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フォラードの光  ― 星の記憶者 ―  作者: あけの星
第三章

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エピローグ


 Ⅰ.



 空は、明け始めたばかりで、朝焼けのバラ色の空に、うっすらと金色の光の()が射していた。

 エランとウタハ――ここではイーリスと呼ばれていた――は、先ほどヴィア星に帰ってきたところだった。赤の魔女の研究室で、向こうを出発するとき、星間移動のため変換した光の粒子の身体から物質の身体に変換し、異常はないか検査を受けたのだった。

 マロウズもミラと一緒に戻ってきたのだが、アイジェルとタージェルンはオーリム星に残ると言って、皆を驚かせた。

 分岐した異次元のウィオラとの統合が、彼らの心に変化を起こしたのかもしれなかった。


 また不思議なことに、あの日以来、コズミンドラが忽然と消えてしまったのだ。赤の魔女は『おそらく波動の低い物質のエネルギーを多く持つ彼らは、高次元のウィオラにはじかれて、別次元に飛ばされたのではないか』と仮説を話してくれた。

 

 エランとイーリスがヴィアに帰ることは、二人で話し合って決めた。

 なにより、ヴィアの魔法と科学を認める社会の在り方に、エランは共感していたし、イーリスも異論はなかったから。 

 オーリムを去る前に、アミラにも会った。『いつでも戻っておいで』と言って優しく抱きしめてくれた。イーリスは、またいつか会いに来ようと決めたのだった。


「さあ、帰ろう。王都へ」

 イーリスがうなずくのを見て、彼はアルを呼び出して命じた。

 アルは、あの日以来、毛の色が真っ白になっていた。やはり干渉が起きたのかもしれなかった。

 しかも、なぜかしゃべらず、鳴き声も上げなかった。

 イーリスは首をかしげたが、理由を聞く前に、アルは翼の付いた巨大な白猫になっていた。

 エランは彼女を抱き上げて、アルにふわりと飛び乗ると、アルは二人を乗せて空高く飛び上がった。

 

 陽の射し始めたバラ色の空の、赤紫に染まった雲の間を、アルは二人を乗せて(かけ)てゆく。

 エランの髪もイーリスの髪もバラ色に染まっていた。

 アルの上で、自分を支えてくれているエランを、イーリスは振り返って見上げた。見つめ返してくれる彼の瞳を見ながら、にっこり笑った。以前どこかで、こうして笑っている自分を見た覚えがあった。



 

 


 Ⅱ.



 

 トイサの村に、初めて茶房ができた。


 町では、普通に見かける喫茶店だが、飲食店と呼べるものもなかったこの村には画期的なことだった。それを見て触発されたのか、後に小さな酒場を開いた者もいたほどだ。


『茶房ヴィア』の店主になったアミラは、朝早くから、仕込みの準備で忙しくしていた。


 アミラの家の一階を少し改造して、店にしてくれたのはタージェルンだった。アミラの出す簡単な料理やお茶と菓子は、商売にしてもやっていけると見込んだのだ。店の名前も彼が考えた。

 二階に一人で寝泊まりするアミラを気遣って、彼はこの家に保護の結界をかけていた。正確に言うと、ウタハが古の館に行った後、彼女の様子を知らせに来た時だったが。


 彼はと言えば、毎日お茶を飲みにやってくる。

 今日も、そろそろ姿を見せるころだった。


 店に来る客は、最初、村人たちがもの珍しさで訪れた後は、親しい者たちが常連になった。ときどき、旅人や近隣の村から仕事でこの村に来た者たちも顔を出す。魔法師たちもたまに訪れる。最近では、話を聞きつけた他の村人もやってくるようになっていた。

 大した収入ではないが、何とかやっていけた。お金よりもアミラはこうして働けることがうれしかった。


 入口に、開店の札を出して店の中に戻ったときだった、若者が勢いよくドアを開けて入ってきた。

「タージェルンは?」

 村長の息子のアイジェルだった。

 王都の魔法士団を辞め、トイサに戻り村長の跡継ぎとしての仕事をこなしていた。

「あら、ご一緒じゃあなかったんですか?」

「ああ。さっき出て行ったみたいだったから、もう来てると・・・あ、お茶を一杯もらおうかな」

「はいはい、少しお待ちを」

 アミラが紅茶を入れていると、タージェルンが入ってきた。

「おや、どうした、今日は早いな」

 彼が声をかけた。

「もう伯父貴のところには、連絡はきましたか?」

「誰から?」

「赤の魔女・・・」

「えっ」

「おれのところには、もう・・・」

 アイジェルがそう言ったとき、入口のそばの空気が揺らぎ、赤の魔女の顔が映し出された。

 かなり映像が粗い。おそらく本体は向こうの星なのだろう。

 ノイズの入った赤の魔女が言った。

「また新たな星が見つかったの。あなたの力を借りたいのよ・・・」





   


                ―― 了 ――


ここまで、お付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました!感謝♡

                          ☆*。.m(__)m.・*☆

もしかしたら、新たな物語を書き始めるかもしれません。

今はまだ未定ですが・・・

そのときには、また、どうぞよろしくお願い致します♡

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