ひまわり畑の初恋の君
第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞応募作品です。テーマは「ひまわり」。
加純様から、めっちゃ麗しいフローレンティン&めっちゃ可愛いマリエお嬢様のFAを頂戴しました!!ありがとうございますありがとうございます!!
今でも覚えてる。夏の日の初恋。
私達皆、ひまわり畑で遊んでいたわ。
私、かくれんぼが得意だったの。得意すぎてなかなか見つけて貰えなくて、心細くてしゃがみこんだ。
見上げると金色のひまわりと青い空で視界が埋め尽くされた。まるで天国の様な情景に私の意識は吸い込まれて。いつの間にかそのまま寝てしまったみたい。
気がつくと私は彼におんぶされていた。彼は微睡む私に「ずっと君を守る」と言ってくれたの。
「やっぱり納得いかないわ!」
「お嬢様……またですか? ほら。お茶でも飲みましょう」
癇癪を起こした私を宥めながらフローレンティンは優雅な手つきでお茶を淹れた。
「だってフロー! レイ様が他の人と結婚だなんて!」
隣の領地のレイ様は私の幼馴染み。将来私達は一緒になるのだと信じていた。
でも向こうから何も言ってこないから不思議に思っていたら彼が婚約したと聞いたの。
「レイモンド様とお相手のご令嬢は大層好き合っておられるとか」
フローは何が面白いのか苦笑して言った。んもう!主人に向かって無礼じゃない?
でも整った顔立ちにきっちりまとめた金髪、すらりとした長身を紺のメイド服に包んだフローの微笑みは私から見ても美しい。
「だけど彼は私をずっと守るって約束してくれたのに!」
「……どういう事ですか?」
私の言葉に、フローが切れ長の目を据わらせ低い声で尋ねた。珍しくちょっと怖い。
フローは私のお茶汲み係 兼 護衛役でもあるから、自分の仕事を取られるのは許せないのね。
私は小さな頃の想い出を語った。
フローは何故か額に手をやり溜め息をつく。
「……お嬢様。それは人違いでは?」
「え? 私をおぶってくれた人はひまわりみたいな金髪だったのよ! あの時子供は何人かいたけれど金髪の男の子はレイ様だけの筈!」
「男の子は、ね……」
何だかさっきから変な態度のフローに私はムッと来た。
「もういいわ。着替えるから緑のドレスを出して」
デイドレスを脱ごうと首のボタンに手を掛けると、ガチャンと乱暴な茶器の音が背後で鳴る。
「フロー? どうしたの?」
「どうしたって……お忘れですか、私は護衛ですよ! 着替えるなら他の者を呼んできます!」
フローは真っ赤になって部屋を出る。そんなにお仕事にプライドを持ってたのね。他の仕事を言いつけるなんて悪いことをしたわ。
……という、私の考えが全部間違いだと知ったのは後日の事。
まさかフローが小さい頃から護衛役の為に女装していただなんて予想もしなかった。
フローレンティンって名前の男性もいらっしゃるらしいですよ。
お読み頂き、ありがとうございました!
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