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そろそろ動き出します。

第28章

 あれから、数日が過ぎ、国王陛下は、毎日、にゃあ様を洗い、トワが受け取り、幸せな時間を過ごした。国王陛下が、スワルトイ領に1週間滞在しても、悪の精霊持ちの襲撃はなかった。


 「スワルトイ公爵、世話になった。ここでの滞在が、これからの第一歩になる」


 「次に領土でも、どうかご無事で過ごされる事をお祈りいたします」


 「ああ、私もそう願っている。モモガロンもありがとう」


 モモガロンは、笑顔で国王陛下を見送った。国王陛下は、日中はモモガロンの別宅で、にゃあ様の入浴をして、午後からは、スワルトイ領を周り、夜には、スワルトイ領の貴族たちと交流を持った。


 モモガロンは、国王陛下が、慎重に宝物を洗うように、にゃあ様に接している姿が、目に焼き付いて忘れられないでいた。


 「イケない、イケない、私にはヒロイがいるのだから・・、陛下はどこかの令嬢とご結婚なさるでしょう」


 そして、自分の心の中に、まだ、こんな感情が残っている事に少しだけビックリもしていた。


 「わたし・・、本当に17歳の女の子だ。会うたびに、国王陛下が素敵に見える。おかしい・・」

 

 陛下は、この夏、長い間、各地を回った。特にお忍びではなく、大々的に、視察を遂行した。


 その後、モモガロンは、待望のヒロイとの夏休みを満喫し、その傍らで、認定商会で、販売する物を何にするかを職人たちとも話し合った。


 「それでは、王都に戻ってから、その端っこのお店を見て、内装を完成させて、それから、製品作りに入ります。製品は、スワルトイ領で、雇用を産む製品を考えています。しかし、子供車と天幕だけは、生産を始める様に、スワルトイ領の人たちに行って下さい。直ぐに必要になります」


 職人たちは、モモガロンが次期領主だとは、知らないが、このスワルトイ領を大切に思っている事は、わかったいる。


 「さぁ、明日からは王都です。今日が最後の夜、思いっきり食べて下さい」


 その夜は、大勢の使用人、職人をモモガロンの別邸に招き、ガーデンパティーを開いた。


 今までは、誰にも見つからないように、生きて来たモモガロンだったが、大叔母様の事件の真相も解明でき、国王陛下も視察に出かけられるようになった。そして、今は、遠い親戚の身分が自分にはある。少しだけ、たった一晩だけ、羽目を外して、大勢の前に出でいる。


 沢山の料理が並べられた、スワルトイ領の別宅の料理は好評だった。思いっきり現代風にして、楽しんだ。


 使用人の子供たちも招待して、ヒロイも小さな子供たちを見て、言葉を発し、笑い、楽しんでいた。

 「お嬢様、ヒロイ様は、本当に楽しんでいますね」


 「小さい子供には、お友達が必要ね。王都でも、使用人たちの子供を集めて、遊ばせた方がいいわね」


 「それは名案ですね。使用人たちも喜びます」


 次の日、後ろ髪を引かれながら、モモガロン達は、王都に出発して行った。


 翌週からは、貴族学校が始まる。その前に、メリー、ソニア、シルクと話し合い、王都のスワルトイ邸内に保育園を設立することを伝えた。


 「園長は、メリーのお願いしようと思います。1日のスケジュールは、私が大まかに決めておきました。後は、その保育園に子供を預けてくれるかですが、お爺様にもご相談して、ボルト家令から発表してもらいます」


 「ヒロイの為でもありますが、安全・安心がモットーです。預ける人数によって、ナニーを増やして行きたいと思います。よろしいでしょうか?」


 「はい、ヒロイ様にとっても、屋敷の人間にとってもいい制度だと思います」


 「ありがとう。出来たら、その中から、ヒロイと生涯を共にしてくれる人材が見つかると、いいわね」


 「ええ、公爵とボルト家令のようにですね」


 「小さい時からの信頼関係って、大切だから・・」


 「はい、精一杯、務めさせて頂きます」


 「ごめんなさいね。お母様がいらしたら、ご相談も出来たのですが、あなた方3人には負担が増えますね」


 「モモガロン様、わたくし達もヒロイ様の為になる事は、なんでもします、安心してください」


 「ありがとう」


 3人は、ヒロイの本当の母親のようにヒロイの事を考えていた。



 貴族学校が始まる前に、モモガロンは、王都の認定商会のお店で、悪の精霊持ちの人たちと会った。


 総勢、26人の大人数だったが、何とかお店に入って、会合を持つことが出来た。


 「初めまして、モモガロンです。この度、トワ様より、編集長の大役を頂きました。よろしくお願いします。兼ねてより、連絡したいた履歴書を、提出して頂き、話し合って、役割分担を始めます」


 「現在、発行中の2巻がもうすぐ発売になり、その動向を見極めてから、他の物も発行するかを考えていきます。そして、同時に、グッズ作りが始まります」


 「グッツですか?」


 「そうです。幸い、この度、このお店を国王陛下より、頂きました。ここで、販売したいと思います。内装は、2巻が発売され、グッツを制作するかを決めてから手掛けます」


 「モモガロン様は、すでに、2巻をご覧になったのですか?」


 「はい、見ました」


 「どうでしたか?」


 「良かったと思います。トワくんだけだったら、面白みに欠けていたかも知れませんが、本当に良かったです」


 「このチームは26人です。しかし、漫画が、存在していない世界で、一つの作品を仕上げて、グッツ販売までたどり着くには、長い道のりです。あなた方がこの国で、好きな事をして、真面目に、生きて行きたいのであれば、わたくしは協力いたします」


 一瞬、静まり返った店内は、嗚咽や拍手で溢れた。そして、モモガロンは、シルガーとマルサナは、全員に、おにぎりとスープを配り、それから、26人は、また泣いた。



 お店は、半分は、子供用の車を販売して、国王推薦の天幕も置くことにした。職人たちには、店内の内装を依頼した。天幕は大きいので、見本の天幕の下に、グッズコーナーを作る予定だと説明をした。店の後ろには、在庫を収納できるスペースがそんなに無いので、天幕の在庫は、壁に飾る方法にして、グッツを置く商品棚は、段差のあるディスプレイ台を作ってもらう事にした。


 「お嬢様、その台はこの辺に置くのですか?」


 「お店は、今は、とても広く感じるでしょうけど、数センチのロスも出したくありません。今日、正確に測量して、図面に落として決まます。一応、イメージ画を描いてきました」



 モモガロンは、大きな紙を、職人たちに見せる。


 バサーと広げられたそのパースは、柔らかいタッチで、色も塗られていて、一気に全員の頭に

イメージ出来た。


 4人も、覗き込み、

 「すごい・・・、今いる店が、こうなるのか?」


 暫くは、言葉を無くし、全員で見入っていた。


 「お嬢様・・、扉の幅は、この絵ですと、倍になっていますが・・・」


 「はい、今は、季節がいいので、全開にしたいと思います。雨対策として、ドアの上に、天幕をつけます。閉店してからは、泥棒が入らないように、頑丈な扉を両サイドから中央に合わせます。鍵は、少し工夫する予定です。ドアを引くと言う行為はありません」


 「グッツ売り場は、移動できる天幕の下だけです。それも、一方通行になっていて、最後、扉の近くで、会計を行い、そのままお帰りになってもらう方式です。もう半分の扉は、子供車と天幕の購入者になります」


 「そちらの商品は、すべて、壁にかけます。安全の為に決して、足元には起きません。会計のカウンターは、常設します。こちらのスペースは、余裕を持たせていきたいと考えています。今後、商品も増やす予定ですのでが、貴族相手には必ず優雅なあそびの場所が必要になります。」


 「そのグッツと言う物は、いつ、搬入されるのですか?」


 「はい、2巻が発売される前日です。すでに、生産に入っていますが、数はそんなに無いと思います。彼らが、どの位、頑張れるかにかかっています」


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