第三幕 第四節:戦いの標
更新遅れてすみませんでした。
今回はすこし(?)長めです
最近いろいろな新顔が出てきてアイツがそっちにかかりきりになるのも分かるけど。
でも。
もうちょっと、かまってくれてもいいんじゃないかな。
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地大陸軍改め。
虹を掛ける人達と名づけられた集団が生まれたという知らせは瞬く間に全大陸に広まった。
人々はその集団の目的こそ知ってはいるが、たいした期待も抱かずにその知らせを受け止めた。
のだが。
その集団の行動は本物だと言うことを人々は否応なく思い知らされる事となる。
いい意味でも。
悪い意味でも。
四大陸全ての魔法を用いたその戦力は圧倒的で、そして柔軟だった。
圧倒的な武力・そして信頼をもったその集団に一瞬で火と水大陸は崩れ落ちた。
そして現在。
場所は風大陸中央聖堂。
「ふむ・・・この虹を掛ける人達などとふざけた連中は宝玉を元の神塔に戻せと言う要求をしてきているのだな?」
ウィミン ヒナという名の風大陸の王は腕を組みながら言った。
「はい。」
騎士団長の証を付けたレイグという名の屈強な体格をした兵士は低い声で肯定した。
「そうか。ならばいい。流石に私もこの戦争には些か疲れた。先代の意思とはいえ、世界征服などと馬鹿げた事はな。」
ヒナのその言葉にレイグは頷くが、しかし一つ問題があった。
「過激派の連中はどういたしますか。」
過激派。
先代の意思と銘打って自らの利益のためだけに世界を荒らす風大陸の連中だ。
「この話をして反抗するならば。もうこれ以上連中には付き合っていられない。既に血は流れすぎたのだ。」
ヒナはそういって一拍置いて続けた。
「連中は過激派。その名のとおりに戦争を仕掛けてくるだろう。祖先を裏切るともいえる私の行為から始まるその戦争を。」
「受けて立とう。」
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ザッ・・・ザッ・・・
草を踏みしめる音が耳に届く音の全てを占める。
なぜならば、誰一人として口を開かなかったからだ。
今から戦うのは風大陸。
水・火と違いこの争いを企てた連中で。そして。
もっとも勢力のある。そして悪意のある大陸勢力。
一枚岩ではないにしろその兵力は無視できないものだ。
今までのような簡単な戦いでは終わらない。
そのハイナの放った言葉は千にも届こうかという数の仲間達の心を重く沈ませた。
背後に連なる仲間達のその様子をみてハイナは少し後悔した。
あんな言葉は言うべきではなかったか。
心の中でそう毒づくが、その言葉に気づいたようにホレイムはハイナの肩をやさしく叩いて言った。
「ま、確かに士気が多少下がったがな。別に影と戦う訳じゃあない。相手はしっかり倒せる”人間”だ。そこらへんはこいつらも理解してるだろ。」
それはつまり人間だからきついかもしれないが勝ち目はある。
勝ち目はあるという事だけでも希望は十分に、十二分に沸いてくるというものだ。
それを、知っているだろう?
ホレイムが後ろで歩く仲間たちにそう叫ぶと、仲間達は雄たけびを上げて呼応した。
最後の戦い。
これが終われば。
故郷に帰れる。
家族に会える。
そして何より。
一日ダラダラと過ごせるというのは何物にも勝る贅沢だ。
そんなぐだぐだなことを言うホレイムに呆れていると、いつの間にか風大陸の城へとたどり着いていた。
そしてハイナは振り返って大きく口を開けて叫んだ。
「皆!君達に協力してくれるのはこの戦いが最後になることだろう!ここまで色々となんだかんだ言ってきた私だが最後に一つ!今まで言ってきた何事にも優先して守ってほしいことがある!」
ハイナはそういって一拍置いてさらに大きな声で叫んだ。
「逃げろ!命の危険が迫れば逃げろ!囲まれれば逃げろ!無理に立ち向かい死ぬ必要はない!逃げるのが得策と判断すればすぐに逃げるんだ!」
ハイナのその言葉に仲間達が頷いた事を確認すると、ハイナは一人ツカツカと城へ歩み寄り、城の城門を蹴り開け叫んだ。
「この国に虹を掛けに来た!目的は荒らすことでも戦闘ではない!武器を持ってはいるが攻撃してこなければこちらは応戦しない!」
ハイナのその叫びを聞いて、なのか周囲にある家々から続々と兵士が出現する。
その出現した兵士達を睨み付け、ハイナは言った。
「おぬしたちは敵か?味方か?」
ハイナのその言葉に、兵士達の中央から出現した初老の男性が応答した。
「もちろん。」
「敵さ。」
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出来る限り殺すな。しかし最優先は自分の命。そして仲間の命。それが犯されるようなら殺せ。
それを徹底した戦いだった。
街に両軍の兵隊が入り乱れたその戦いは熾烈を極めた。
もう既に一人一人の戦いについて言及するレベルではない。
一人一人が組み合わさり一つの生き物かと思えるような連携を見せていた。
「お前は救護班にいけ!怪我されて死なれたら目覚めが悪い!」
横で戦うホレイムのその叫び声を背中で聞きながらハイナはふと、違和感を抱いた。
戦闘で常に最前線に立っていたあの男が居ない。
レイグ。
片手剣と巨大な盾を持ったあの男は一人居るだけで一つの集団を足止め、殲滅できるほどの力を持っている。
なのに。
自国が侵されようという時に出てこないのは何故だ?
思わずそのまま思考の海に陥りそうになるが、視界の端で煌く剣を受け止めてその思考は強制的に途切れる。
「どいていろ!」
ダン!と右足を地面に叩きつけて地面を隆起させて周囲に居る敵兵を叩き上げる。
周囲に居る敵兵をあらかた片付けたことを確認するとホレイムに話しかける。
「そろそろ、いくでの。」
レイグが居た場合は使えないと思っていたのだが彼がいない今となってはこの方法が一番効率がいい。
特攻。
まさにその言葉が当てはまるが最終目的は生き返ることだ。
二人で特攻して宝玉を掻っ攫いそして戻り神塔に戻す。
「ああ。」
ホレイムもレイグが居ないことに気づいていたのか、そのハイナの言葉に頷いた。
「下がれ!」
ハイナが敵ではなく仲間たちにそういうと、ホレイムの全身を炎が包み、そしてハイナの全身を完全に透明なダイヤモンドが包んだ。
「いくぞぉっ!」
ホレイムのその掛け声とともに二人の渾身の攻撃を前方へ放ち道中の敵兵を全て吹き飛ばしいつもの三倍ほどに加速した走りで駆け抜ける。
するとものの二・三秒で城のエントランスへとたどり着いた。
「どこだ・・・っ!」
ホレイムとハイナがすばやい動きで周囲を見渡して宝玉のありそうな場所を探す。
王が居れば拷問なり何なりすればいいのだが今回は何故か目に付かない。
過激派と対立していたという話を聞いてはいたがそんなことは今は関係ない。
二手に分かれて探そう。
ホレイムのその提案に乗って分かれようとしたときに聞きなれた声が二人を覆った。
「ずいぶんな再会シーンじゃあないか。お二方?」
エントランスから伸びる長い階段をコツコツと偉そうに下りてくるのは過激派のトップであり、もっとも強い力を有していると言われている。レギンという男だった。
「お前は――――っ!」
かつて同胞を殺して回ったレギンをホレイムの瞳が憎しみで染まった目で見据える。
感情の昂ぶりに呼応して体を纏うその炎の勢いが一瞬で三倍以上に跳ね上がった。
不味い。
戦闘に付き物だが、恨み辛みというものは影を呼んでしまう。
そう言おうにも今の彼女は聞いてはくれないだろう。
どうしたものか。
いや、方法は一つあるのだが。
体育会系はあまり、好きではない。
「が、背に腹はかえられないかの。」
ハイナは一言そういうとダイヤモンドで固められた拳で思い切りホレイムの頬をひっぱたいた。
バガン!という破滅的な音が響くのでハイナは一瞬冷や汗を流したがホレイムは痛そうにするだけで特にこれといって致命傷は負っていないようだ。
それを確認するとハイナはホレイムと一緒にレギンを殺したくなるのを一生懸命に抑えてホレイムに微笑みかけた。
悪魔の微笑みとも言うかもしれないが。
「いま、殺してしまうのと、影を追っ払った後に思い切り私たちを恨むような残酷なことをするの、どっちがいいのかのう?」
それはある意味。
地獄だが。
しかしそのハイナの言葉が意味することはホレイムに十分伝わったようだ。
激情と呼ばれるほどに感情の動きが激しいホレイムでも、この状況で怒りに任せていられないことは分かったのだろう。
「ここはわしに任せてお主は仲間を探すとよい。」
仲間。
一瞬その言葉に首を傾げたが、ホレイムは直ぐにその言葉の意味を理解したように頷いた。
王と、レイグを助けて来い。
そのハイナの裏の声を受け取ったのであろうホレイムはレイグを無視して地面に大穴を開けて地下牢へと向かっていった。
その様子を見たレギンは卑しい笑みでハイナを見据えて言った。
「いいのかい?炎の彼女程ではないとはいえ、土の君もなかなか僕と相性悪いよね?」
そのレギンの言葉にハイナは不敵に笑って答えた。
「何を言っておる。石を鋭く尖らせれば向かい風は逆に石を加速させるのじゃぞ?」
最後まで読んでくださってありがとうございます。
GWはどうでしたか?私は丸々親戚の迎えとかで忙しかったです。
さて小説のほうですが、段々と現代のキャラクターの姿が明らかになってきましたね。
友達にキャラ個性が沈んでるとか言われたのですこし改善しながらできれば良いなと思っていますが結構難しいですね
レギンさんキャラ変わりすぎですとか言わないでください。
恐らく四大陸過去編は次か次の次あたりで終わりですかね。
ちなみに詩架たちの過去編はさらに長くなる予定です。
感想・評価ありましたらよろしくおねがいします。




