第二章プロローグ 弱小聖女が見る夢は
最近、よく見る夢がある。
私がまだ無力な乳飲み子だった時の夢。
私を抱きかかえた両親が、教会の前で嵐にもみくちゃにされながら叫んでいる。
『でもあなた! まだ小さいこの子を置いていくなんて!!』
『これしか方法がないんだ! 彼女は俺達なんかといるべきじゃない! この力は、人の役に立つべき力なんだ』
『でも……』
『クソッ! あいつらまた追ってきやがった。すまないミナ、本当にすまない……』
カゴの中に入れられた私は、そのまま扉の前に置き去りにされる。
夢なのに、まるで現実かのように胸がキュッと締め付けられる。
突き刺すような孤独感に苛まれ、私はいつも、ここで目を覚ますのだ。
「ミナ! また寝坊ですか? 来訪者が来てます。聖女の出番ですよ」
扉の向こう側から聞こえてきた声に、私はベッドから上半身を起こした。
いつもと変わらない日常が始まる。
これから私は教会に来たひとのために祈りを捧げるのだ。
見ず知らずのひとを救うために、平穏を祈る。
でも最近、思うことがある。
誰かを救うために、祈りを捧げるために、聖女は存在している。
それなら一体、聖女は誰が救うのだろう?




