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【二章完】トライあんどエラーを拳で!?  作者:
第一章 でこぼこチーム編
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第9話 魔族っ子固定砲台


「そんなわけで、こいつが今日からメンバー入りすることになったまのっぺだ。みんなよろしく頼む」


「マンドラ・ノルガール・ペゴア、略してまのっぺです!! よろしくお願いします!!」


「ああ、よろしく」


「はあっ、はあっ、よ、よろしく、たのむ……わね」


 転送された俺たちはそこで軽い自己紹介を済ませる。


 まのっぺはぺこりと頭を下げた。


 こういうところは行儀がいい。


 みんなの顔を伺っても、まのっぺに対しては好感触のようだ。


 こいつの本性はまだ明かさないでおこう。


 それにしても、さっきからなんだかフォルナの様子が変だ。


 まのっぺのことをじっと見て息を荒くしている。


 らしくないな。


 いつもだったら、『高位悪魔フォルナよ! あなた、なかなかいい服のセンスしてるわね!』とか言いそうなのに。


「ポジションはクノスが前衛、俺が中衛、まのっぺが後衛、フォルナが茂みで行く。問題はないな」


 全員が頷いたことを確認すると、マークの後に続いて森の中を進んだ。


「前回はかなりダメージを与えたし、今回は最初から本気でくると思う。みんな、気を引き締めてくれ」


 前回、ケルベロスは三頭のうちの一頭を失った。


 俺の全力ロックガンを食らったのだ。


 俺の顔を見た瞬間、マッスルフォームで襲って来るに違いない。


「はあっ、はあっ、あのっ、ちょっと、その頭、じゃなくて角、触ってもいいかしら」


 後ろから聞こえてきた。


 フォルナの声だ。


 まのっぺの角をみて興奮している。


 なにかフォルナ様の琴線に触れるものがあったのだろうか。


 確かに、湾曲した角はツルツルしていて触り心地は良さそうだが。


「む! いやです! 断固拒否します!」


 まのっぺは両手で角をかばった。


「そ、そんなこと言わなくても……いいじゃない? ほんと、ちょっとだけだから……」


「おいフォルナ、そんなことしてる場合じゃないぞ。いい加減にしろ」


「そ、そうよね。うん。我慢できる。我慢……できるわ」


 獣道を暫く進むと、奴の後ろ姿が見えた。


 洞窟に入っていくところだった。


「あれ? そういえばクノス、今回は気づかれなかったな。昨日はやつの方から襲ってきたのに」


「昨日は私が烈気を剥き出しにしていたせいだと思う。考え込んじゃうと抑えが効かなくなるみたいなんだ。でも今日は大丈夫。安心してくれ」


 烈気、そんな格闘漫画みたいな設定があったんですね。


 なるほど、ケルベロスは匂いを覚えていたわけじゃなかったのか。


 烈気……覇気みたいなもんか。


 動物はそういうのに敏感なんだろう。


「あいつ洞窟に入ったけどどうする? 流石に洞窟で戦うのは分が悪いよな。出てくるのを待つか?」


「私はそのほうがいいと思う」


「ボスに従います!!」


「はあっ、はあっ、もう無理よおおおおおおおおおおおおおお!!」


「ぬなあああああああああ!?!?」


 我慢の限界と言わんばかりに、突然まのっぺの角に飛びついたフォルナ。


 目が血走っててやばい。


 その角を上下にこすりながら、まのっぺの頭部に頬をすりすり擦り付ける。


「じょ、上下にすりすりッ!? フォ、フォルナ、今はそういうのは……」


 クノスは顔を真っ赤にしてフォルナが角を擦るのを指の隙間から見てそう言った。


 もじもじしだしている。


 むっつり魔剣士は日々知識を蓄えられているようだ。


 ってそんな場合じゃなくて!


「おい! お前ら静かに! 気が付かれたらどうすんだよ!!」


「我無様、この光景は記録すべきでしょうか?」


「記録しなくていい!!」


 点灯させた目を向けながら、マークが真面目なトーンでそんなことを聞いてくる。


 お前、今はそれどころじゃないだろ。


「あ、おい我無、見ろ!!」


「今度はなんですか!」


 クノスが見つめる先、そこには洞窟から出てくるケルベロスがいた。


 その口からはぽろっと何かがでている。


 手と足のようにも見えるが……洞窟の中で捕食したのか?


「まずいことになった。我無。やつが口に咥えているのはクリスタルゴーレムだ。やつは今、魔素の塊を体内に取り込んだ」


「ってことはつまり……」


「大幅にパワーアップしたということだ」


『ガギンッ』という音が響き、クリスタルゴーレムはその身体すべてを捕食されてしまった。


 みるみるうちにケルベロスの身体が変質していく。


 その鉤爪は生え変わり、クリスタル色に。


 その牙は更に伸び、凶悪さを増す。


 身体の所々には結晶のような棘が生え、


 そして……


「ま じ か よ」


 俺が削り取ったはずの頭が再生した。


 その瞳はクリスタルだ。


『獄脱獣ケルベロス』は『獄脱獣クリスタルケルベロス』に進化した。


「我無とみんなは私の後ろに」


 クノスの後ろに下がり警戒しながら、俺はフォルナの方を見た。


 まのっぺの角をつかみ彼女を軽々持ち上げ、その胸に抱きかかえている。


「このっ、角! 最ッ高!! 最高だわ!!」


「なあっ!? ボス! ボス!! なんとかしてください!!」


「もう、お前らはとりあえず隠れてろ。まのっぺ、援護できるようだったらいつでもあの必殺技みたいなの放っていいからな」


 まのっぺはクノスに振り回されており、返事がない。


 こりゃだめだ。


 俺とクノスでなんとかやるしかないな。


 実験開始だ。



 ———



「「「グオオオン!」」」


 心なしか、目の前にいるケルベロスは少し落ち着いているように見えた。


 自分の頭を吹っ飛ばした敵がここにいるっていうのに。


 なんだか、澄ました目をこちらに向けている。


 賢者タイムか?


「クノス、できる限りでいい! 頼んだぞ!」


「ああ!」


 彼女は返事をするとライトセーバーを抜いた。


 暗闇に青白い光が灯る。


「くるぞ! 白滅流、一矢」


 ケルベロスは特大ブレスを発射。


 クノスはそれを難なく真っ二つにした。


 それを横目に見ながら俺はケルベロスの側面に回る。


 今のところ作戦は、以下の通り。


 クノスが正面でヤツと対峙。


 彼女には接近戦もしてもらいながら、うまいこと注意を引いてもらう。


 その間に俺は奴の側面、もしくは後ろに周り、そのまま奴の身体を貫くロックガンを発射する。


 というものだ。


 やつを倒すには頭を3つ飛ばさなければならないが、それは難易度が高すぎる。


 そこで、なら心臓を潰せばいいじゃないか、と考えたのだ。


 実際やつが心臓を潰されて死ぬのかどうかは疑問だが、今回はそれを試す。


 中距離から安全にロックガンを打ち込めれば上出来だ。


 だが、最悪奴の懐に潜り込んででも、ゼロ距離でぶっ放してやる。


 その時の動きも脳内でシミュレーション済みだ。


 クノスと対峙している奴の背後、洞窟の入口付近まで俺は移動してきた。


 やつはクノスの相手をするのに必死で、こちらには気がついていないようだ。


 クノスはというと、うまいこと技を使ってブレスを消しながら、奴の近接攻撃をギリギリのところで避けている。


 やっぱり、クノスの戦闘能力はかなり高い。


 血を見たら失神するけど。


 地面に手をついた俺はロックガンを発動。


 それにウィンドを加え回転力を高めていく。


 この技は正直使いたくない。俺のリソースが足りないのかいつも頭痛に襲われる。


(ギリギリ、ギリギリ制御できるところまで高めて一気に放つ。くっそ、頭いてええ)


 そう考えながら、やつに狙いを定めていると、ある違和感が俺を襲った。


 クノスと戦うやつの後ろ姿、なにか変だ。


 真ん中の頭が動いていない……?


 復活した頭の動きが他の二頭に比べ少ないような。


 なぜだ?


 いや、考えても無駄なことは考えなくていい。


 今はとにかく、ロックガンの威力を高めることに集中を……。


(よ、よし、そろそろいいか。後はこいつを奴に放てば……)


 そうして、地面から手を離そうとした瞬間だった。


 奴の復活した頭が360度、フクロウみたいに回転してこちらを向いた。


 その動きにクノスと俺は『ヒッ』という声をあげる。


 クリスタルの瞳でこちらを睨んだやつはそのまま、ブレスを発射...するかに思えた。


 しかし、やつが発射したのはクリスタルの結晶が集まったトゲトゲした物体だった。


(クソっ、ロックガンで相殺するか)


 それを見た俺はロックガンを発射。


 やつに動きがバレてしまった以上、作戦を移行するしかない。


 次の作戦はやつの懐に潜り込み、真下からロックガンを食らわせ、串刺しにするのが目標だ。


 ロックガンがやつのクリスタル砲とぶつかり、広範囲に砂埃が舞うのを確認。


 俺は、その中に向かって一直線に走り出した。


 やるべきことは決まっている。


 砂埃から抜け出した俺は、クノスに合図を出した。


 すると彼女はライトセーバーから、やつの足元に向かって斬撃を飛ばした。


 やつはそれを避けるように後ろに飛び下がり、俺のちょうど真ん前に着地。


 すかさず俺は両手からウィンドを放ち、加速。


 おもいっきりスライディングして奴の懐に潜り込んだ。


 スライディングした体勢のまま、地面に手を滑らせる。


(やつに気づかれる前に発動しないと)


 発動する魔法はサンドウェーブ、それにさらに水属性をプラスしたものだ。


 それを一気に溜めなしで流し込んだ。


 俺の半径一メートルほどを残し、周囲の地面はみるみるうちに泥沼へと変わっていく。


 それにやつの四肢は飲み込まれ、動きを止めた。


 すぐさま、俺はロックガン+ウィンドで威力を高め……


「ロックガンッ!!」


 撃ち込んだ。


 奴の身体を貫通するのに、必要最低限の威力。


 これならいける、そう思った。


 しかし、俺のロックガンは散った。


 なぜか?


 俺の頭上にある奴の胸部、そこが心臓を守るようにしてクリスタルに覆われたのだ。


「くそっ!!」


 ここから先は考えてないぞ!


 どうする? やつはまだ、身動きが取れない。


 だが、俺には有効打になる魔法がもうない。


「ボスッ!! ピンチですか?」


(まのっぺ!!)


 茂みを見ると、フォルナに抱えられたままのまのっぺが、振り回されながらも魔法を発動しようとしていた。


「やってくれまのっぺ!! こいつを葬り去ってくれ!!」


 なんだよあいつ!


 いいところで活躍するじゃないか!


 今までとんでもバーサーカーだとか思ってたことを謝るよ。


「いきます!! 貫通咆(ペネトレーションロア)!!!!」


 まのっぺから放たれた極太ビーム。


 それは俺の頭上にいるケルベロスを葬り去る……ことはしなかった。


 まのっぺが魔法を発動したことを確認したケルベロス。


 やつは足元の泥沼を結晶化、泥から浮き上がったのだ。


 そして貫通咆が放たれると、ぴょんっと跳ねて逃げていった。



(あれ?これって、もしかして……いつもの?)



 そこには一人の男が残った。


 不運なことに彼の半径一メートル以外は泥沼が覆う。


 逃げ道がない。


 絶体絶命だ。


 だが、まのっぺが狙っていたのは彼の頭上にいたケルベロス。


 その下にいる彼に標準が合うことなど無いはずだが……


「むっ!! 離してください!! このままでは、ボスに貫通咆が……あっ、あっ———!!」


 フォルナに振り回される魔族っ子固定砲台。


 そのビームは鞭打つように一気に下を向き。


「ぬああああああんでそうなんだよおおおおおおおおッ!!!!!」


 ベチンッ。


 俺が、葬られた。

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