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第六幕 第一節:反

「俺は・・・死んでいる?」

暗闇の中、詩架は多大なる衝撃を受けた。

しかしそれと同時に思い出す。

俺は確かに死んだ。

そしてそのあとあそこへいったんだ。

そう。


四大陸へ


そして・・・


俺はあいつにあった。

山の奥へ降り立った俺はかつての英雄と呼ばれていたあの男。


レイグと出会う


そこで魔法を教わり、そして影の話をしたらレイグは驚いたように・・・

腰から宝玉を取りだして。

考えてみればおかしかったんだ。

なぜ最初にあの村で宝玉を狙っていると分かったんだ。

何故それが大切なものだと分かった。

無理やりすぎると自分でも思っていたが。

体験していたからだ。

そしてレイグに門を出してもらいくぐった俺は俺が消えた次の瞬間の俺の場所・・・つまり粒子拡散砲が過ぎていって体が消えた次の瞬間に舞い戻った。

そして仲間達の処置をして・・・なんで生きてるんだろうな俺という話もして。


あぁそうか。

そういうことか。


なるほどなかなかどうして、神とやらは楽しい事をしている。


つまり俺がやる事は一つ。


****


ムクリ、と詩架が上体を起こすと、真っ先に抱きついてきたのは由佳だった。

「っでぇ!ばっか傷は治ってないんだって離れて離れて」

詩架はそう言って由佳を引き剥がすと、演説をしているハイナへ向かって声をかける。

「なぁ、そこにレイグはいるか?」

起きた事も驚いたが、まずその口からレイグの名が出てきた事に驚いたハイナは、何を言うでも無しに頷くだけだった。

「じゃあちょっと借りるぞ」

詩架はそう言ってハイナをどけると、門へと声を投げかける。

「俺だ、詩架だ。久しぶり・・・という訳らしいな。やっと思い出したよ。三年前・・・正確には二年半か?一旦戻ったんだけどまぁ色々とあってまた戻ってきたんだ。レイグ、顔見せてくれないか。ちょっとばかし・・・色々とまずい事になってる」

詩架はそういうと、門をハイナに引き渡して耳元の無線機でリリに言う。


「お前、今居るんだろ?一つ聞きたい」

詩架がそういうと、リリは一つためを置いて答えた。

『はい』

「俺が死んだ事、知ってたな?」

詩架のその追及に周囲の人間は息を呑む。

由佳にいたっては理解が追いついていないようだ。

しかし、その現実はリリによって肯定される。

『はい。しかし―――』

「いい。別にそれを知ってどうこうって訳じゃあない。悪かったな」

詩架はそれだけ言うと、有無を言わさずにリリへもう一つ要求する。

「お前がここにこれてるって事は笠花の人間は来てるんだろ?ここに」

『ええ。若干やられてますが』

「ったく。あいつらも律儀な奴らだ。悪いがすぐにつないでくれ」

詩架がそういうと、リリは短い返事で回線をつなげる。

『どうぞ』

リリに促されて、詩架は無線機に向かって言う。

「おい野郎共、苦労かけたみたいだな。でも残念ながら援軍には行けないんだ。まぁなんにしろお前らの敵じゃねぇだろ」


「蹴散らせ」


詩架がそういうと、無線機の向こうから一つの単語が聞えてくる。


聖紋解放。


三年前幾多もの戦で使われたその単語は再び日の目を見ることになる。


****


「何よその聖紋解放とやら」

その女性の問いに答える必要は無い。

キュ、という磨れる音を立てて、右拳の装甲が展開される。

「まぁ・・・なんだ。本気モード・・・ってやつさ」

不敵に笑う礫を見て思う。

「今まではお遊び・・・って事だったのかしら?」

女性がそういうと、礫は笑みを崩さずに答えた。

「ちげぇよ。違う違う。さっきも本気。これも本気さ。ただラウンドが変わっただけさ。1Rはあんたの勝ち。2Rは・・・・どうかな?」

礫はそういうと、脳内で右足の義足の熱度を上げていく。

『熱度100。いつでもいけます』

「オーケーリリ。勝負だお嬢さん。あんたの名前は?」

礫のその軽薄なノリに乗せられた女性は名乗る。

「アルフィルクスよ。坊ちゃん」

「アルフィルクスね。いい名前だ。俺は笠花礫。イイ名前だろ?」

礫のその言葉に、扇を口に当ててフフ、と笑うアルフィルクス。

「いきがっちゃって可愛いわねお坊ちゃん。私に勝ったら名前で呼んで上げるわよ?」

そのアルフィルクスの言葉に気付く。

そうかい。

負けたら死ぬっていうことも分かってないのか。

だからこそ聞いたのに・・・

まぁいい。

『熱力さらに上昇。300。暴走まであとわずかです』

「わぁってるよ。じゃあ・・・いくぞ」

グッと右足に力を入れた瞬間に半径20mの周囲に熱帯が発生する。

「この中は俺のゾーン」


「逃げ切れるかな?」


キュイン、という機械の駆動音が鳴り響いたかと思えば、アルフィルクスの手に持っていた扇が四つに分断されていた。


「余裕ありすぎるんだよ。今まで手を抜いてくれてた礼だ。次は首を取るつもりで行く」

礫が空中の空気の壁に足をくっつけていると、アルフィルクスは面白そうに礫を見て鼻を鳴らす。

「どういう仕組みか・・・ちょっと知りたいけどまぁいいわ・・・侮っていた事は認めるわ。けれども奇蹟は二度は起きないわよ」

彼女はそういうと、シャン、という音を立てて中国刀を二本引き抜く。

「おいで、ボーヤ」

彼女のその言葉に礫はフン、と鼻を鳴らして答える。

「奇蹟は二度は起きないだって?俺はもう何百回と奇蹟を起こしてるんだぜ?今更ケチるほど無いわけじゃあねーよ」

礫はそう言って冷たい空気の壁を蹴って眼にも留まらぬ速度でアルフィルクスに襲い掛かる。

「そら一撃目だ!」

思い切り縦に振り下ろすが、帰ってきたのは肉体を切り裂く手ごたえではなく金属と金属がぶつかった硬い感触だった。

「良く防げたね?」

礫が笑って言うと、アルフィルクスはクスリと笑い返す。

「直線的すぎてよ?」

「ならこれは・・・どうだい!」

バッと礫は右足を横に蹴り上げると先ほどと同じように左へ高速移動をする。

同じ要領で繰り返し不規則な高速移動を始める。

しかし10秒程それを繰り返していると。

「つまらないわね」

ドス、とアルフィルクスの刃が礫の影へと突き刺さる・・・はずだった。

確かに礫の姿をしたソレはなぜか、四散していった。

「え・・・?」

ドス

下腹部から覗く刃の先をみて首をかしげる

「なん・・・で?あんたいま・・・」

「あんた、炎の扱いにゃあ長けてないだろう?」

「私は風属性よ・・・」

アルフィルクスの言葉を聞いて礫は鼻を鳴らして言う。

「蜃気楼ってぇやつだ。後で教えてやるよ」

ズ、と下腹部から剣を引き抜くと血を払うようにして振るうと、アルフィルクスが気を失ったことにを確認すると処置を始める。

「あんなにあっさり隙が出来てくれるとはね。まぁ願ったり叶ったりだ。他の奴は・・・まぁあいつらなら何とかなるだろう」

礫はそう言って、この世界に来たときに言われた言葉を思い出す。

『恐らく、今詩架に襲い掛かっている敵はかつての仲間達じゃ。出来れば、でいいが殺さずに置いてくれるかの』

最初は無理だろうと思ったものだが案外、いけるものだな。

処置を終えて、ふぅ、と溜め息をつくと静かに立ち上がった。

「あー・・・体いってぇな」

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