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第一幕 第三節:過去の災厄

全員の自己紹介が終わると、先程俺が入ってきた部屋から豪勢な鎧に身を包んだ一人の大男がドスドスと大きな音を立てながら入ってきた。


大男、といっても横に大きいのだけで高さは160cmほどだろうか。


この男も髭を蓄えていてさらに髪も目も茶色のために地大陸の人間だろう。


意図のわからないその男の行動に多少怪訝な視線を向けて男の行動を見守る。


男は部屋に入ったときの失礼しますという声以外は発しずに、一直線に評議会のギィニの隣へと歩み寄り、そして直立してこちらを見据える。


まさかここから戦闘になるとは思えないが、入ってきた男の嫌な視線を浴びると流石にその確信も疑いたくなる。


コイツの出番か。と先程仕舞っておいた短剣を何時でも抜けるように右手を多少浮かして何時でも抜いて応戦できるようにしてばれない程度に体勢を整える。


「こいつがこれからの旅を率いる隊長の座に着く男のギムニ ハイニだ。実力は保障されているから安心せい。」


そう言ってギィニが紹介をすると、ギムニと紹介された男は以前無言のまま立っていた。


嫌いなタイプだ。


などと自分の事を棚に上げそう思っていると、次いでひ弱そうな水大陸の男。そして気だるげな雰囲気をまとう火大陸の男。おどおどしている風の大陸の子供が入ってきた。


何処からどう見ても勇者一行ってぇ面子じゃあない。


そんな事を思い、げんなりしているとウィミンがこちらへ言葉を投げ掛けてくる。


「一々紹介するのも面倒だ。訓練場で手合わせしながら紹介をしてもらいなさい。」


その自称500歳の言うとおりに部屋を後にし、ギムニの後について訓練場へと歩いていく。


評議会の連中がいる部屋を出てからしばらく重たい雰囲気が一行を支配した。


弱冠一名関係無さそうに気だるげな目を擦っているのがいるが。


最初に口を開いたのは、おどおどしている風大陸の少年だった。


「あ、あああああの、貴女はどの大陸の人・・・なんですか?」


貴女・・・確かに女顔だとはいわれるがなぁ・・・まぁいい。


「俺は・・・なんというか評議会の連中から言わせれば異世界の人間らしい。」


「連中って・・・・え?い、異世界ですか!?」


「そう、異世界。」


俺がそういうと、水大陸の男が口を挟んでくる。


「ですが貴女の風貌だとどう見ても地大陸の人間にしか見えないのですが。身長は例外として。というか貴女が地大陸の人間だからギムニさんが隊長になったのでは?」


「いや単純に俺の召還に成功したのが評議会のなかの地大陸の人間だったからその功績を認めてって話じゃないのか。」


俺がそういうと風・水共に何か納得したように頷いた。


「それと俺は男だ。」


「「えっ」」


****


ともあれそんなやり取りをした後、訓練場へ足を踏み入れる。


先程までの何処か緩やかな雰囲気はどこえやら。


訓練場へ足を踏み入れたとたんにそれぞれの表情が引き締まった。


何をするのか分からずにとりあえず隊長といわれているギムニの動向を見ていると、突然ギムニが振り返って運動用の服を投げつけてくる。


「貴様の体格はどうやら火・水大陸の連中に酷似してるようだからな。これを渡しておこう。」


そう言って渡されたのはおれの世界で言うジャージのようなものだった。


「そりゃあどうも。」


手渡されたとは言えないがとりあえず渡されたジャージを着て、木刀を持ってさぁ訓練だ。と言う風に心の中で切り替えをした次の瞬間。


カンッという乾いた音が鳴り響いたと思うと視界は反転し、いつの間にか地面へと横たわっていた。


「なに・・・がっ」


状況把握できない脳を再起動させてフル稼働させる。


右のこめかみから血が出ているということはつまり木刀で殴られた。


何故?知るか。


誰が?風大陸のあいつと水大陸のあいつが慌てているところをみると殴ったのは火大陸か地大陸。


ぼやけた視界を必死に定めながら眼前をみると、そこにはいきり立ったギムニがいた。


「なんの・・・つもりだ・・・」


切れた傷からあふれ出る血を吐き出しながらギムニに問いかける。


「なんのつもり?しつけと言う言葉を知らんのか?躾は最初が肝心なんだぞ?」


あぁなるほど圧倒的な力の差を見せ付けてって奴か。


ならいい。


「なら。その言葉通りにしたがって俺もアンタをしつけるとするか。」


おそらくコイツが隊長になったのも偶然ではなく必然。評議会あいつらの仕業だろう。


実力を見定めようって事か・・・・面倒だ。


心の中でそう悪態を吐いてかおをあげると、目の前には気弱そうなあの少年が心配そうにこちらの顔の傷を覗き込んでいる。


「大丈夫・・・です・・・!?」


少年の視線がこめかみから右目に移ったときに、少年は息を呑んで目を丸くした。


その行動に一瞬疑問を感じたが心当たりは一つしかない。


カラコンが外れた。


その結論に至った瞬間に少年の口を塞ぎながら右目を瞑る。


「内緒に、な?」


そういうと少年を盾にして他の人間に見られないようにカラコンを容器から取り出しふたたび右目に装着する。


「説明はあとだ。まずはあのギムニをやる」


俺がそういうと、少年は少し慌てたように両手を振って無理だというジェスチャーを繰り返す。


「むっむりですよ!あのギムニさんは四大陸大会で二度の優勝をもぎ取った実力者ですよ!?」


「ほぅ、でもそれはルールのある世界で、だろ?」


俺はあの悲劇の生き残りさ。


負けるはずが、ない。


****


2290年。


実に今から三年前の事である。


茨城の県境に透明な壁が発生し、茨城に異形の者が降り立った。


その異形の者は破壊の限りを尽くし、東京を焼け野原にした後、消え去って言った。


異形の者。と呼ばれるものではあるがそれは複数で、獣の形をしたもの。ただれた液体のようなものまで様々だった。


それらの異形の者は先にも書いたように破壊の限りを尽くしたのだが、しかし人間もやられるだけではなかった。


反撃の基盤になったのは若者達だった。


それも12~17歳というまだ子供とも言える若者達。


その若者達はインターネットを利用した独自のネットワークを構築し、茨城内だけで出来る武器生成などの情報を集めた。


このときの茨城の技術力は他の県より数十年・・・いや一説によると数百年単位で進んでいたといわれる。


ゲリラ的に繰り広げられる戦闘は苛烈を極めた。


要所では核に匹敵するほどの破壊力を秘めた爆弾が使用され、無反動のガトリングなどが次々と生産されそして使われた。


そんな戦いが一週間ほど続き、来た時と同じように突然異形の者たちは突然。本当に唐突に消えて言った。


そして同時に茨城に展開されていた壁も消滅した。という情報が茨城で戦闘を続けている(と、思われていた)少年たちに届くと、その少年達は姿を現した。


その人数。


八人。


人数の少なさに世界は驚愕した。未だテレビ取材班などが茨城内で生きていた時に中継された映像はとても八人で相手が出来るような数ではなかったからだ。


三つの市を合わせても足りないような量をなんと八人で相手をしていたというのだ。


しかし全員無傷と言うわけにはいかなかった。


体のそこかしこに永遠に残る傷をつけられ、一人は右腕を失い、一人は下半身を失い、一人は左足を失っていた。


しかしそれだけならばまだ・・・まだ、と言うレベルだがましだろう。


本当に人々がおどろいたのは、その欠如した部分に機械を組み込み以前の肉体以上に自由自在に操れるように改造されていた。


そして少年たちが手にしていた武器や、体に装着されていた機械にはいずれも笠と、そのの下に花が描かれており、その隣には英語でこう書かれていた。


”KASAHANA・project”


と。


その文字を目にした人々は茨城を守り抜いた少年達に敬意をもってこう呼んだ。


笠に守られる花の少年少女達。と。

来ました私お得意の超展開。

一応この展開は最初から考えられていたので思いつきというわけでもないのですけれども。

これで主人公たちが孤児な理由も、苗字が同じ理由も分かりましたでしょうか。

苗字が同じ理由は後々語る予定ですけれども。


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