表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息苦しい---生き狂しい  作者: around80's生まれ
3/3

息苦しいースクリーンタイム

学校の宿題はタブレット学習だ。

タブレットが小学生に導入されて、何かいいことがあったか?

娘は、自室でタブレットで勉強するふりをして、知らない人とチャットしていた。

外部との接触がブロックされていない学校のタブレット。

自分の性別、年齢、住んでいる地域。

気付いたら、チャット仲間には、そんな情報を晒していた。


それに気づいたときには、娘に、それがどれだけ危険な行為なのか、涙ながらに説教をした。

「ママは今の生活が大事なの。家族が宝物なの。チャット仲間は小学生の女の子のふりをしているだけで、本当は変なオジサンかもしれないんだよ?誘拐したり殺しにきたりするかもしれないんだよ?そのせいで、ママが今まで必死につくりあげてきた大事な生活、宝物の家族を失うかもしれないんだよ」

娘は涙を流して「もうやめる」と言った。

寝るのは遅くなったが、その甲斐のある時間になったと思った。


説教したら、わかってくれると思っていた。


翌日。

社長も参加する重要な会議と、会議後には社長を交えた懇親会があった。

帰宅が遅くなるので、両親に娘の世話を頼んでいた。

父から「無事に帰宅しているよ」というLINE連絡が入った。

「ありがとう」と手短に返事をしたとき、たまたまLINE以外のアプリに指が触れた。

虫の知らせだったのだろうか。


チャット画面が急に表示された。

娘が私のスマホを使って見知らぬ人と掲示板でチャットをしたことがあったようだ。

昨日注意したことを思い出しつつ、昔のやり取りだと思ってサラッと読んだとき、怒りで震えそうな自分が現れた。

まさに今、リアルタイムで、「親バレした。最悪」というチャットを送っている…。

会議中に正気を失いそうになりながら、慌てて会議室を出て、父に電話をした。


「今すぐ急いでタブレットを取り上げて。理由は聞かないで。本人にも、ママからタブレットを取り上げるよう言われた、と伝えればいいから」

怒りで声が震えそうになる。ワナワナするというのはこの感覚か。


父も何か違和感を感じたのだろう。深く詮索せずに「わかった」と言って電話を切った。

すぐに「タブレットを預かりました」というLINEが届いた。


今夜もまた説教をしなくてはならない。

私のこの思いは、もう娘の心には届かないのだろう。

意味のない説教なのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ