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過去篇 第十二節:交わる刀

カン・・・カン・・・と靴が金属を踏む音がさびれた倉庫に響く。

自分達のものではない足音、さらにはそれが戦いに長けたものの歩き方。つまり衝撃を吸収し、いつでも戦闘に移れるようにという歩き方だと気付いた瞬間に、談笑をしていた男達の口が止まる。

カン・・・カン・・・

影の中の暗闇から響くその音は、影か、人か。

男達は視線でその二択を選びあう。

影か、人か。

張り詰めた緊張の糸は、影から姿を現した詩架によってぷつりと途絶える。

「んだよ少年迷い込んだか?」

卑しげな笑みを浮かべて詩架に歩み寄って肩に片手を置こうとするのを、詩架は一歩後に下がってそれをかわす。

「お前らは、琉雨を保護するために来たんだろう?」

詩架のその問いに、詩架の肩に手を置こうとしていた男は頷いて背後に居る六人の男達に笑いながら話しかける。

「ホントにきやがったよ、ナァ?おい電話つなげぇ」

男のその声に反応して電話を持つ人間はすぐさま琉雨の親へと電話を掛ける。

するとぴり、という音がなったか鳴っていないか分からないレベルの速度で通話がつながる。

[おやおやまぁまさか身柄をつれてきてくださったの?]

癪に障るその喋り方に詩架は答える。

「いや、お前等を阻止しに来ただけさ」

詩架がそういうと、電話の向こうの人間も少し意外そうに言う。

[貴方は私の意見に賛成していてくれたと記憶にはあるのですけど?]

「言ってなかったか?一般論では、って言ったはずだ」

[あらまぁ、でもどうしてかしら?こちらには武装した大男七人。対する貴方はろくに装備も見えない一人。勝ち目はあるのかしら?そもそも貴方の行動原理が理解できないわ。]

「理解?んなもんいらねぇし、多分アンタには一生理解できねぇだろうな」


「あいつがお前の元へと行きたくないと、リリ達の側から離れたくないと言った。それだけで理由は十分だ。俺はそれでもあいつを連れて行こうってぇんなら俺はお前等と戦うそれがあいつの出した答えに対してできる俺の行動さ」


[それこそ理解不能です。なぜ行きたくないというわがままを聞くのです?]

「わがままを聞く?ちげぇよ俺がやってるのはただ単に借金を返済してるのと同じことさ。借りはかえさねぇとな?」

詩架はそう言うと、シャン、という綺麗な音をたてて背中から展示用の刀を急遽研いで作った急造品の刀を抜く。

[あらあら、そんな子供のお遊びみたいなものまで持ち出して。遊びでは済まされないこともあるのよ?・・・・やっておしまい。生死は問いません]

「はん・・・子供のお遊び・・・?ちげぇな」

詩架がそういった次の瞬間に一番近くに居た男の懐から刃渡り20cmほどのナイフが抜きざまに詩架の首に襲い掛かる。

が、詩架はそれを難なくかわして2mほどバックステップを踏んで言う。

「化物のお遊びさ」


****


「なんで・・・詩架が・・・?」

どちらかというと母の味方だった彼が何故、という疑問がまず湧くが、その次の瞬間には詩架が危ないという思考で頭が一杯になる。

思わず飛び出てしまいそうになる琉雨を礫は慌てて止めて言う。

「ばっか今飛び出したら足手まといになるだけだって!今は詩架に守ってもらうことに専念しろ。あいつは言っただろ。貸しを返すだけだって。ここで今飛び出しても何一つ良い事はない。あいつに貸しを返させてやれって」

そういいながらも礫は心配そうな顔で礫と男七人が繰り広げる戦いを見る。

が。

次第に心の中に安心感が広がるのが分かる。

素人目に見てもわかる程に、詩架の実力は圧倒的だった。

****

襲い掛かる五人の一通りの攻撃を全て避けると、まだまだ余裕、と言った表情で詩架は煽るように言う。

「ほらほらぁまだまだ傷一つおってないぜ?尖鋭兵士さんたちよぉ?」

詩架はそういいながら、心の中で少し溜め息を吐く。

影の連中に比べればこいつらの動きは子供みたいなもんだ。

動きも遅いし狙いも甘い。

尖鋭兵士が聞いて呆れる。

とは言うもののこちらも先の戦闘で負った傷が未だに癒えていない。

速めに決着を着ける・・・っ!

心の中でそう強めに思うやいなや、ダッと地面を蹴って最初に肩に手を置いてきた男に詰め寄る。

「そぉらっ!」

近寄る詩架にと振り回されたナイフを避けて懐に潜り込むと、四肢にそれぞれ一つずつ穴を開ける。

左手にもつ刀で相手の右半身を、右手に持つ小刀で相手の左半身をといったように。

「ぐぁ・・・っ」

うめき声を上げて倒れこむ男を尻目に次の男へと飛び掛る。

カン!と左手で振り下ろした刀を受け止められる音と衝撃を認知した瞬間に右手に持つ小刀を相手の足の甲に向かって投げつける。

ザク、という革を刀が突き抜ける音と共に眼前の男が短い悲鳴を上げる。

ふっと相手が痛みに負けて力を抜いてしまう瞬間を狙って思い切り押し返して体制を崩し、そのまま刀の背でアバラを思い切り叩く。

「ぐふっ・・・」

メキッと響く音は男の肋骨が折れた音なのだろうか。

そんなことを思いながら視線を動かすと、自分のすぐ左側にナイフを今にも振り下ろさんと構えている男が居るのに気付く。

自分の認知の遅さに心の中で舌を打ちながら、今現在肋骨に剣を叩きつけている両手のうちの左手を離して瞬時に肋骨に剣をめり込ませている男から刀を奪い取って襲い来るナイフを受け止める。

「んな!?」

あまりの反応のよさに心底驚いたのか敵の動きが一瞬止まる。その隙を見逃すまいと胴に思い切り脚を突き出した蹴りを喰らわせと、ドッという肉を打つ音を響かせて敵が後退する。

このまま反撃の暇を与えても面倒なので男に向かって右手に持つ刀を思い切り投げつけるが、心臓に突き刺さるコースだった刀はかろうじてその刀を弾いた男によって吹き飛ぶ。

かろうじて刀を受け止めた男は必死に体勢を整えるが、体勢を整え終えた瞬間には目の前に両の手にナイフと小刀を持った詩架が居る。

速すぎる。

男の脳裏にその言葉がよぎった次の瞬間には意識が途絶える。

ヒュンヒュンと孤を描く刀を尻目に、たった今意識を奪った男を軽く盾にしながら瞬時に回りを見る。

七人のうち三人をやった。残りは四人。

どこだ。

そう心の中で呟いて改めて周囲を認識してみれば、そこには動きについてこれて居ない二人と、既に迫ってきている二人がいる。

その二人に気絶した男の両脇から刃物を投げつける。

左側の男は太ももに突き刺さったが、右側にいた男は飛んできたナイフを上手く弾き返した。

「外したか」

両方一気には流石に無理か。

そんなことを思いながら、盾にしていた男の腰にさしている予備ナイフと右手に持つナイフを抜きながら左側の男から攻め落とす。

まず右太ももに刺さったナイフを走りざまに足で更に深々と突き刺しながら痛みにゆれる上半身の頂点にある頭の顎をこぶしで打つ。

パン、と革を打つ乾いた音が響けば、ガクリと力なく倒れること間違い無しだ。

そしてその勢いのままに、回転するようにして左腕に握ったナイフを右側にいる男の攻撃の防御に回す。

カン!と金属と金属がこすれる嫌な音がする。

まさかここまで上手く行くとは。

心の中で自分に舌を巻きながら、その回転をそのままに右足で男の顎に思い切り蹴りを喰らわせる。

これで同時に二人ノックアウト。

残り、二人。

キッと鋭い視線を上げて様子を見ているのか、単に動きが読めずに立っているのかわからない男二人を見据える。

カン、と言う音を伴って自分の横に落ちてきた剣を拾い上げ終わるのを合図に、右側に立つ男だけが飛び込んでくる。

一対一を挑もうと言うことか。

心のなかでそう把握すると、右手に持つ小刀をそっとしまう。

一対一。

目の前で仲間を倒されて尚挑んでくるほどの自信の持ち主に距離感の定まらないこの目で戦えるのか。

そんなことを逡巡するがすぐにあほらしいという結果をもってして捨てる。

どの攻撃から始まるか。

ただひたすらにそれを見極めるんだ。

動きの読めない影とは違って相手は人間。ある程度なら一手読めればその先が分かる。

ク、とナイフを持った右手が妙な動きをして突き出されたのを見た瞬間に、右後ろに下がる。

それと同時に腰をひねって左手の剣を跳ね上げるようにして肩を裂かんと攻撃をする。

しかしそれは呆気なく左手に持っていた暗剣に防がれる。

敵の防御行動が成功する。それが意味することは。

敵の最初の一手の右手の攻撃に対する左側の体への攻撃の防御ができなくなったと言うことでもある。

ここは右手の小刀で攻撃すべきだった、と心の中で舌打ちをしながら極力避けられるように両の脚を浮かせて自身を寝かす。

スッと空気を切り裂きながら目の前を走るナイフは流石に心臓を縮み上がらせるほどの怖さがある。

右手で着地して体勢を立て直しながらバックステップを踏んで5m程の距離を取る。

(なっかなかどうしてやるじゃねぇか・・・)

おそらく今までの五人ならば、左手に暗剣を持っていたとしてもあのまま肩を切り裂けただろう。

格が違う。

思わず右目の眼帯を取り外したくなるがその衝動をかろうじて抑える。

なんかピンチで眼帯外すのって厨二くせぇとか思ったわけでは全く無い。全くだ。

「やぁ少年。なかなかやるじゃないか。これでも君にやられた五人は曲がりなりにもこの業界ではトップクラスだったんだよ」

突然話しかけてくる二刀使いの言葉に眉をひそめる。

「でもね。それでも僕達二人は違う。僕達二人はそこに転がっている五人とは違って称号があるんだよ。この業界だからこそ付く称号がね」

そのままつらつらと言葉を連ねる彼曰く。

自分は「穿孔の突屋」

背後に居る男は「剛力の単騎」

「まぁ業界にはあと一人居るんだけど。僕達はさしずめNo3とNo2ってところかな。なぜ僕達にだけこんな序列や称号があるか分かるかい?」



「そこに転がっている連中とは絶対的な、どうやって努力しても超えられない、壁があるからさ」


「そんな僕達に、勝てるかな?」


挑発的に笑う穿孔の突屋という称号をいただいた男を見据えて詩架も笑う。


「影相手に勝った事のある化物に・・・勝てるかな?」


同じような台詞を吐いて、先ほどの妙なこだわりからくる眼帯をつけていると言う下らない行為をすて、大人しく軍用眼帯を脱ぎ捨てる。

スッ・・・と静かに開かれたその奥にある銀色の瞳はしっかりと眼前の男を見据えていた。

やっと出番か、とでも言わんばかりに。

さぁやってまいりました典型的な眼帯とピンチの眼帯開放ですね、テンプレですね、厨二ですね。

小説だからべつによぐね?とかおもいつつも改めて投稿前に読み返すとはずかしいですねこそばゆいですね。

皆さんもそんな経験ありませんか

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