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さっさとスワルトイ領に戻る。

第33章

 「・・・だから、あなたは、シュネールを信じて見たのですね?」


 「はい、私の中にも存在している精霊を、彼も持っています。同じーーー転生人と、考えましたが、彼を私の側に置いておくことは、お互いに、危険を伴い、出て行ってもらうしか方法がありませんでした」


 「ええ、私でも、そうしたと思います」



 国王陛下は、王宮に戻る車内で、シャドウ宰相に聞く。

 「彼女、自分の身分を名乗る時に、涙を流していたな・・・」


 「彼女は、この世界では、僕の次に王位を継承できる人、10年以上前に、物心がつくなり、身分を隠し、誰の前にも出ていない。・・・こんな事は、あってはならない、辛過ぎる」


 「ーーー彼女に聞いてみないとわかりませんが、彼女にとって、貴族の優雅な生活は、魅力がなかったのかも知れません。私でも、彼らといる事の意義を見出せない時があります。しかし、この国には、彼らが必要で、おかしなもので、彼らによって、どうにか国全体が、上手く回っています。貧しい人々もいますが、それでも、路頭に迷う子供を見た事など、一度もありません。それは、助け合う国民性もありますが、無能な貴族を支える有能な人材が、この国には、沢山いるおかげです。反面教師だと思えばそれも納得できる事実です」


 「優秀な人材は、煩わしい社交をしなくていいのです。自分の進める改革案に、彼らの印を押してもらい、自分たちの領土を豊かにする為に、経済を動かし、一生懸命に働いています。そして、何か大きな問題が起こり、失敗すると、先頭に立つ貴族たちに責任を取って貰えばいいのです。実に、上手くいっています」


 「しかし、彼女は、身分を隠した有能な貴族です。領土を愛し、領民を愛する。スワルトイの血が流れています。他の貴族たちとは、やはり少し違うのではないでしょうか?」


 「どんな風に?」


 「ご自分の身分は、公表しなくても生きて行ける人で、だから、陛下と同じで、真の精霊持ちだったのでしょう」


 「それは、凄いことだ」


 「はい、ただ、彼女の心の中は、誰にもわかりません。今回、私も、彼女の涙には、驚きました」



 午後、時間の許す限り、モモガロンとマギガル伯爵は、話し合い、二人で教育出版を進めていくことに合意した、同時に、レインは、田舎の療養施設で、病気を治すことも話し合った。


 レインに操られた女の子は、母親が迎えに来たが、父親が貴族学校に来るまでは、帰宅を許されないと、国王陛下が、命令をくだした。その後、国王陛下より、父親が、乱れた生活を続けるのであれば、爵位の没収となると、通達された。


 騒ぎは、収まり、モモガロンは、スワルトイ邸に帰って、公爵の帰りを待った。


 スワルトイ公爵が、ドアを開け、いつもの様に笑顔でモモガロンを見て話す。

 「何を緊張している。座りなさい」


 「はい、お爺様」


 「国王陛下とシャドウ宰相から、今日の事は聞いた。それで、モモガロン、これからはどうしたい?」


 「はい、やはり、この王都では、わたくしが、どんなに静かな暮らしを望んでも、暮らすことは出来ないと、悟りました。わたくしの身分の為、没落貴族を増やすことは、望みません」


 「ああ、今日、王宮の定例会議でも議題にのぼった。モモガロン嬢は、どちらの家の人間かと・・。それで、私も、自分の可愛い孫だと、はっきりと伝えた。4人は、それぞれ男爵、子爵の出身だから、そのまま貴族学校に通う事はできる」


 「モモガロン・・・、お前はどうする?貴族学校に残るか?」


 「はい、お爺様、可能でしたら、ヒロイとスワルトイ領に、戻りたいと考えています」


 「モモガロン、国王陛下のお言葉だ。君は自由だと、申された。好きにしなさい」


 「ありがとうございます。王都での仕事は、スワルトイ領でも引き続き行います。お爺様も、夏休みまで、お元気でお過ごしください」


 「モモガロン、夏休みまで、後2週間だぞ。本当に、もう貴族学校には通わないのか?」


 「はい、ヒロイと一緒に、スワルトイ領の別宅に帰ります。あちらの屋敷も、私が帰ったら大騒ぎになるでしょう。お爺様が、お帰りになるまでに、少し沈静化を図り、スワルトイ領で、お爺様のお帰りをお待ちしております」


 最後の言葉を発したモモガロンは、涙声になって、スワルトイ公爵と離れる事を惜しんだ。


 スワルトイ公爵は、モモガロンを抱きしめ、涙声で話す。


 「モモガロン、すまなかった。何年も日陰に置いていた私を許して欲しい。ただ、ただ、お前を失う事ができなかった。年寄りのエゴだ。すまない・・・・」


 「お爺様・・、わたくしは、本当に辛くありませんでした。国王陛下の前で涙が出たのは、私にもわかりません。しかし、今までの生活で、不幸だと思った事もありませんし、何の不満もありませんでした。この王都での貴族学校に通う事が、一番の試練だったかも知れません。しかし、王都で出会えた人々を思うと、ブラスの面が多いと思います。本当にいい経験でした」


 「しかし、これから先、私があの学校に通う事で、学校内は多くの事が変わるでしょう。それも、見てみたいですが、卒業まで何も起こらないとは、思えません。・・わたくしには、ヒロイがいます。危険を犯したくないのです」


 「お爺様が、私を失いたくない気持ちと同じで、私も、ヒロイを守っていきたいです」


 「ああ、モモガロンがその様に言うと思っていた。ーーヒロイを立派な大人にすることが、これからの二人の仕事だな」


 「はい、お爺様、たくさんの愛をありがとうございます。モモガロン・スワルトイは、これからは、公人となり、領民、お爺様、ヒロイの為に精進していきます」


 二人は、その夜、多くの事を話し合い、モモガロンは、国王陛下、シャドウ宰相、マギガル伯爵、シュネール、トワくんたちに手紙を書き、モモガロン達は、早朝に王都を発った。


 しかし、マルサナだけは、トワくんの為に、貴族学校に残しての旅たちとなった。


 「お嬢様・・、マルサナ、本気で泣いていましたよ」


 「シルガー、トワくんの為もあるけど、情報は多いほどいいの。本当は、サポールトに残って欲しかったのだけど、マルサナの方がが、トワくんとは気が合いそうで・・・、それに、彼女には、試練も必要です。貴族学校を卒業できないと、スワルトイ領には、帰れないのですから・・」


 コベルが、

 「あの二人は、それくらいしないと、勉強しません。来年も、貴族学校に通うか?お嬢様の元で暮らすか、考えるには、丁度いい時間があります」


 「でも、トワ様は、何年でも、あのまま学校生活を続けるのでは?」


 「シルガー、それを言ってはいけません。それでは、マルサナも戻れないのですよ」


 「ハハハハ・・・」

 「ハハハハ!! 」 


みんなが笑うと、膝の上に乗っているヒロイも笑う。


 「ヒロイ、ごめんね。折角、お友だちが出来たのに、お引っ越しです。王都の屋敷の保育所は、そのまま運営されて、王都のお爺様の屋敷で、また、会って遊んでね」


 「お嬢様、スワルトイ領のお屋敷にもどってから、また、保育所をお作りになるのですか?」


 「はい、そのつもりです。わたくしの息子とは、まだ流石に公表できません。後継者二人が、同時に姿を、現したらそれこを収拾がつかなくなります」


 「その為に、彼女たち3人にも、一緒に戻ってもらいます」


 「はい、本当に先輩方は、素晴らしい教育者です」


 「ええ、彼女たちの精神が、基本となり、素晴らしい人材の源となることが望ましいですね」


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