第一幕 第一節:召還
一瞬の浮遊感の後に、背中に激しい衝撃が襲う。
その衝撃に息が詰まる。
「ぐっ・・・・」
思わず呻き声が漏れるが、自分以外、つまり由佳のうめき声が聞こえない。
かすむ目を凝らし上をみれば、晴れている青空が見えるはずがそこにはシャンデリアが釣り下がっていた。
知らない天井だなどとふざけたことを言っている程の余裕は無い。
状況把握に努めるために周囲を見渡すと、そこには全身を鎧に包み槍をこちらへ構えた兵士達がずらりと自分を囲むように立っていた。
・・・
おっとぉ・・・こいつぁ・・・とてもお友達って雰囲気じゃあねぇなぁ・・・
この状況に至った経緯は気になるが、今にも蜂の巣にされそうなこの状況では自分の命を確保するのが最優先だろう。
よろよろと立ち上がる際にさりげなく学ランのポケットの中を上からまさぐる。
手持ちの武器は電池と針金とティッシュとカラコンを入れる容器。
どんなレパートリーだよおい。
自分のがさつさに多少呆れながらもその手持ちで出来る事を探す。
その1、ティッシュを燃やして即席松明。
その2、電池のカバーを思い切り踏みつけた後にそれを蹴って感電させる。
その3、針金を巻き小型の針を作って急所に刺す。
さて直ぐに思いつくのはこの三つ・・・
全部実用的じゃあねぇなぁ・・・・
これは詰み・・・かねぇ・・・
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いつものなれた手つきで右目に着けていた黒いカラコンを取り出して鏡をみると、そのカラコンのあったところにはいつも通り白い・・・いいや白目とは違う。これは恐らく銀。
そんな色の目があった。
いつもこのカラコンを外すと気持ち悪くなるのし、それに何より銀色の目とは結構気持ち悪い。
隠す意味もあっていつもつけているのだが、毎日夜になるとこうして右目を鏡で見るのだ。
特に何か意味があるわけでも無い。というかむしろ気持ち悪くなるのだがなぜかこの習慣はやめる気にならないのだ。
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ピチャ、という水音に反応して足元に視線を落とすと、そこには小さな水溜りが出来ていた。
気付けばどうも肌寒い。
大理石だから結露でもしたのだろうか。
そんな命の危機のときに思い浮かぶような内容ではない事を考えていると、ふといつも見ている自分の右目に視線が止まった。
カラコンが取れている。
しかしいつもの気持ち悪さは無い。
というかむしろ・・・
そう自覚した途端、自らの体の中心から何かが湧き上がる不思議な感覚に襲われる。
何かは分からないが・・・・
この調子なら、こいつらをやれる気が・・・する。
グッと足に力を入れて槍を構える兵達の中に飛び込もうとすると、兵隊達の後ろから大きな声を発しながらノシノシと歩いてくる男がやってくる。
出鼻をくじかれた詩架はすこし脱力したように姿勢を崩す。
「やぁやぁ、君かね?召還された者は。」
はん?
一瞬何事かと思ったが、このパターンとして良くある・・・いやかなり考えにくいがこの引きずり込まれた時の状況などを考えてみれば思い至るのは。
異世界召還。
その考えに至って、無難に過ごすためにも兵隊達の鎧から覗く皮膚や髪の毛を視線だけを動かして見る。
あるのは青い目と赤い目と黒い目と緑の目。
どうやらそれぞれの目に対応して髪の色も変化しているようだ。
そして色によって身長や体格などが大きく変っている。
とにかく銀の目は無いので目を確認される前に右目を瞑る。
「一体ここはどこなんだ?」
ノシノシと歩いてくる中年男・・・こいつは黒目に黒髪そして小さい身長。
一見してドワーフかと思えるような風貌をしている。
しかしきているものは豪華絢爛。
ギラギラと下品に輝く装飾品をくまなく付けている。
・・・・
センスの欠片もねぇのな。
しかしそんな事を言うわけにも行かず、男を見据える。
「やぁやぁそんなに敵意をむき出しにしないでくれたまえ。確かに出迎えは荒くなってしまったがね。別に私達は君に危害を加える気はないんだよ。」
その言葉に多少ほっとしながらも、しかし警戒を解かずに聞く。
「とりあえず全部説明してもらおうか?」
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目の前の男曰く。
ここは四大陸と呼ばれる世界(感じとしては俺たちの場合は地球と言う感じか。)
四大陸とはそれぞれ南東・南西・北に三つ。そしてその中心に位置するように空に一つ大陸が浮かんでいるのだという。
∴これの真ん中に一つあると言う風に考えれば良いだろう。
大陸が空に浮かんでいるのには全く分からないのだとか。
とにかくその大陸にはそれぞれ住む種族がいて、南東は火の大陸 南西は地の大陸 北は水の大陸 そして空中に浮かんでいるのは風の大陸と名付けられている。
ついでに言うと火の大陸と地の大陸は細い陸路が繋がっているらしい。
そして俺が召還された理由。
昨今その四大陸にはそれぞれのかなり強力な魔物と呼ばれるものが一体ずついるのだとか。
魔獣の二つほどランクの高い魔物は、巨大な体格と賢い頭脳を持っている。
別に今の兵力でも勝てるには勝てるのだが、今まで失態が多かった四大陸評議会の部隊だけでは民意の集約が出来ない。
だから先頭を取ってくれる勇者を作ろうという事らしい。
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「つまり俺は体の良いマスコットって所か?」
呆れながら聞き返すと、先程の地大陸の住民の男は頷いて返した。
わりと自信満々な顔で。
おそらく召還というのはかなり大変な事でそれを成功させたのが嬉しかったのだろう。
はぁ・・・面倒な事になった。が。
おそらくあの手につかまれたということは由佳もこの世界に来ているだろう。
そしてこの組織はこの世界で一番大きな・・・日本で言えば政権握った党だということだろう。
魔物がどうとかは知ったこっちゃあないがこの組織の協力を得られれば由佳探しはかなり簡単になるだろう。
まぁ色々やられる可能性はあるにはあるが一人で探すよりはよっぽど効果的だ。
面倒な事になった。
「いいだろう。手伝ってやる。」
協力を仰ぐのはしばらくこいつ等に手を貸して人間性というか真意を確かめてからの方が良いだろう。
逆手に取られて人質にでもされたらたまったもんじゃない。
いち早く探すことは大事だがあいつもなかなかどうしてしぶといから生き残るだろう。
俺が手伝う事を伝えると、目の前の男は顔を輝かせて近くに控える召し使いに俺を部屋に案内するように言って評議会の会議室とやらに報告をするといって大広間を後にした。
初老の召使は俺の胸辺りまでしか身長が無いところを見ると地大陸の人間だろう。
ふと疑問に思い、部屋に案内される通路の間その召使に質問を投げ掛けてみる。
「ここは何処の大陸なんだ?」
俺がそう聞くと、温和そうなその男性は柔らかな笑みを浮かべて答えた。
「ここは風の大陸でございます。」
風・・・ね。ってことは空に浮いているんだろうか。
「そうだ、それぞれの大陸の特徴とかってないの?例えば特産品とか。」
「そうですねぇ・・・我々地の大陸は鍛冶に優れております。ドワーフと呼ばれる我々は生まれて三年。つまり三歳児のころから簡単なものは作ることが出来ます。」
「さんさ・・・まじで!?」
流石にこれは予想外だ。
「えぇ。簡単なものと言っても鍋程度ですけどね。他に私達の特徴としては・・・というか全ての大陸の人間に共通する事なのですが、それぞれ固有の神を信仰しております。」
「神。」
「ええ。私達は地の母ガイアを信仰しております。まぁ他の種族の神も受け入れる結構適当な信仰ですがな」
ふぉっふぉっふぉと笑いながらそういった後に、多少表情を険しくして彼は続けた。
「ですがそれぞれの種族にも狂信者はおります。極端な例になれば私達多大陸の人間が自分の信仰する神の名を口にしただけで殺気立つ連中もおりますゆえ。お主も気をつけておくといいでしょう。」
その忠告に苦笑いしながらも大人しく従うことにする。
どうやらこの老人は信頼に足る人間(?)のようだ。
「他の大陸は?」
俺がそう言って俺が催促すると、老人は嬉しそうに言葉を連ねた。
「そうですねぇ。では同時に説明してしまいましょうか。」
同時・・・?
「一々分けて説明するのも面倒なので簡単にってことですよ。火の大陸は情熱に熱く、踊りを得意とします。そして水の大陸はロマンスあふれる演奏を。そして風の大陸は天使の如き歌声を披露します。」
「地の大陸は?」
俺がそう聞き返すと、老人は苦笑して答えた。
「残念ながら我々は音楽に秀でていない故、やることといえば演奏の下準備ですかなぁ。それか鍛冶の打つ音で拍子を取るとかですかな。」
「そりゃまた。」
「まぁ仕方ないですな。我々に関しては。さらに残念な事に、火の大陸と水の大陸の種族間では根深い確執がありましてな。」
「確執?」
「ええ。どうも馬が合わないようでしてねぇ・・・せっかくの演奏会もセッティングするのに一苦労ですよ。最近ではその苦労も面倒になってもう十数年やってないですなぁ・・・」
「それは残念だなぁ。」
俺も個人的には音楽は好きなのでそれは割りと残念だ。
と、そんな事を話しているうちにどうやら部屋に着いたようだ。
「色々ありがとう。助かったよ。」
俺がそういうと、初老の男性は一つ笑みを浮かべて静かに部屋から退出していった。
それを確認すると、ベットへと横たわり深くため息を吐いた。
これからかなりの面倒事になりそうだ。
そう呟いてから、ずっと瞑っていた右目をゆっくりと開ける。
まぁ怪しまれただろうがここに来た時地面に横たわった時に目のなかにゴミが入ったといえば良いだろう。
そう心の中で呟くと、ポケットのなかのカラコン入れから予備のカラコンを取り出しなれた手つきで右目にはめる。
しばらくはこの状態で過ごすのが賢明だろう。
そう結論つけていつもの鏡を見るという習慣を忘れてベットに横たわって目を瞑ると、自分の想像以上に疲れていた意識は直ぐに眠りの闇の中へと落ちていった。
ありがちなテンプレです本当に(ry
こんにちは。
最近余震凄いですね。
私の住んでいるところも茨城なので5-とか5+とかガンガンくるのでもう嫌になってきますね。
もう既に感覚マヒしてきてる気もしないでもないですが(
一時期仙台に住んでいたので友達が心配だったのですが全員無事だったようで良かったです。
ではこの作品の話しですが、地震で荒れた部屋を片付けている時に小学生の時に作った図画工作でこの大陸の形の物があったんですよ。
なんかとてつもなくでかいものが。
それからアイデアを得て云々・・・ということで作品としてなりました。
これからよろしくおねがいします。
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