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フォラードの光  ― 星の記憶者 ―  作者: あけの星
第三章

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新たな結界⑵


「――夜中に城に戻って、父上に・・・王に報告しに行ったのだ。緊急事態だったからね」

「何があったのです?」

「以前から各地に大穴が開いているのを、調査していたのは知っているだろう?

 あれの正体がはっきりしたのだ。地中から飛び出した白い乗り物――向こうの星の言葉で言えば、宇宙船だ。円盤状の。

 私が行ったときには、すでに消えかかっていたが、それでも形が分かるほどだった。何機ものそれが、空中で動いていたのだ。しかし、しばらくすると消えてしまった。

 マロウズが言うには、初め一機が上空にあり、見る間に山影から十数機現れたそうだ。なぜだろう? まるで私たちに姿を見せつけているようだった・・・」

 ウタハは、はっと息を呑んだ。

「年越しの最後の鐘が鳴ったとき、わたしはそれに吸い込まれそうになったのです。次元の揺らぎ・・・たぶん次元の隙間から、それがわたしを狙って・・・でも、あのかたに、ルシクリオン様にまた助けられました・・・」

「そうだったのか! しまった、きみを一人にすべきじゃなかったね。許しておくれ」

「いいえ、しかたのないことでしたもの」

「――彼は不思議な人物だね。闇の魔法の使い手だと聞いているが・・・会えたら礼を言わねば。きみを助けてくれたのだから」

 ウタハはうなずく。

「それにしても、してやられたかもしれない。あの円盤の者たちの目的は、きみだ。向こうに姿を見せたのは、そのための陽動だ。そうとしか思えないね」

「ええ」

「そうなると、きみをこちらに来させた王の考えも悪くはないか・・・報告に行ったとき、きみをこちらに滞在させると王は言ったのだ。こんなに早くなるとは思わなかったが。

 この部屋は城の中でも安全な場所だ。結界も十分張られているし、侵入者がいても、ここまで来るには困難な場所でもあるからね。私もきみのために新たな結界を張っておこう」


 エランは立ち上がって、呪文を唱え両手を空中で動かした。光り始めた手の動きに合わせて空気が波打ち震えた。濃密で透明なベールが部屋を覆ったのを、ウタハは感じ、見てとった。

「今のは?」

 ウタハがたずねた。


 エランはウタハの手をとって立たせ、抱きしめると、ウタハの髪を撫でながら言った。

「私の結界以外の中に、きみを入れたくないのだ。だから、前のを解除して張り直したのだよ」

 彼はくすっと笑った。




 *




「くそ! 私の結界をやすやすと解除するとは・・・」

 ヴィデールは悔しげに悪態をついた。

 自分の張った結界が消えたことを感知したのだ。


 それを聞いていた弟子の古の魔法師が驚いた顔をした。

「ヴィデール様の結界を解除できる者がいるとは、信じがたいことです」

 

 ヴィデールは椅子から立ち上がって、自室の暖炉の前に移動する。

「あのかたの結界魔法には、誰も及ぶものはないだろう。それほど魔力があるということだが・・・」

「それは、いったい、どなたです?」

「第三王子だ。天才と言ってよいほどの魔法師なのだ。まだ十八になるかならぬ歳なのだがね。それですでに古の魔法師なのだから王も一目置かれるわけだ」

「第三王子殿下のことは、聞き及んでおります。そうでしたか、どこの結界を解除されたので? お聞きしても?」

「例の娘が滞在することになった中二階の部屋だ」

「そうでしたか、あの部屋の・・・」

「しかも、あのかたは新たに自分の結界を張ってしまわれた。私の眼が見通せぬ結界。実に腹立たしいが・・・ここは我慢するしかないがな」

「お茶をお入れしましょうか? 少し気持ちも落ち着かれましょう」

「いや、それはよい。王がお呼びのようだ」

 ヴィデールは、すっとその場から消えた。


 


 *

 



 ここは、とある国境近くの地下深い場所――

 いつの間に造り上げられたのか、格納庫らしい広い空間に、今、一機の白い円盤が降りてきて停まった。開かれていた格納庫の天井は、それが着陸すると同時に閉まる。


 中から現れた黒っぽい長着を着た男は、まっすぐ奥の扉を開け、地下に続く階段を降りた。

 その少し先に円形の扉が見える。男は扉に手をかざした。すると扉は静かに左右に開いた。

 男は慣れている足取りで中に入って行く。


 男の立ち止まった場所は、白い長着を纏った老人が座る机の前だった。

 長い髭を撫でて、老人は口を開いた。

「ぬかったな」

「面目ない、まさかあの者が現れようとは・・・」

「闇の貴公子とか、言われておるやつか?」

「あの者はいったい・・・知っておられるか?」

「――おそらくは、娘と関わりのある者であろうな・・・」

「関わりというと?」

「あの娘の素性に関わる者じゃ。おそらくな」

「しかし、あの娘は例の魔女がこの地に呼び寄せた者。やつはそれを知っているのだろうか?」

 男は首をかしげた。

「うむ、鍵はあの魔女にあるな・・・」

 老人はつぶやく。

「魔女を捕えよう」

「やめておけ、あれは、この世界の者ではない。捕えようとしても、無駄なだけじゃ」

「では、どうすれば?」

「娘の仲間を片付ける方が早いかもしれぬ」

「なるほど、案外、自分のことは油断しているかもしれませんな。策を練りましょう」

「北は順調か?」

「はい、そろそろ報告が来る頃」

「我ら『古き者たち』の望みを叶える第一歩じゃ。心せよ」

 男はうなずいた。





今回もお読みいただき、ありがとうございました!

                 ☆m(__)m☆

 

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