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魔王軍幹部は百合だらけっ!!  作者: 幻夢 霞
序章 運命の出会い編
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第2輪 勇者《しんりゃくしゃ》①

「じゃあ、最終勇者対策会議をはじめようか。」


 場所は変わって魔王城作戦会議室。

 漆黒の円形の大きな机を囲うように5つの椅子が置かれ、リリィたちがそれぞれ4つの椅子に腰かけている。うち一席は空席となっている。

 会議の開始を告げるのは、机に肘を立てて指を組み、その上に顎を乗せたリリィ。いつものにこやかな雰囲気はなく、真剣な空気が漂う。


「それじゃあ改めて状況説明を、セリカちゃん、お願いできるかしらぁ~。」

「はっ!」


 サキュアに指名されたのはサキュバス隊隊長のセリカ。

 魔王軍では幹部たちをサポートする秘書のようなポジションいる仕事のできるサキュバスである。本来サキュバスの頂点であるサキュアが四天王を務めているため、次点でサキュア直属の部隊のサキュバス隊隊長に就いている。いかにも女性秘書といったスーツ仕様の軍服をビシッと着こなし、細身なアンダーリムの眼鏡が知的な彼女に似合っている。

  ちなみに魔王軍には一応軍服が存在するが、着用の義務は無い。着ていたとしてもオリジナルの改造を施している者もおり、軍服に関しては規律が非常に緩くなっている。これは種族ごとの体格や「仕事中もおしゃれでいたい!」という女性魔王軍の意見から、リリィの「みんながストレス無く仕事できた方がいいんじゃないかな」の一言で実現させたからである。


()()一行3名は5日前に王国領内に侵入。道中軍のとの戦闘を経て、現時刻より2時間後にここ魔王城まで到着するものと予想されます。」

「勇者以外の人たちについては何かわかる?」

「残り2名は神官と兵士のようです。なかなかの手練れのようで、20名ほどの負傷兵が出ていますね。また、実際に戦った者からの話を精査すると軍用魔導器の性能が向上している可能性が高いです。」

「軍用魔導器・・・か。また面倒なものを作ってくれたものだね。」


 ()()()()()


 魔族は大体の者が生まれつき魔法が扱え、魔法は一般国民の生活に溶け込んでいる。例えば、料理の火種であったり、洗濯の水であったりと幅広く用いられる。

 一方、魔族と異なり魔法を扱う素質を持つ者が少ない人間が暮らすランジア帝国では、生活の質を向上させようと開発したものが()()()だ。魔石をエネルギー源として消費するだけで、火をともしたり、水を生み出すことが出来る。その魔導器を兵器に転用したものが軍用魔導器だ。装着者の身体能力を向上させるため、近年のランジア帝国軍では量産した軍用魔導器を全軍に配備している。


「解析は得意な子たちにしてもらってはいるけれど、詳しいことはよくわからないのよね~。そもそも私たちは魔石が何処から来て、どうやってできるのかもわからないんだもの。」

「まあ、今ここで考えたところ何も変わらないさ。問題は・・・」


 ナイトはちらりとリリィに視線を流す。リリィは、うん、と頷いて伏し目がちにサキュアを見る。


「問題はこの後来る勇者たちだね。サキュアちゃん、お願いしてもいいかな?」

「まかせて~。リリィちゃんのところには絶対に通さないから、大丈夫よぉ。」

「いつも辛いことをお願いしてごめんね。」 


 えへへ、とサキュアへ控えめに笑顔を向けるが、その笑顔が本心からの物では無いことなど、サキュアはよくわかっていた。


(リリィちゃんは本当に優しいわ。自分が殺されるかもしれないのに、殺しに来る相手の命を奪いたくないと思ってしまう。それだけじゃなくて、自分を守るために私たちが傷ついて、傷つけてしまうことが怖いのに、心配をかけないようにっておくびにも出さないんだもの。)


 リリィは魔王だ。自分たちは支えることはできても並ぶことはできない。だからこそ、リリィの隣に誰よりも近くで寄り添って、弱いところもさらけ出せるような相手がいて欲しいと願ってしまう。


「念のためにナイトちゃんも準備をお願い。それとココナちゃんは・・・。」

「ナイトの傍にいる。」

「お姫様・・・」


 即答するココナに、ナイトが眉をひそめる。ナイトは席を立ち、ココナの隣にひざを折ると、()()()()()()()諭すように語りかけた。


「いいかい、お姫様。いつも言っているように、勇者たちは危険な存在なんだ。ましては僕たちがこれから行くのは戦場。殺し合いになるのは避けられない。そんな場所にお姫様を連れて行きたくはないんだ。」

「・・・嫌。」


 ココナが小さく首を振ると、ナイトは困ったように髪をかき上げながらも、最初から返事はわかっていたのですぐに折れる。だからこそ、()()()()()()()()()


「わかったよ。その代わり、僕の後ろにいるんだ。絶対に戦ってはいけないよ。」

「うん。」


 ナイトとココナの恒例のやり取りが終わるのを確認してから、リリィは努めて明るく笑顔で声をかけた。


「サキュアちゃん、ナイトちゃん、ココナちゃん。いってらっしゃい!」

「いってくるわぁ。」

「いってくるよ。」

「いってきます。」


 三人は各々手を振り応え、勇者を待ち受けに行くのであった。















遅くなりました。

今週は比較的余裕があるので、もう一話くらい行けると思います。


来週は・・・・きっと今週の私が書き溜めてくれるはず。

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