夏光祭⑷
夕方、一階にある庶務の部屋に手紙を受け取りに行くと、小包みも届いていた。
手紙はアイジェルからで、小包みの方はアミラからだった。
アミラには、先月、手紙を出していたが、アイジェルには送り先がよくわからなかったので出していなかった。懐かしさと驚きで胸がいっぱいになる。
部屋に戻って急いで封を切った。
『 ウタハへ
魔法の修業、頑張っているだろうか?
おまえのことだから、元気にしていると思うが、むちゃはするなよ。
おれの方は、少しずつ魔法士の仲間たちと馴染んできたところだ。
夏光祭に、おまえに会いに行こうかと思ったけど、魔法士団の都合で行けなくなった。
また、いつか会おうな。
忙しいかも知れないが、たまにはおれのことも思い出してくれよ。
アイジェルより 』
アイジェルらしい簡単な手紙ではあったけれど、胸にほっこりしたものが湧いてくる。
その思いを保ちながら、アミラからの小包みを開ける。
中には手紙とアミラが焼いた木の実のクッキーと銅貨の入った袋、新しいチュニックが入っていた。
『 ウタハへ
お便りありがとう。
あんたが元気で学んでいる様子がわかってとても嬉しく思います。
魔法師先生の言うことをよく聞いて、立派な魔法師になってね。いつかその姿を見たいと、いつも思います。
ウタハがいなくなって、寂しくなったけど、ときどきタージェルン様があんたの話や、古の魔法師様の館のお話をしにきてくださるので、なぐさめになってます。
そうそう、ポポが隣村にお嫁に行きました。あんたが館へ行ったのを知って残念がってたけど、よろしく言ってたよ――
その後は、ご近所の噂話があれこれ続き、最後にチュニックに触れてあった。
――夏光祭に着れるように、仕立てました。そちらでもお祭りがあると聞いたのよ。何かと物入りかもしれないと思うので、少しだけどお小遣いも入れておきます。
では、元気でね。つらいことがあるかもしれないけど、頑張って。トイサから応援してるからね。
アミラ 』
アミラの素朴で温かな思いやりがウタハの胸にしみた。
でも、タージェルン様がアミラのところに行ってくれているとは・・・意外な気がした。それがなぐさめになってるなら、よかった。それでこちらでも夏光祭があるのを聞いたのかもしれないと思った。
それにしても、ポポがお嫁に行ったとは・・・少し気持ちが動揺する。そんな話は、まだまだ先だと思っていたのだ。ということは、自分も結婚できる歳になっているということだ。そのことを初めて自覚したのだった。でも、わたしは当分ないわね、する気もないし・・・
ポポの明るくて穏やかな顔を思い浮かべた。きっと優しいお嫁さんになるに違いないわ。
ウタハは、手紙をしまうと、送ってもらった空色のチュニックを手に取った。
新しいチュニックは、いつもより柔らかな淡い藍染の生地で、ウタハの丈に合うよう仕立てられていた。
明日はこれを着て行こう。アミラに感謝しながら、チュニックを胸に当ててみる。なかなか良さそうだった。
マリエヌの付き添いとはいえ、やはり祭りはワクワクするものだ。耳を澄ませば、練習しているのだろう、太鼓や笛の音が村の方から響いてくる。
しかし、問題はその前だった。
館の中で行われる試験は、自分の魔法の今後を占うものだ。わたしは、どの魔法師の教室に行くのだろう。そう思うと緊張が走る。
ウタハは大きく息を吐いた。




