恋とするには気持ち悪い
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
綺麗な人が居ても、一生モブでいいです。
取り巻きのお女子ちゃん、怖いん(´◉ω◉)
この学校には、この世の物とは思えないほど綺麗な人がいた。皆が皆、その人を取り巻いて、黄色い声を上げていた。私も喧騒に塗れる様にして、遠くから彼を見詰めていた。
綺麗だと思う。近くで見たいとも思う。でも、いつの日か目が合って、その憧れに、物凄い嫌悪感を抱いて見詰めるのを止めた。それ以来、彼を視界に入れることは無くなった。
遠くからの視線を感じると、何時も彼女の顔があった。見目の良い子だった。けれども誰一人として彼女に寄り添う事はしなかった。彼女の傍観者は僕だけだった。
慎ましいと思う。声を掛けたいと思う。でも、周りに抗って声をかける事は出来なかった。いつの日か彼女の視線を感じる事は無くなった。
次に彼女を見掛けたのは、学校の図書館の中だった。彼女はただ黙々とシャーペンを動かして、問題を解いていた。彼女が顔を上げた際に、ばったりと目が合った。
彼女は非常にバツの悪そうな顔をして、辺りに散らばった教科書や参考書を急いで鞄に詰め込むと、その場から逃げる様に慌ててその場を飛び出していった。残された消しゴムは持ち主を待ち侘びるように、ただひっそりとそこに立ちすくんでいた。
僕は黙って残された消しゴムを持つ。彼女の姿は随分と小さくなっていたけれど、走って追いかければなんて事はない。元より足の速さには自信がある。シンデレラにはさせない。
みるみるうちに距離が縮まって、彼女の肩まで手が届きそうな時に、そっと肩に触れた。ビクッと一瞬飛び上がった気がするが、見なかった事にしよう。
「忘れ物」
そう静かに声を掛けると、俯きがちに此方を振り返る。前までは遠くからあんなに此方を見据えていたのに、今は視線が交わる事はない。
「どうも……」
彼女は掌を差し出した。その上に消しゴムを落とすと、すぐに拳を作って手を引っ込める。会釈しながら、さっさとその場を去ろうとするのを見て、声を掛ける。
「そんなに僕の事が嫌い? 前に一度だけ目が合ったのに」
「……気持ち悪く……ないですか? 遠目から見て、声もかけないで。私は気持ち悪いと思いました。だから、見ないようにしてるんです」
俯いてしまって目が合わない。でもきっと、照れているのは明白だった。気持ち悪いなんて事は欠片もなく。その様が可愛いと思う。
「そんな事ないよ」
この世には綺麗な人がいるのを知っています。
けれども会いに行くのは絶対に出来ません。
きっと泣いてしまうから。
そんな事を考えていたら、反吐が出る程の自己嫌悪に襲われました。
綺麗な人に、私が話しかけるなんて烏滸がましい。
という気持ちが最上位に来ました。
という訳で出来た話。
相手の子も綺麗だけど、この彼には及ばないので、霞んでしまってます。
図書館だと一人なのは、取り巻きに、本人が注意したから、周りが注意したから。
故に喜んで追っかけます。
進展するといいですね。