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嫌いですが、まぁ・・・良いでしょう
私の初恋は近所に住む綺麗な人だった。ピアノを弾く姿勢が本当に綺麗だったのを今でも鮮明に思い出せる。尤も、彼女は私の告白を小さな女の子が近所のお姉さんに向ける程度の好意だと思っていただろう。
その時から私の恋愛対象は性別を問わなかった。ただ、綺麗な人。それだけが条件だったと思う。
「羨ましい」
これから友人は誕生日を恋人と祝うのだ。今まで祝っていた私を置き去りにして。寂しいではないか。
「私だけお一人様・・・」
「朝から一緒だったんだから、あんたとの時間の方が多いんだけど」
普通は友達よりも恋人との時間の方が多いんじゃない?そんな彼女の言葉を無視して、壁にのの字を書いて拗ねてますアピールをする。この位は許して欲しい。結局は見送るのだから。
「おめでと・・・プレゼント使ってね」
友人に似合う優しい色の口紅。私のセンスで可愛くなった彼女とデートしてろ。私なりの小さな嫌がらせ。