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フォラードの光  ― 星の記憶者 ―  作者: あけの星
第二章

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26/44

運命の出会い⑴




2026年になりました☆

今年もよろしくお願い致します!










 「間に合った!」

 その声と同時に、ウタハは意識を取り戻した。


 気がつくと誰かの脇に抱えられている。聞きなれない言葉の羅列。古い魔法の言葉だった。知っている声と、知らない声が編み上げる呪文が交差する。ぶつかり合ってると言ったほうがよかった。あたりの空気がビリビリと激しく揺らいでいる。


 ウタハを抱えていたのは、黒いフードの男だった。ウタハがもがくと軽く舌打ちして、そのまま上空へ飛び上がり、空中を駆けるかに見えたそのとき、もう一つの声が大きく呪文を発した。マロウズの声だった。男は動きを止めた。光の稲妻が男を打ったのだ。男は結界でそれを受け止めたが、ウタハを腕から放してしまった。それをマロウズが受けとめる。

「くそっ、もう少しだったのに」男は口惜しげにつぶやくと、さっと移動の魔法で消えてしまった。


 マロウズは、ウタハを草の上に降ろして座らせると、自分もその前に膝をついて言った。

「ようやく呼んでくれたね、使い魔を、マイ・レイディ」

「マロウズ・・・ありがとう・・どうしてここに」

「きみが呼んだから来た。大丈夫かい? 危ないところだった」

 そういえば・・・意識を失う前に彼を思い浮かべたことを思い出した。名前も呼んだかもしれない。

「さっきの、あの男は何者? わたしはどうなってたの?」

「それなんだが――あの言葉・・・古の魔法言語を使っていた――ということは、もしかすると・・・いや、まだわからないな――おれが来たとき、あいつはおまえを抱えて移動魔法で連れ去ろうとしてたんだ。それで急いできつい一発を奴に飛ばした。かなりの反応があったよ。お前にかかってた魔法も解けたみたいだね。とにかく無事でよかった」

「そうだったの・・・わたしも油断してたわ。つい、ケンカしちゃって・・・リモーネ先生が知ったら、卒倒するくらいお怒りになりそう・・・」

「ケンカ? なぜだ? だれと? あの人は、そのくらいで卒倒するほど、やわじゃないと思うけど・・・」

  最後の言葉は小さな声だった。

「あなたを好きな女の子たちとよ。いつも遠巻きにあなたを見つめている人たちね、知ってる?」

「まあ、ちらっとはね・・・」

 少し照れくさそうに言う。

「あなたが王城へ連れて行かれたと噂になってるのよ。それが、わたしのせいだってことになってて・・・それでちょっともめたっていうか、ケンカになっちゃって・・・あなた、今まで、どうしていたの?」

 ウタハは、ずっと気になっていたことを口にした。

 

「やれやれ、そんなことになっていたとはね・・・

 あの日、王城で御前会議があってね、おれは一日目だけは、こってりしぼられたよ、ウタハを危険にさらすなと言われて。その後はずっと、上位の古の魔法師から特訓を受けてたんだ。それに調査を依頼されて国境まで行っていた。でも、今朝早くこちらに戻ってきていて良かったよ」

「何かあったの?」

「まだ、何とも言えないな」

「そう・・・あ、この前のことは、他の人に話さない方がいいわよね」

「ああ、結界を壊したときのことだね、そうしてくれるといいかな」

「わかったわ。でも、あなたの取り巻きがうるさく言わないよう、彼女たちをなんとかしてくれる? さっき、問い詰められたの。あ、いけない、あの子たち大丈夫かしら」

 ウタハは思い出して声を上げる。

「え、まあ、いいけど。あいつら、まだ魔法が解けていないみたいだ。もうそろそろ気がつくかな。起こしに行こう」

「お願い」

 ウタハは、ほっとして少し向こうの川べりの草むらに倒れている少女たちを見た。マリエヌが、身動きしている。かたわらの三人の少女たちも動き始めた。


 マロウズは彼女たちのそばで、軽く手を一振りして何か呪文を唱えた。それから声をかけた。

「いったいどうしたというんだい、みんな」

 その声に、マリエヌも三人の少女たちも飛び起きた。

 彼女たちにとっては奇跡の瞬間だったかもしれなかった。


 マロウズはウタハに、いたずらっぽく片目をつむってみせると、三人の少女たちを連れて村へ戻って行った。

 ウタハは、ほっと息をつく。

 彼らを見送っていたマリエヌが駆けよってきた。

「ウタハ大丈夫?」そっと肩を撫でて言う。

 すぐに立てるほどの元気はない。さっきの音の魔法で、かなり魔力が失われてしまっているのかもしれなかった。

「少し休んでいれば大丈夫よ。マリエヌは?」

「わたしは、もう平気。何かあったのかしら? 覚えていないのよね。ウタハは、なんでそんなに疲れてるの?」

(あいつ・・・さっきの記憶を消しちゃったのかな・・・)

 もしそうだとしたら、彼の魔法の能力はさらに上がったのかもしれなかった。

 

「なぜかしら、陽射しが強いからかもね」

 たしかに、午後から陽射しは強くなっていた。

「そろそろ、わたしたちも戻りましょうか、のども乾いちゃったしね」

 ウタハがゆっくり立ち上がるのを、マリエヌが支えてくれる。

 それでマリエヌを少し見直した。こんなに優しい子だったんだ・・・




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