第8輪 魔王軍四天王集結!②
〇魔王軍陣営
・リリィ (外見年齢:14歳くらい)
リリィが納める魔族の住まう国、シルビオン王国の魔王。持ち前の明るさで皆を笑顔にし、シルビオン王国に住む魔族の幸せを願う心優しき少女。
自分を討伐しに来た百合に一目惚れした。
・花園百合 (外見年齢:13歳くらい)
異世界から勇者として召喚された少女。感情の起伏を表情にあまり出さない、無口系の少女。リリィに一目惚れした。
・サキュア(外見年齢:22歳くらい)
魔王軍四天王第一席。種族はサキュバス。みんなのお姉ちゃん。
・ナイト (外見年齢:18歳くらい)
魔王軍四天王第二席。種族はヴァンパイア。イケメン王子様みたいな女性。
・ココナ (外見年齢:9歳くらい)
魔王軍四天王第三席。種族はワーウルフ。ナイトのお姫様。
・エルトナ (外見年齢:20歳くらい)
魔王軍四天王第四席。種族はエルフ。魔王領をふらふらしている。
・シスハ (外見年齢:16歳くらい)
ミカリユ教の神官。不思議な力で他者の傷を癒せる。
・クリスティーナ=ランジア (外見年齢:21歳くらい)
ランジア王国の第一王女。王女としてランジア王国の民を真に想う気高い女性。
・クロエ (外見年齢:20歳くらい)
ダークエルフ隊隊長。種族はダークエルフ。暗殺・偵察・情報収集が得意。
「エルトナちゃんが帰ってきた!?」
午前中で一日分の執務を終え、シスハの体調をみんなで確認しようとシスハに宛がわれた客室に向かっていると、セリカから報告が入った。
「はっ!現在エルトナ様は王の間でシスハ様と共にリリィ様をお待ちしているようです。ですが・・・、その際、百合様も必ずご一緒にとのことでして。」
「私?」
リリィが執務している姿をずっと眺めていた百合が、何故自分なのかと不思議そうにこ首をかしげる。
「あらあら~、エルトナちゃんの耳に入っちゃったのねぇ。これはリリィちゃんと百合ちゃんはこれから大変ねぇ~。」
「ははっ、エルトナさんらしいじゃないか。帰ってくるのは三年ぶりだったかな。今回はどんな旅をしていたのか気になるね。」
「エルトナおねえちゃんのおはなし・・・たのしみ。」
「エルトナ殿・・・というと、四天王最後の御人か。」
(『魔王軍四天王エルトナ』。ランジア王国が唯一情報を持っている四天王だったか。10年前の侵略戦争の際に生きて帰ることのできた数少ない兵士が、確認することのできた四天王の名前が『エルトナ』であったな。確か当時の兵士達の間での二つ名が・・・)
「『最弱の四天王』・・・か。」
「ダメよクリスティーナちゃん。そんな呼び方したら、エルトナちゃんが悲しむでしょ~。」
クリスティーナの呟きを隣を歩くサキュアが拾う。今までならサキュアはリリィの隣を歩くことが当たり前だったのだが、現在は百合がリリィの隣で話しており、ナイトとココナは言うまでもないため、サキュアはクリスティーナの隣を歩いていた。
「すまない、悪気があったわけでは無いのだ。」
「あはは、エルトナちゃんは気にしないと思うけど、ちょっと危ないから気を付けた方がいいかも・・・。」
「エルトナ殿とはそんなに危険な御人なのか?」
苦笑いを浮かべるリリィにクリスティーナが問う。
「エルトナさんはそんな小さなことを気にする人ではないよ。ただ、そういった発言をクロエに聞かれていたら、今頃レディは泡を吹いて地面に倒れこんでいることになるだろうね。」
「毒・・・。」
つい昨日のクロエとの戦闘を思い出し、百合の眉間にしわが寄る。間違いなく死んでいたはずで、忘れられない毒の苦しみが脳裏に浮かんだ・・・
「ん、まあいい。」
のは一瞬のことであり、死を直感した苦しみは隣を歩くリリィの横顔のかわいらしさに上書きされてしまった。なんかもう、百合の目にはリリィしか映っていなかった。
「エルトナおねえちゃんは・・・キラキラしたおねえちゃんだよ。」
「キラキラ?」
ナイトの手を握りながら恐る恐る会話に入るココナだが、クリスティーナに問い返されると、ナイトの陰に隠れてしまう。
「エルトナちゃんの髪がとっても綺麗で、日の光が当たるとキラキラ輝いて光ってみえるからじゃないかしらぁ~。エルトナちゃんもとっても美人さんなのよぉ。」
「そんなに綺麗な御人なのか。そういえば、ランジア王国の中ではエルトナ殿はエルフだと有名だ。だが、エルフとは他者と関りを持たぬのではなかったのか?」
シルビオン王国と国交があったころを知る者の話では、エルフは魔族の中でも決して他の種族と関わろうとしない閉鎖的な種族であると聞いたことがあったのを思い出す。そういえば、シルビオン王国に来て以来、エルフを見た覚えがない。
「エルフ族はちょっと気難しい人が多いというか、自分たち以外をちょっと下に見てるというか、ちょっとまだ分かり合えないところがあって・・・。あっ、エルトナちゃんはそんなこと全然ないからねっ!」
胸の前で腕をブンブン振りながら説明してくれるリリィに、クリスティーナは何とも可愛らしい魔王だと微笑む。
そんな話をしている間に、リリィたちはエルトナとシスハの待つ『王の間』に到着した。
「やあ、リリィ。久しぶりだね。綺麗になったじゃないか、見違えたよ。」
王の間では、セリカから聞いていた通り、エルトナ、シスハ、そしてクロエもいた。
どこからか調達したであろう椅子にエルトナが腰掛け、テーブルクロスの敷かれたテーブルを挟むようにシスハが居心地の悪そうに座っている。クロエはエルトナの横で控えるように立ちながら、シスハに睨みを効かせていた。
「そう睨むのは止めるんだ。勇者のお嬢ちゃんに敗れて一月は動けない傷を治療してくれたのはお嬢ちゃんなんだろう?感謝はすれど、そういった態度は感心しないね。」
「はっ!申し訳ありません。」
「謝る相手は私ではないだろう。」
「・・・悪かったな。」
「私からも礼を言うよ。クロエを助けてくれて感謝するよ、お嬢ちゃん。」
「いえ、それが私にできることですから。」
「できたお嬢ちゃんだ。」
そんなやり取りをしているうちに、リリィたちがエルトナたちの近くまで寄ってきた。
「エルトナちゃん元気だった?エルトナちゃんは相変わらずとっても綺麗だね!」
「そうかい?あまり自分ではわからないのだが、誉め言葉はありがたく受け取っておくとしよう。ところでなのだが、リリィ。例の勇者はそこのお嬢ちゃんで間違いないのかい?」
エルトナは目を細め、リリィの横に立つ百合を鋭い眼光で見つめる。
「違う。私はもう勇者なんかじゃない。私はリリィの恋人で婚約者。」
「何言ってるのぉ!?私たちはまだそんな関係じゃないよぉ!?」
「まだ?」
己の失言に気付いたのか、はぅぅ、と小さく鳴いたリリィは赤く染まった顔を両手で隠す。
「ほう、お嬢ちゃんの話の通りだね。クロエ。」
「はっ、エルトナ様。」
クロエは短い会話でエルトナの意を汲むと、エルトナの手にしたガラス杯に何処から取り出した酒を注ぐ。エルトナは酒で満たされた杯を一気にあおると、真剣な面持ちで百合に向き直る。
「初対面で悪いのだけれどね、是非お嬢ちゃんがリリィの何処を好きになったのか聞かせてはくれないかな・・・じゅるり。」
細く美しい唇の端から零れそうになる涎をすぐさま吸い込む。
「聞かせてあげる。あれは初めてリリィを見た時だった。扉を開けてリリィが目に入った時、私の目にはリリィしかなくなった。目を離せなくなった。一目で私のすべてがこの時のためにあるんだとわかった。ううん、これからのすべてをリリィと一緒にいるんだとわかった。そういえば、どこが好きなのか聞かれてるんだった。全部好きだけど、まず一番先に目に入ったまるで光を集めたみたいに綺麗な銀髪が・・・」
「ほう・・・それはそれは・・・一目惚れかぁ・・・えっへ・・・しゅごく尊い・・・じゅる・・・」
いつもの無口な百合の姿は無く、息つく間もなくリリィへの想いをまくしたてる。それに比例してリリィの顔が熟れたトマトのように赤くなっていく。
それを聞くエルトナはいつもの美貌は見る影もないくらいに緩んだ顔で、グラスが空くたびにクロエが注ぐ酒を次々に飲み干していく。
口の端からは興奮から溢れた涎と酒が、光を反射させながら糸を引いて床に水溜りを作っていた。というより、もうほとんど口に含むだ酒が床へ零れていた。
「ナイト、キラキラしてるよ。きれいだね。」
「そうだねお姫様。綺麗かはわからないけど、キラキラしてるね。」
「・・・なあサキュア殿、魔王軍ではああいった御人はよくいるのか?」
「エルトナちゃんは女の子同士の恋愛が大好きなのぉ。そういうのを『百合』って呼ぶのだったのかしらぁ。特にリリィちゃんたちくらいの年頃の恋愛が好きなのよねぇ。」
そんなエルトナにクリスティーナは若干引き気味のようだ。
エルトナと同じ席に着くシスハは、実は治療中に同じような光景を体験していた。だが、そんなことよりもエルトナの興奮に比例して拡がっていく酒と涎の混合液の水溜りが、自分の足元近くまで侵食してゆく恐怖に震えていた。
皆様こんにちは。幻夢霞です。
実は『聖女付きのセエビア』の年齢の表記を間違っておりまして、前回から人物紹介のところで修正しています。申し訳ありません。正しくは20代の女性です。
皆さんはGWをいかがお過ごしですか?私は最近夜九時半に就寝して朝五時半に目を覚ますという、ご老人のような生活をしております。そのせいか成人してから幾年か経過したにもかかわらず未だに身長が伸び続けています。成長期ですね。
さて、『魔王軍幹部は百合だらけっ!!』は長かった序章『運命の出会い編』が終わり、第一章『第二次侵略戦争編』に突入したわけですが、戦争はいつ始まるんでしょうか。このペースで行くと冬ごろになりそうで、今回のシスハ同様震えております。
次話の更新日は5/5(日) 18:00です!お楽しみに!




