す。

すると、刃をかわすように体が回転しながら離れることができる。

しかし氷見はこれだけで終わらずに、追加攻撃を行った。

刃が地面に食い込んだことで、刃の上に乗っかるようにして浮き出した地面を体ごと薙刀を捻ることで掘り出し、さらに回転しながら石突を下方へ押し出し空中に浮かせる。

そして地面に着地したと同時に刃を横薙ぎに回転させて男性の頭をねらう。

しかしそれは頭を後ろへそらすことでかわされる。

(あの人の反応速度ならすぐ起きるはず・・・!)

予想通りにすぐに顔を起こした男性をみて、氷見は自分の予測行動を少しほめながら、自分のすぐ隣に浮いている土の塊を回転している薙刀の石突で砕いた。

すると石つぶてのように男性に飛来していく土は見事に目くらましの役目を果たした。

しかし、石つぶてがつぶしたのは男性の視界だけではない。

ヒュ、と風を切りながらつぶての中を通って飛来したクナイは見事に氷見の右肩に突き刺さった。

「ぐっ・・・・」

驕った・・・・!

石つぶてをしたあとに移動しなければ視界をつぶした意味がない!

脳裏を一瞬で後悔が埋め尽くすが、それを一気に押し込んで、もれそうになる悲鳴をこらえながらすぐさまクナイを抜いてクナイごと薙刀を握る。

確かあの男の利き腕は右手のはず。

そしてここまでの速度でクナイを投げられるということは今現在も右手で暗剣をもったままであり、あいていた左手でクナイを投げたという推測ができる。

そう考えたことから一瞬男性の左手側を攻撃しようかと思うが、クナイを今も持っていないとも考えられないと思いつき、石つぶての下方向。つまり腹部にむかって薙刀を突き出す。

確実に捕らえたと思ったが、薙刀が突いたのはただの空気だった。

簡単なことを失念していた

なによりもまずシルクハットの存在がその場にいるとは限らない・・・!

とんでもない間抜けだ。

この状況から察した予想が当たってるならば石つぶての中から薙刀が生えているのをシルクハットの男性は後ろで見ているのだから。

これはつまり自分の居場所をはっきりとおしえてい・・・否。

その裏をかけばいい。

なるべく薙刀の突き出る速度に違いがでないようにそのまま手を離し、後ろに飛び上がる。

すると案の定、薙刀の石突の部分の空間が一閃。

きれいな太刀筋で横一門に薙ぐが、そこに氷見はいない。

ここで、氷見の切り札ともいえるものが発動する。

「オーバー・・・ブースト!」

氷見がそういうと、一瞬で下半身の義足がけたたましい音をたててモータを掻き回す。

そして次の瞬間。

ドゥ、という小さな音をたてて、しかし加速的には戦闘機にも勝るとも劣らないブーストを発射させた。

風圧に負けないように上半身を一生懸命に起こし、さっき右肩にささったクナイを左手で上段でかまえ、剣の先にいるであろうシルクハットへクナイを振り下ろす。

衝撃波で吹き飛んだ土煙のその向こうにはシルクハットの男性が確かにいた。

しかし、その距離およそ10m

「なん・・・」

氷見の脳裏に疑問符が浮かぶが、すぐに理由がわかる。

鎖鎌!

シルクハットの男性からここまでをつなぐ地面にたれている鎖は、男性がソレを投げたことを容易にわからせる。

そしてあそこに待機しているということは。

何かしらトラップが。

そう思って周囲を視線だけで見回すと、上にクナイが雨のように降り注ぐのがありありと視界にうつる。

「嘘っ!」

ブーストを反転させて後退しながら薙刀の柄を手にして後ろへ後退する。

クナイの雨が途切れるところまで到着し、ホッと胸をなでおろしたのもつかの間、今度は前から暗剣が飛ばされてきている。

それを危なげに薙刀で叩き落すと、次は槍を持った男性が飛び掛ってくる。

(このブーストに追いつくなんて何者よ・・・!)

すさまじい勢いで突き出された槍を絡めとるようにして上に弾き飛ばすと、賞賛したような表情の男性が視界に移る。

(師匠にでもなったつもり・・・!?)

再び突き出された暗剣を石突で弾きながら、先ほど弾き飛ばした槍を刃で器用に回転させて男性に叩きつける。

しかし回転を見極めた男性は上手に回転にあわせて手を動かして槍を奪い取り、そのまま氷見の頭へ投げつける。

それを首をそらすだけでかわすと、本命の足へ突き出された暗剣を石突で下に軽く弾いて軌道をかえて、義足で暗剣を上から踏み潰して叩き折る。

そして石突を上に引き上げることで刃を下に下ろす、威力はないが攻撃速度はかなり速い攻撃で。けん制攻撃という意味ではかなり有効な手だ。

ザッと後ろに後ずさったシルクハットの男性を追うようにして、薙刀を突き出すと、男性は袖口から出した鎖鎌で薙刀を絡めとり、グッと思い切り引いた。

思わず薙刀と一緒にシルクハットの男性へ引き寄せられると、男は右手から小ぶりの剣を引き出して氷見へ突き出した。

確実に刺さるコースだった。

相手がこの世界魔法使いでも、おそらく刺さっていただろう。

しかし相手が未知数の科学者だった場合は違った。

グォン!と先ほどのブーストで暖まっていた義足が史上最高出力をはじき出した。

結果としてとてつもない勢いでバク宙のように後ろに回転した。

回転速度を乗せた蹴りは剣を粉々に砕かれるレベルでの衝撃を剣にあたえた。

男は不可解な光景と腕の痺れに体の動きが否応なしに一瞬とまってしまう。

氷見はその隙を見逃すまいと、足のブーストを反転させて勢いを消してからブーストを消し、体をひねって男のあごを思い切り横なぎに蹴った。

ぐわん、と一度首をゆらした男はそのまま糸が切れたように地面に倒れこんだ。

「・・・・・ふぅ」

痛む肩を抑えて空を見上げると、最初に分かれていった仲間たちが駆け寄ってくるのが見える。

「・・・・勝った・・・・!」

ガッツポーズを体でするほどの元気もなく、倒れこんで空を見上げていると、いつしか氷見の意識は薄れていき、氷見はそっと瞳を閉じた。

小さな少女の、初めての強敵との戦いは白星を収めた

間隔あいてすいませんでした。

しっかりと完結させたいと思いますので、最後までお付き合いいただけると幸いです

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