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晩さん会へのご招待

第4章

 クラス内は一気に静かになった。


 「君はどうしたいの?このクラスの中で起こった事を、逐一、スワルトイ公爵に報告したいの?」


 「あなたはどうしたいのですか?一方的にご自分の要求を承諾させたいだけですか?」


 「私たちが通っている学校は貴族学校で、これから先もこの身分制度は続くでしょう。それはこれから先も、わたくし達は、どこかで繋がっていると言っても過言ではありません」


 「それとも、わたくし達と本当に身分が違うとお思いですか?身分の低いわたくし達に、クラスの皆さんは席を譲って欲しいですか?」


 「ーーーーーー」 


 カイレキは黙ったまま何も言わずに立ち去った。


 モモガロンは、そのまま自分の席に座り、その後、4人も追随して席についた。


 学生寮に戻ってから、今回の事を話し合った。


 「推測ですが、公爵様は、お嬢様が貴族学校にご留学するにあたり、貴族学校の制度を少し変えられたのでしょう」


 「私もそう思います。従者の廃止はきっとお爺様の提案でしょう。そして、お爺様の提案は、あの学校では全て通ったと思われます」


 「そして、それを通したのは・・・、シャドウ宰相かしら?」


 「それほど、お爺様のお力は絶大なものなの?」


 「貴族学校の中の規則を変える事など、スワルトイ様には容易いことです。お嬢様の為なら、きっと法律も変えるでしょう」


 「でも、彼らは伯爵の子供たち・・・このままで終わるとはおもえません」

 「はい、それは私も考えました」


 「彼らも分別を持って接してくださるといいのですが・・・、私に何がしたら、きっと、ご自分が困ることになるのに・・・」


 「今日の事は、お爺様には内緒にして下さい。このような事を耳にしたら、きっと、何か仕返しをするでしょうから、お願いね」

 ーーーお嬢様、それでよろしいのですか?」


 「勿論よ、身分を偽る事が、私がこの貴族学校に来た目的ですから、誰の目にもわたくしは田舎男爵の娘だと、印象つける為に、今日の出来事は素晴らしい! 感謝しかありません」


 「ーーーーーー」


 それから数ヶ月が経ったが、王都門はいまだに通る事はできない。


 あの騒動の後、周りの生徒たちは、確かに私たち5人を見下しているが、後ろ盾のスワルトイ公爵を気にしてか、教室では誰も話しかけて来なくなった。


 このような様子は、モモガロンにとって嬉しい事でもある。


 昼食の時には、学生室に戻ればのびのびと息もできた。


 「もうすぐ、学期末のテストですね。私達全員でいい成績を残して、お爺様を喜ばせてあげましょうね。ーーー、大丈夫よね、マルサナ?コベルの補習はうけているのでしょう?」


 「お嬢様、学期末にはどうして体力テストや武道のテストはないのでしょうか・・・」


 テストの結果が貼り出され、なんとか5人とも100番以内には入ることができた。


 当然のことながら、コベルは首位で、モモガロンも10番以内には名前があった。


 「マルサナ、よく頑張りました。偉いです。この調子で3年で貴族学校を卒業しましょう」


 「大丈夫ですよ。99番でも100番以内が目標でしたから、残りの二人も上出来です」


 「寮に帰ってからは、情報収集のまとめ、領土、スワルトイ邸との連絡、炊事等、諸々な事をしながらの勉強は大変でしょうが、これからもよろしくお願いします」


 「はい、お嬢様! 」


 5人は学生室での昼食を終えて、クラスに戻る途中の広場で、清々しい風貌のカイレキに呼び止められた。


 「モモガロン、ちょっといいかな?」


 (お嬢様を呼び捨てにするなんて!! 吊るし上げて、串刺しにしてやりたい!! )


 「カイレキ様、どのようなご用でしょうか?」


 「君たちは知らないと思うが、高等部に入学して最初のテストが終わると、王宮に呼ばれ、国王の晩さん会に呼ばれる。そして、そこで初めて陛下に謁見することができる。君たちはいつも5人だ。だから、僕がモモガロンをエスコートしたいと思って声をかけた」


 「・・・それは、必要な学校行事ですか?オリエンテーションでは、説明はありませんでしたが?正式な通達があるのでしょうか?」


 「ーーー慣例と言った方が正しい」


 「その慣例は断る事はできますか?」


 「・・・その日、学年トップのコベルは陛下から贈り物を受け取る。これは名誉な事で、スワルトイ領の出身者はお亡くなりになったガーデニュー様以来だ。・・・、その後は、誰も入学していないので仕方がないが、この晩さん会を欠席することは、陛下に対しても、大変な非礼に値する」


 「モモガロン! 僕は、この晩さん会は、君たちが、人生で一度っきりの晩さん会になると思う。そこで、はっきりと、貴族社会のステータスを見た方がいい。男爵令嬢と伯爵令嬢の差を、どんなに賢くてもこの世界では、身分が大切だ」


 「貴族社会において、学年1位なんて、何の役にも立たない。精霊のご加護を受けていれば話は別だが、まさか、君たちには精霊はいないだろう?」



 モモガロン達は、カイレキの言動に戸惑って言葉が見つからない。仕方がないので、話題を少し変える事にした。


 「この学校では、精霊が見える方はいらしゃらないのですか?」


 「当たり前だ! 精霊は高貴なお方だけしか見えない、この国では、国王陛下お一人だけだ」


 「・・・・・・」


 「そうですよね。わたくしも精霊って、本当は存在しないのかと、思っていました」


 「当日は、僕が君たちの学生寮に迎えに行こう。車はこちらで用意しようか?」


 「いいえ、スワルトイ様は、お車を、わたくし達に数台ご用意して下さいましたので、当日、彼らと一緒に王宮に参ります。そこで、お会いしましょう」


 「衣装など、困ったことがあったら、我がクロエッス家を、頼ってくれても構わない。失礼するよ」


 「お嬢様、呆気に取られて、何も言えないとはこのような事ですね」


 「ええ、どうやら、彼は伯爵家の嫡男らしく、ご親切にわたくし達に、貴族社会のステータスを教えて下さるらしいわね」


 「ええ、でも、本当はスワルトイ様を恐れて、仕返しは出来ないが、この前の話は終わっていないと、伝えたいのでしょう」


 「どうしましょう?体調不良でいいかしら?」


 「お嬢様・・・・」



 屋敷に戻って、サポールトはその日についての報告を行う。

 「お嬢様、調べて参りました。カイレキ様のおしゃっていた事は、事実でした。高等部に入り、多くの貴族のご子息、ご令嬢は、初めて国王陛下に謁見できます。そして、末端の貴族は、人生でこれが最初で最後の謁見になる事が多いのも事実です」


 「欠席することは出来そうですか?」


 「その日はスワルトイ様もコベルの為にご出席されるようですが、いかがなさいますか?」


 「お爺様もご出席なさるの?」


 モモガロンは、顔がぱっと明るくなって、


 「それでは、遠くからでもお顔が見えるかも知れないので出席いたしましょう」


 「はい、」


 「お嬢様、ドレスはいかがなさいますか?靴や、宝石類もドレスに合わせてお出しします」


 「ドレスは地味で安いドレスがいいかしら?」


 「お嬢様のドレスは、すべて超一流のものばかりです」


 「そうなると・・・ビンテージにしましょうか?大叔母様のドレスはある?大叔母様のドレスは本当に素敵なものが多く残っていて、少し直してみましょうか?この学生寮にも持ち込んでいるはずです。その中から選びましょう」


 「あなた達も着たいドレスがあれば、言ってください」


 「私たちはスワルトイ様からご用意頂いているドレスがあります。ありがとうございます」


 その後は、ドレス選びに花が咲き、久しぶりに楽しい夜を過ごしたモモガロンだった。



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