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ゼミク③

第52章

 ゼミクは、自分のコウモリについて、あまり考えた事はなかったが、エビクール国王の弱点になるコウモリを、モモガロンの為には、どうしても一掃したかった。


 それまでのゼミクは、前世でも、霊は常に自分の近くに存在していたし、自分が生み出すコウモリ達を気にはしていなかった。


 ヴィッセルス国の精霊の持ち主は、精霊が死ぬと、その持ち主は消滅してしまう。しかし、コウモリたちは・・。


 それから、考えて、考えて、結論に達した。


 「モモガロンも、絶対に転生人だ。そうでなければホワイトの人たちを助ける事をしていない。もしも、自分の国にも転生人が存在していたら、多分、助け合うか、話し合うかするだろうと思う」


 「ーー彼女は、つくづくスゴイ! 本当にこの国の王妃にふさわしい人だ」


 「さて、増えすぎたコウモリ達をどうするか?」


 前世とクロモリ伯爵邸のコウモリを考えると、もしも、自分がこの世界からいなくなってもコウモリが残る事が予想された。


 コウモリは、自分を通して現れる霊だと確信して、コウモリを集めて麒麟にはなれるが、その姿は、幻覚で、エビクール国王の、にゃあ様とは、まったく違う。


 コウモリは霊であり、精霊ではない!


 「誰かに、自分のコウモリを倒してもらい、クロモリ伯爵のコウモリ、その他の貴族に渡っただろうコウモリも、処分してもらわないと、後々、モモガロンの災いになる可能性がある」


 手慣れたように窓を開け、ゼミクはマギガル伯爵の屋敷に入って行った。


 何度も、忍び込んでいるマギガル伯爵の屋敷の変化は、小さな事でもはっきりとわかる。

 「彼は・・・、コーヒーの淹れ方を工夫し始めている、なぜだ?」


 それから、急いでタイムテーブルを作り、一つ一つ書き込んで行くと、答えにたどり着いた。

 

 「そっか、彼も転生されている」


 「前の薄汚いマギガル伯爵は、亡くなっていて、レインもこの屋敷には存在していない。モモガロンは、それを知っていて、彼とマザー出版を立ち上げ、彼を助けた。今のマギガル伯爵は、彼女にとって、味方に違いない。電話で話した時に、覚えた違和感は、素晴らしい大人の営業マンの様な会話だった。ーーーふっ、モモガロン、この国の幸運は、絶対に、君が集めている」


 数日後、開放されてマギガル伯爵は、書斎に行き、ゼミクの製作途中の資料を読み始める。


 二人は会った事がないが、ゼミクはその資料を意図的に机の中に忍ばせていた。


 「彼は、優秀で、そつがなく、転生されたばかりなら必ず手にするはずだ」


 その後のその資料には、付箋が、補足がされていた。マギガル伯爵は、その資料を元に、前のマギガル伯爵の記憶を書き込み始めている。


 「付箋って、この国にはないだろう。うん?ーーーなぞは、コウモリ・・・?と書かれている。遂にここまで来た。助かった! 時間は後、わずかだ! 頼む!モモガロン様の力になってくれ! 」


 ブラックコーヒーを愛する彼の最後の謎は、コウモリの存在になっていた。


 モモガロンを誘拐する前に、マギガル伯爵の書斎を訪ねた。いつもの引き出しの資料の上には、『君は誰だ?』と書かれていた。ゼミクは、そのメモを手に取り、笑った。


 「はははは・・、こんなに楽しい事は、二つの人生の中でも初めてだ」


 「マギガル伯爵、ドキドキとワクワクをありがとう。そして、最後の頼みを託します」


 ゼミクは、コウモリの正体を記入し、ヴィッセルス国からコウモリを一掃して欲しいと書き込んだ。



 その後、戦いは終わり、マギガル伯爵の活躍は賞賛に値すると、王宮の誰もが称え、マギガル伯爵は、タツトヨリイ公爵の後を引き受け、マギガル侯爵となった。


 「国王陛下、私の働きは、ゼミクから受け継いだものです。彼は、本当にモモガロン様の幸せだけを願っていたと思います」


 「うん、わかっている。それは、当然、私の役目だ。しかし、彼に助けられたままでは、気分が悪い。モヤモヤするこの気持ちを、理解できすか?」


 「はい、男として当然です」


 「シャドウ宰相はどうだ?」


 「理解できます」


 その後、エビクール国王は、モグクライ国のゼミクライブ国王に、書簡を送り、ファラブ領への支援を申し出た。


 最初は、その書簡を握り潰していたゼミクライブ国王だったが、あの石が、とてもよく燃える事を、記載すると、素直に援助を受け入れた。


 ゼミクライブ国の王都は、殆んどがあの石で埋め尽くされ、ヴィッセルス国のエビクール国王が攻め入る事はできないが、どこかで火が点くと、王都すべてに延焼が起き、燃えて無くなる可能性がある。と、親切に教えてあげた。


 その後、何年も、ゼミクライブ国の王都は、石を取り除く工事が行われ、王都で火を使う事は、極力しないようにと、お達しが出た。


 「ふふふふふ・・・・」


 「国王陛下、笑い過ぎですよ」


 「いや、会った事もないが、ゼミクライブ国の国王は、きっと相当、慌てているに違いないと思うと、おかしくて・・・・。守ったつもりが、自分の首を絞める結果となっていて、それを相手国から教えてもらう・・きっと、そうとうな屈辱だ! 」


 「しかし、彼も、この国を見ているからこそ、ゼミクを怖がり、自分の場所を奪われないようにしたのでしょう。しかし、ファラブ領への、ヴィッセルス国の支援を受け入れた。それだけでも、国王の力量があります」


 「ああ、そう、信じよう。それより、水はどうするつもりだ?」


 シャドウ宰相は答える。


 「はい、モモガロン様が見た小さな池を頼りに、スワルトイ領の麗分水から水を引きます」


 「どうやって?」


 「はい、ゼミクが考えていた地上からの分水は、ガーデニュー様が調査した通りで、不可能でした。だから、私が、地下から分水します」


 「おおおおお・・。出来るのか?」


 「可能でしょう。それに、この地下分水は、将来、ヴィッセルス国に役立つと占いで出ています」


 「うん、そうか・・良かった。コーヒーの方はどうだ?」


 「はい、今後のファラブ領の領主は未定で、あの地は、将来は、ゼミクライブ国王のお子様が治めるようで、我が国とのコーヒーの貿易は、ゼミクライブ国王とマギガル侯爵が行う事となりました」


 「うん、モモガロンもどうやらそのコーヒーと言う飲み物が好きなようだ」



 「しかし、現在は、体に良くないと思われて、口にしていません」


 「・・・最大の問題がそこだ・・・。どうするか?」


 「はい、今回のご懐妊は、スワルトイ公爵は、大変、怒っています。まだ、結婚もしていないのに、二人目が出来たとなると、国民にどう説明したらよいか、迷われている様です」


 「マギガル侯爵は、何か名案はないか?」


 「陛下とモモガロン様の世紀の結婚式は、お子様が生まれてからとなりますか?」


 「ーーー未定だ。元の予定は、モモガロンの貴族学校の卒業式が終わってから、スワルトイ公爵の元に、正式な使者を送り、贈り物と共に、許可を頂く予定だった」


 「では、スワルトイ公爵にとって、一番の贈り物は、何でしょう?」


 「スワルトイ領の、次の後継者ではないでしょうか?モモガロン様は、本当なら、結婚せずに、領主になる予定でした。その次の後継者は、ヒロイ様と誰もが思っていたに違いない」


 「だから、モモガロン様か、ヒロイ様のご子孫を、必ずスワルトイ領の領主とすると、文章で残し、重鎮たちの証明もつけて、お持ちすることが、よろしいのではないでしょうか?」


 シャドウ宰相が、


 「結婚式は、急いで挙げたほうがよろしいかとも思われます。その後、お子様が生まれたら、歓喜に沸いて、小さい事は、国民は気にしません。うやむやにしましょう!」


 「・・・・・・」



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