国王陛下とモモガロン
第37章
ヒロイはそのまま国王陛下の膝の上で、疲れて眠り、国王陛下も、いつの間にかそのまま眠った。
そして、ここは、水の中に変貌していた。
「やはり、シャドウ宰相の仕組んだ事ですね」
「モモガロン嬢には、本当にすまないと思っている。しかし、私はこの国を消滅させたくなかった」
「シャドウ宰相、あなたが私にしたことは、レイプと同じです。許される事ではありません」
「うん、それも承知だ。しかし、国王陛下と結ばれるのは、あの時の戦いの後には、すでに、決まっていて、私の占いに出ていた」
「それは、あなたが一人で知っている事で、あの頃、私たちは、まだ出会ってもいません」
「しかし、国王陛下は、すでに君を好きになっている」
「・・・・・・」
「モモガロン、私が、この世界に来たのは、丁度、国王陛下がお生まれになった時だ。その時は、すでに、この国が消滅することが決まっていた。私は5歳で、前宰相の息子として転生された。その頃、前国王のエナジーも減り、どうにか悪の精霊たちと戦っている状況だった」
「この前も話したが、私はこの国が消滅することを、惜しいと考えている。この国の素晴らしい所は、軍隊を持たぬことだ。国防に税金を使っていない。それは、国王陛下の大きな負担があるが、陛下は、その為に絶対的な存在で、唯一無二、誰も、陛下の代わりにはなれない」
「だから、内戦は殆ど起きないと思っていい。たまに、バルガガやクロエッスの様な人間も現れるが、一撃、陛下の敵ではない」
「しかし、あの時のキリンは、途轍もなく強かった。そして、あの時の陛下の消耗は酷く早かったのだ。その為、私は、にゃあ様に、何か異変が起きたのではないかと考えた」
◇◇◇◇◇◇
当時、スワルトイ邸、スワルトイ公爵、60歳の誕生パーティー。
国王陛下極秘滞在
王都の王宮に次ぐ、豪華なスワルトイ公爵邸での祭典で、多くの貴族たちは、公爵邸に1週間程前から、滞在して、思う存分、スワルトイ領を楽しみ、はしゃいでいた。
本来なら、国王陛下も貴族たちの前に姿を現して、祝辞を述べるべきだったが、陛下の意向で、極秘訪問となった。
「国王陛下、本当に、このままお帰りになるのですか?」
「ああ、それがいいだろう。私が訪ねて、悪の精霊たちを呼び寄せる事になっては、スワルトイ公爵の為にならない、お祝いの品も届けて、面会も済ませた。それで充分だろう・・・」
「陛下は、公爵お二人には、とても思いやりを持って接しています。なぜですか?」
「父上がおっしゃっていた、彼らは心より信じられるお二人で、大切にした方が、僕の為だと、その意味は、まだ、分からないが、私にとっても、あのお二人は、身内のように思える」
その頃、シャドウ宰相は、タツトヨリイ公爵が、陛下の為に、密かにエナジーを送っているとは思ってもいなかった。
当時、スワルトイ公爵とタツトヨリイ公爵は、不仲でもなく、親しい関係でもなかった。
タツトヨリイ公爵は、領土を持っているが、人任せで、王都を、・・いや、陛下の側を離れる事は、なかった。
極秘案件の為に、今回の電撃訪問の事は、知らせていなかった。
二人は、スワルトイ公爵邸の素晴らしい灯りを後にして、王都に向かう途中で、その精霊は現れた。
「国王、こ、これは・・・厳しい戦いになります」
「ああ、わかった」薄っすら笑いながら答えた陛下に不安を覚えた。
「国王~~~」
シャドウ宰相は、キリンと言ったが、伝説の中の麒麟で、架空の生き物。最初は、大丈夫だろうと、高をくくっていたが、徐々に陛下は劣勢になって行った。
最後は、シャドウ宰相の白龍も参戦しての戦いになり、どうにか、その麒麟を倒すことができた。
どうにか、麒麟を倒し、倒れている陛下を見つけ、白龍の中に取り込んだ時に、自分の白龍が、陛下に残った力を送っているのがわかった。
しかし、それだけでは、陛下を助ける事が出来ず、シャドウ宰相は、他の精霊持ちを探す事にした。
「どんな精霊でもいい、陛下を助けてくれ・・・」
そう思いながら、傷を負った国王陛下を白龍と共に、湖の中に引き込み、冷静になったシャドウ宰相は、占いに頼るしかかなった。
「・・この占いで、駄目なら・・、きっと、今日で、すべてが終わる。こんなに、上手くいっている国を、私は、助ける事が出来ないのか・・・、情けない・・主どうか助けて下さい」
最後の占いの結果は、シャドウ宰相が、思っている物とは、まったく違う答えだった。
「これは・・・、どういう事か?国の運命を占っているのに、国王陛下の伴侶が見える・・・彼女は・・・・、一体、誰だ!」
シャドウ宰相は、湖の中に、空間を作り、白龍と共に、湖の近くに建てられているモモガロンの洋館に向かい、湖上のモモガロンを連れ去り、国王陛下と同じベットに寝かせ、それから、力尽きて、自分も、意識を失ってしまった。
次の日の朝、二人は、裸で抱き合い眠っていたが、国王陛下が、どうにか回復していたので、モモガロンを元の家に戻し、陛下を連れて、急いで、王都に戻って行った。
その道中、シャドウ宰相は、
「あの麒麟も架空の物であるはずだ。しかし、今回の陛下の弱体化は、いつもある物がない為だと、思われる。・・それはナンダ?」
その後、元気になられて国王陛下と、二人で話したが、陛下にはその時も記憶はなく、シャドウ宰相にも、あの湖畔の洋館の少女の正体は、不明にされていた。
その後の占いで、この国の将来の行方は、不明と出た為、あの戦いは、聖地とエナジーの存在を教える為に、必要な戦いだったと、シャドウ宰相は、最近になって納得していた。
「・・・しかし、未来の王妃が平民で、貴族、国民は、歓迎してくれるのだろうかと、心配したが、とにかく、国王陛下は、彼女と結ばれる運命をお持ちで、一安心だ」
それから、1年以上たったある日、スワルトイ公爵から、内密に、孫娘の事を聞かされた時に、一番、驚いたのは、シャドウ宰相で、普段、動揺を見せない彼を見て、陛下でさえ、
「シャドウ、どうした?そのように驚いて・・?占いが外れたのか?」と聞いたくらいだった。
「いいえ、外れて、当たりました。どのようにしたらいいのか・・、考えている所です」
「しかし、陛下、スワルトイ公爵には、彼女は、宝物でしょう。例え、身分を隠しての入学でも、周りの貴族たちに、嫌な思いをさせる事はできません」
「ああ、貴族学校は、特に新参者を嫌い、地方出身者の身分の低い貴族を嫌う、彼らの特権階級は、この国では、役だっているのだろうか?」
「勿論です。一般の良識ある国民は、だらけた貴族たちを目にして、ああは、ならないように、しっかり働こうと、心に留めるのですから、最悪のいい見本です。それに、あまりにひどい貴族は、陛下より、爵位が剥奪され、罪を犯した貴族は、厳しい土地へと、送られます。そういえは、北の荒れた領地は、また、領主が変わったようですね」
「やはり、あそこは極寒の荒地で、ローテーションが、早いな、命を落とす貴族たちが多すぎる。私は、あの地でも、立派に領土を治め、王都に戻って来る貴族を待っているが・・・、また、当分、そのような人間は出て来ないみたいだ」
「はい、今は、空席ですが、私の占いでは、1年後には、埋まりそうです」
「ああ、そうか・・・、またか・・、残念だ」
「それより、スワルトイ公爵の孫娘は、本当に、精霊持ちなのか?会う事はできるか?」
「・・・彼女は、スワルトイ公爵の選んだトップレベルの護衛が付いています。単独では、国王陛下でも、厳しいでしょう。ーーーしかし、私が、必ず、陛下と彼女を会わせます。お任せ下さい」




