表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フォラードの光  ― 星の記憶者 ―  作者: あけの星
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/44

秘密(ポポ側視点)

第二章、始まりました。 ウタハの世界を少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです☆


 成人の儀式が終わって数日後のこと、ポポに縁談の話が舞い込んできた。

 相手は隣村、ゴード村の顔役の息子だった。

 今年二十一歳になるしっかり者の青年だという。なんでも、先日の精霊祭のとき、この村に立ち寄っていた彼が、ポポを見染めたのだと。内々にポポの父親に打診があったのだ。


 精霊祭の前に、行商から帰ってきていたたポポの父親は、いい話じゃないかと乗り気である。

 父親は、トイサ村の糸を売りに近隣の村を回り、王都へ向かう。以前は、村人たちから依頼された糸を売り、売れた金は村に戻ったとき、みんなに渡していたが、最近では糸の相場がわかってきたこともあって、先に買い取り、それを売りに行くようになっていた。

 今では行商人としての信用もついて、もっと手広くやりたいと思いはじめていたのだ。そのためには、村の有力者とのコネはかかせない。

 それだけではない、彼はトイサ村の、代々村長に仕える諜報の一族のひとりであった。だから情報網は多いほどよかった。しかし、このことは誰も知らない。もちろんポポも。


  *


 精霊祭の前日、帰ってきた父さんが、この数日、村長さまの館へ足しげく通っていると思ったら、どうやらわたしの縁談を進めようと、いろいろ相談しているんだって。

 母さんから聞いた。

 困ったな・・・わたしは全然乗り気になれないし、まだ早いと思ってるの。

 それに、わたしには好きな人がいる・・・誰にも言っていないけど・・・あ、この前ちらっとウタハには話したっけ。でもウタハはわかってないかもね。こういう話はあの子には通じないんだ。だから、やっぱり秘密にしておこう。

 

 成人の日、ウタハはいつもよりは大人びて見えたけど、わたしや他の女の子たちと比べると、どうしても幼く見えてしまう。それに比べてわたしは、ウタハの細い体がうらやましくなるくらい、ぽっちゃりで、大きすぎる胸を隠すのにも苦労する。

 こんなだから、縁談もくるのかな・・・

 成人式のアイジェルは、とっても素敵に見えたわ。

 そうそう、ウタハが行方不明になったときだって、頼もしかったし。

 だけど、彼はウタハのことが気になるみたい。ちょっと寂しいけど、ウタハなら許してあげる。親友だもの。それに、彼は村長さまの息子。わたしとはつり合わない。あきらめてる。 

 あのとき――ウタハが消えたとき、わたしは生きた心地がしなかった。親友が突然いなくなるという恐怖は、二度と味わいたくない。あんな思いをするくらいなら、彼を譲ってあげたほうがずっとましだわ。

 無事に帰ってきたウタハを見て、わたしは、ほんとうにほっとした。お城の魔法士さまや、魔法師さまたちの戦いがあったと聞いたけど、村のみんなと同じように、わたしも家に閉じこもっていたから、どんな様子なのかはわからなかった。


 ウタハと遊ぶのは気を使うことがないので楽しい。でも、どうしてこんなに仲良くなったのかしらと考えると、よくわからない。いいえ、わかってる・・・

 行商に出ている父さんは、帰ってくるたびに、ウタハのことを聞いたわ。仲良くやっているか、元気でいるか、どんなことをして遊んだのかと。母さんもそうだ。小さいころからだった。いつも、仲良くやりなさいという。やってるよと、話すとニコニコしてほめてくれるので、わたしも悪い気はしなかったし、ウタハのことは大好きだったので、言われなくても仲良くしていた。

 

 でも最近、薄々気がついたちゃった。どうやら父さんと母さんは、村長さまにウタハの様子を見てやってくれと頼まれているらしい。だから、わたしをウタハのお目付け役みたいにしてるんだって思う。何かあったら、すぐに村長さまに知らせられるように。詳しくは知らないけど、村長さまがウタハの後見になっているらしいの。だから、しかたないわよね。

 このことも、わたしはウタハには言うつもりはないわ。

 だって親友のままでいたいもの。


 ああ、どうしよう、やばい! さっきゴード村から使いがきて、麦酒の入った甕と籠に入った大きなチーズを置いて行ったわ。父さんの好きなお酒だ。そういえば、あの村って麦酒を作ってるとこじゃない。父さんが気に入るはずだわ。

 送ってくるなんて、話が進んでいるってことよね。贈り物受け取ったら、完全に・・・

 わたしの知らないところで、どんどん話が進んでいるみたい。

 お嫁にいったら、ウタハとも会えなくなっちゃうよ。

 あ、母さんが呼んでる。きっとその話かも・・・

 



 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ