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嫌い・・・
とうとうこの日が来てしまった。痺れを切らした両親によって私はお見合いをする料亭に来ている。高そうだ。きっと、良い所のお坊ちゃまが来てるのだろう。そういう人、好きじゃないんだよね。でも、仕方無い。心配させてしまっている自覚はある。
慣れない着物に息苦しさを覚える。早く終わらせてさっさと帰ろう。そして、友人に慰めて貰えれば、少しはこの気分も回復する筈だ。
「はぁ・・・」
思わず吐き出した溜息に母が眉を寄せる。少しくらいは許してよ。結構素直にお見合い受けたんだよ。
「ちゃんとしなさい」
父の言葉に更に出そうになる溜息を飲み込んで一応はちゃんとする。そんな娘の事はよく分かっている両親はそれ以上は言わない。
いや、本当に素直に来たんだから良いと思ってね。お見合いドタキャンして友人のデートに乱入とかしてないだけマシなんだから。
さて、お相手はまだだろうか。どうせ両親の事だから結構余裕のある時間を私に伝えている筈だ。前科があるからね。いや、本当に何回もあんな事する程馬鹿では無いんだよ。そんなに警戒しなくても良いじゃん。