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045 永久

 ――AM3:32:16 神格の発生を確認

 同刻、北の果て『テルー』にて超極大のエネルギー波を確認


 ――AM3:33:04 封印結界の発動、防衛システムの起動を検知


 ――AM5:13:19 緊急事態宣言及び厳戒警報発令。連合同盟加盟国全てに通達、防衛用多重結界の展開を命令。


 ――AM5:16:58 封印結界の消失を確認


 ――AM5:17:01 神格の顕現を確認。対象を《常闇の魔王》ミッドナイトと断定。

同刻、固有領域 《闇夜月郷(ナイトガーデン)》の展開を感知。


 ――AM5:17:04 極北の防衛システム、シグナルロスト。

 ――AM5:17:15 人類領域への干渉、汚染を確認。同刻、《剣聖》ロンド・ミラー到着。


 ――AM6:38:47 剣閃騎士団到着。これを以て、大規模討伐作戦 《悪魔の揺りかご(ミッドナイト討伐戦)》を開始。


 剣聖ロンドによる作戦開始及び戦闘開始から――




 ――およそ168時間が経過。




「……どうするんですかい」

「もうぶっ続けで一週間も戦闘してますよ。序列メンバーも疲弊が見えます、これ以上食い止めることは……」

「バカ言え、そんなことしたらどうなるかわかるだろ」

「勇者が来ない限りは、俺たちに勝ち目なんてない。いや、時間稼ぎが出来ればそれでいい」

「それ昨日も聞きましたけど。というか勇者ってなんですか、そんなに強いんですか?」

「まあ、ずっとあの魔王と戦ってる剣聖とやり合って勝ったくらいだからな。強いんじゃないか?」

「というか剣聖もやっばいんだよなぁ」

「あの人最早人間辞めてるだろ。断続的にしろ、丸七日戦闘続けててよく疲れないよな」

「力落ちるどころか互角だし」

「でも聞いたところによれば、勇者自身は戦闘能力を持ってないそうだぞ?」

「じゃあどうやって」

「取り巻きが強いんだとさ。一人は剣聖と真っ向からやり合える強さで、もう一人はかの魔王トワイライトを彷彿とさせる謎のスライムだ」

「魔王トワイライトって言うと、長い間その席が変わらなかったっていうあれですか? でも信号も消失して、今何処にいるか、そもそも生きてるのかすら……」

「だから、もしその仲間ってのが魔王トワイライト本人だったらどうする? 俺たちのこの状況、あっという間に好転するぞ」

「……来たとしても、じゃないですかね。闇夜月郷(ナイトガーデン)は魔王ミッドナイトの固有領域。そもそもここで戦ってる時点で不利ですから」

「剣聖がいなければ、今ごろどうなってたか……」


 戦地キャンプで休息を取る騎士たち。話題は専ら、剣聖と魔王と勇者のことだった。


 剣聖ロンドの戦闘開始からおよそ七日、剣閃騎士団の面々は疲弊しきっていた。

 討伐戦のために派遣された勢力は、剣閃騎士団二千人、アルバニスタ王立騎士団六千人、大陸協定魔導士団千人、戦地物資補給班が五百人、傭兵団が五百人の計一万人。

 だが、状況は芳しくなかった。


 ――アルバニスタ王立騎士団六千人は、全滅した。度重なる範囲攻撃の一斉掃射、暗闇の中の黒き光の乱舞、精神攻撃の術式にかかった者たちは全員が成すすべも無く命を散らしていった。


 大陸協定魔導士団千人は、全滅。領域内で術式が掻き乱され、得意の魔法や魔術は一切発動することを許されないまま、一方的な攻撃によって壊滅した。


 傭兵団五百名中、四百名が戦死。八十名余りが負傷し、現在治療を受けている。残った二十名弱の傭兵は熟練なのか、騎士たちと同じように交代を繰り返し攻略を地道に進めていたのだ。

 死んだ大半の者は力を過信し魔王相手に驕り、目先の欲に目がくらんだ者ばかり。篩はここにある。


 剣閃騎士団二千人中、千人が殉職。およそ二百人が治療中だが、大半は治る見込みがない。もう手遅れな者たちがほとんどだった。

 序列十三位までのメンバーは、ロティルに空きが出て以来十二人。一人として欠落することなく、交代しながらの攻撃及び防御を行っていた。


 そんな絶望の窮地の中で、たった一つの光。闇夜にてその存在を主張する眩い一つの星は、剣聖ロンド。

 単独で魔王と渡り合い、時に押されつつも互角の戦いを繰り広げた。七日間ほぼ休憩無しで、その超人ぶりを発揮しながら。


 剣聖がいなければ、あっという間にこの連合軍は突破されていただろう。

 ――そして、剣聖は勇者を待っていた。


 勇者のための時間稼ぎ、勇者のための七日間。剣聖が限界を迎える前に、勇者が登場するのか。それが、この作戦の要であった。


「……作戦前に手紙送ったんだろ? 七日ってもさ、幾ら何でもそろそろ動いててもいいよな」

「噂によれば大会が終わってすぐ王都を出たそうだから、時間的には道草してなければ全然着いてもいい頃合いだわ」

「遅い……」


 誰もが、疲弊した心のなかで諦めていた。勇者はもう、来ないんじゃないかと。


「みなさん、お待たせ」


 突如、静寂に包まれた戦地キャンプにそんな声が響いた。

 その姿を見た全員が息を呑んだ。圧倒的な、存在の差。計り知れない希望が、空っぽの心に注がれる。

 ――勇者パーティ。ハルを先頭に、今彼女らが辿り着いたのだ。

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