スキル【(๑˃̵ᴗ˂̵)】を獲得しました
「これよりスキル付与の儀を始める!」
司祭様の言葉を聞き握り締めていた拳に力が入る。
スキル。十五になると同時に神から与えられる力。これにより先の人生が決まる。
武に秀でたスキルを得れば英雄の道が開かれる。
政治系のスキルならば国や領地を管理する道があり、生産系ならば農家や商人の道がある。
スキルで重要なのは星の数。
剣技【☆】よりも剣技【☆☆】の方が良い。
星の数は合計で五つと決まっている。
俺が望むのは身体強化と剣技などの組み合わせ。
なぜ? 理由はシンプル。
俺は、皆を笑顔にする英雄になりたい。
「次、エイ・ガオウ」
──来たっ!
俺は返事をして席を立ち、司祭様の元へ向かう。
「どうぞ、水晶に触れてください」
軽く呼吸を整えてから右手を伸ばす。
そして──
『スキル【(๑˃̵ᴗ˂̵)】を獲得しました』
水晶の真上に、不思議な文字が浮かび上がった。
「……あの、司祭様。これは?」
「ふむ、神々の世界における言葉でしょうか?」
どうやら司祭様も見たことが無いらしい。
「一体、どのようなスキルなのでしょうか」
「願うのです。所有者である貴方が願うことで、詳細を知ることができるはずです」
「分かりました」
言われた通りに願う。
すると、スキル名の下に別の文字が現れた。
/
人差し指を ほっぺに当てて
パチッとウインク 魔法の言葉
\
「ほう、これは詠唱ですね。しかも短文詠唱です」
「詠唱ということは、魔法の類ですか?」
「魔法ならば、魔法名もあるはずです」
「魔法名……願ってみます」
──
『えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)』
──
「……これ、ですかね?」
「うむ。魔法で間違いありませんね」
「どのような魔法なのでしょうか」
「願うのです」
──
みーんなでステキなえがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)
──
「……えがおー?」
「ふむ、察するに対象を幸せな気持ちにする魔法ではないでしょうか」
「……なる、ほど?」
「試しに、私に向かって発動してください」
「えっ、危険ですよ。もしも攻撃魔法だったら……」
「ははは、仮にそうだとしても、今の貴方が私にダメージを与えるのは不可能ですよ」
なるほど、司祭様の言う通りだ。
大魔法使いの子供ならさておき、ごく普通の農家に生まれた俺の魔法が司祭様に通用するわけがない。
「それでは、失礼します」
「ええ、来なさい」
すぅ、と息を吸う。
──魔法。まずは詠唱をしながら魔力を練り、次に魔法名を唱えることで発動する奇跡。
ええと、詠唱は……これはちょっと……いや、恥ずかしい詠唱など存在しない!
「ひ、人差し指を、ほっぺに当てて……パチッとウインク魔法の言葉──えがおー」
/
えがおが足りない
\
「これは、どういうことでしょうか」
「ふむ。発動の条件でしょうね。試しに、とびきりの笑顔で詠唱してください」
「……なるほど」
水晶に表示された文字を見ながら唇を噛む。
あの詠唱を……とびきりの笑顔で?
大きく息を吸う。
そして強引に笑顔を作る。
「人差し指をっ、ほっぺに当ててっ──」
シュウウウと音がして、俺は眩い光に包まれた。
「詠唱を止めてはなりません!」
司祭様の声。
ハッとして、詠唱を続ける。
「ぱ、パチッとウインク魔法の言葉──えがおー!」
そして俺は、初めて魔法を発動した。
「おおおぉぉぉぉ……」
「司祭様っ、何も見えないのですが、一体何が!?」
約十秒後、視界が元に戻った。
司祭様が満面の笑みを浮かべていた。
「ははは、笑顔になってしまいました」
「……えっと、司祭様? それはどういう?」
「言葉通りです。君の魔法を受けて、幸福を感じています。いやはや、こんな幸福は娘が生まれて以来だ。ありがとう」
「……どう、いたしまして」
司祭様と握手をする。
なんだか幼い子供のような扱いを受けている気がするけれど、この笑顔を前にしては文句など言えない。
「さあ、席に戻るのです。次の儀式を始めます」
「……はい、わかりました」
とぼとぼ歩いて、座り直す。
そして、今の出来事を反芻した。
──夢があった。
物語に出てくる英雄のように、人々を助けて笑顔にしたいと幼い頃から夢を見ていた。
きっと、心の声が神に届いたのだろう。
俺は人々を笑顔にするスキルを手に入れた。
「…………手のひらを、頭に乗せて」
小さな声で、独自の詠唱を始める。
「…………ガクッと俯き、心の叫び」
もちろんこれは魔法でもなんでもない。
ただ、心の奥底から出てくる感情をありのままに吐き出しているだけだ。
「…………そういうことじゃねぇよ」
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追記
ジャンル別1位えがおー(๑˃̵ᴗ˂̵)!
普段は現代物を書いてる作者です!
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