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にゃあ様入浴

第27章

 モモガロンは憤慨しながら、寝室で眠り、ヒロイと会えない寂しさから、涙が出た。

 「折角、ヒロイの為に、こんなに頑張ったのに・・・」


 当然のように、次の日には、国王陛下はモモガロンの別宅を訪ねた。


 スワルトイ領のスワルトイ家の凄い所は、敷地内に、沢山の邸宅を持っている事だ。


 それは、代々、王室と関係が近い事もある。だから、今回、国王陛下が、滞在している別邸は、大勢の使用人たちも収容できる。砕いて言うのであれば、国王陛下がのびのび避暑を楽しむ事が出来る場所と言っていいだろう。


 「お嬢様、おはようございます。お食事のご用意が出来ています」


 「おはよう。随分と早いけど、何かあった?」


 「はい、国王陛下が、8時にこちらに向かいます。その前に、警備の人間が安全を確認したいと、申しましたので、早めにご準備お願いします」


 「ーーーーーー」


 「仮病は?」


 「駄目です。バレます」


 モモガロンは、ため息をつき、支度をして、国王陛下の到着を別宅の入り口でお待ちした。


 陛下は、お爺様と上機嫌で、現われモモガロンに手を振る。


 「国王陛下、お待ちしていました。どうぞこちらへ」

 「うん」


 先ずは、お爺様とご一緒に別邸の施設を案内した。


 「随分と、オープンな屋敷だ。外にいるのと変わらないナ?女性は普通日差しを嫌がるものだろう?」


 「はい、一般の女性は日焼けを気にかけますが、私はそうでもありません。太陽は好きです。それに・・サルポート、お願い・・」


 サルポートが、ハンドルをクルクル回すと、天幕が窓の外を覆い、日陰が出来る。


 「天幕は、芝生の上にも設置できるようにしてあります。簡易的なパーゴラです」


 「あの小さな水の箱は何だ?」


 「はい、あちらは、涼を求めて作りました。あの水の上を風が通り過ぎますと、涼しいです」


 「ああ、色々なアイデアが詰まっている。素晴らしいよ」


 「お褒めにあずかり、光栄でございます」


 「では、あの天幕の下で、冷たいレモンティーでも頂くか・・・・」


 「はい、ご案内申し上げます」


 今日の国王陛下は、天然なのか?図々しいのか、わからないとモモガロンは、思っていた。


 シャドウ宰相が、

 「国王陛下が、お出かけになって、このようにごゆっくりなさるのは、人生初です。今までは、お友達の家にもお出かけになさった事がありません」と、モモガロンに囁く。


 「確かにそうだろう・・・、今回、人生で、初めての夏休みなら、それは、浮かれる」


 ヒロイが、少し大きくなったら、このプールで遊ばせるつもりで、作った15mプールの横で、トワも含め、5人で腰を下ろす。


 プールを誤魔化す為に、考えた口実は、本当に天然のクーラーのように涼しくて、風が気持ちよく、お茶もいい味で、のんびり出来ている。


 「モモガロン、この天幕は、大きな窓は備え付けで、後は、芝生の上や、ベランダでも建てる様にしたのか?」とスワルトイ公爵が訪ねる。


 「はい、お爺様、こちらは組み立て式になります。今回、沢山注文して作らせましたので、お爺様の邸宅にもお分けすることが出来ます」


 「ああ、好きな場所に、日陰が出来て、いい物だ」


 「ありがとうございます」


 「今回、国王陛下は、モモガロンに認定商会を与える為に、わざわざお出で下さった。非常に名誉な事だ。わかるかい?」


 「はい、お爺様、国王陛下には、大変、感謝しています」


 「所で、その認定商会の事を、話し合いたい。モモガロンは何か認定商会で売りたい物はあるか?例えば、この天幕は、製品化してもいいと思うが、どうだろう?しかし、大抵の貴族たちは、よその国の珍しいお菓子や小物などを、出店しているが・・・」


 「はい、まだ昨日、お話を頂いたので、スワルトイ領の職人たちとも話し合い、考えたいと思います。王都では、国営の土地に商会のお店を出せると、伺いましたが、その場所を訪ねて、雰囲気が損なわない商品の開発に力を入れたいと思います」


 「ーーーモモガロン、今回は、異例中の異例で、トワが悪の精霊持ち達を、まとめてくれて、僕の肩の荷が少し軽くなって、このままいい方向に進めばいいと思い。上層部をどうにか丸め込み、この場所に来ている」


 「??????」


 シャドウ宰相が説明に入る。

 「だから・・・、場所は、あの認定商店街の一番端で、人通りは、極端に少ない・・・。しかし、広い場所だ」


 「だから、天幕も売れると言う事ですか?」


 「そうだ」


 モモガロンは少し考えて、

 「何を売っても大丈夫なのでしょうか?」


 「そういう事だ」


 「ありがとうございます。それなら、その方が助かります。・・・編集長の件も快諾させて頂きます」


 モモガロンが、頭の中で色々考えているのが、周りにはわかった。その後、国王の行政の役人とスワルトイ公爵、コベルはモモガロン認定商会の契約内容をつめる為に、退席した。


 国王は、お気に入りのレモンティーを飲み、モモガロンを見て話す。

 「それから、にゃあ様のお風呂の件だが・・・・」


 「・・・本当に、この湖で試すのですか?」


 「ああ、その為に来た」


 モモガロンは、又、少し黙り、常連の三毛猫を抱き上げ、ヒロイがプールから出た後に体を洗うブースに向かった。


 そこは、お湯が出る洗面所も用意されていて、子供用の石鹸やシャンプーなどもある。


 まるで、ペットショップのシャンプー台のようだと、昨晩、モモガロン自身も思った。


 暫く、その台の上で、三毛猫と遊び、徐々に水を出し、手で水を舐めさせたりして、水に慣れさせ、背中とお腹を、簡単に優しく洗って見せた。後は、ゆっくりお湯につけて、シャンプーを落とし、タオルを用意していたトワに渡した。時間にしたら5分程度の時間で、素早く終わらせた。


 「陛下、どうでしょうか?このように1匹ずつ、洗って行くのは?この三毛猫くんは、私に慣れていて、肝も据わっています。だから、大丈夫でしたが、嫌がる猫は、今回はやめておいた方がよろしいかと、思います」


 陛下は、トワから渡されたいい匂いのする三毛猫を抱き、臭いを嗅いでいる。


 「うん、いいね。この方法で行こう。じゃあ、次は、この子はどうだろう?」

と、言ってモモガロンに、次の猫を渡した。


 (そうだ・・・シルガー、マルサナ、サルポートは、この小さな精霊が見えない。立場が弱い自分とトワで、この沢山の猫たちを1匹ずつ、シャンプーして行かなくてはならないのだ。)


 トワがモモガロンを見て、

 「手順や注意点を教えてくれれば、僕も手伝うよ。大丈夫、今日中に全部洗うことは無理だとわかってる」


 「ありがとう、いい子だった猫に、トワくんのアンモナイトをあげてくれる?ご褒美は必要だから・・」


 「わかった。そうするよ」


 モモガロンは、昨晩、にゃあ様を湖で、洗う事を考えて良く眠れなかった。


 「絶対に、折角、完成した別宅が悲惨な状態になる・・・。どうしよう~~。ヒロイの為に作ったのに・・」


 モンモンとした状態で、名案が浮かんだ。


 「そうだ。1匹ずつ洗えばいいんだ。大きなにゃあ様でなくて、小さい状態で、水に慣らして行く! 」と考えが決まり、それから、眠ったが、これは、これで大変だ。


 トワから、アンモナイトが貰えるとわかると、国王陛下の中から、次々と、にゃあ様が溢れ出して来た。そして、


 「モモガロン、僕もやってみたい」と国王陛下が言う。

 「本当ですか?」


 「当然だ。にゃあ様を洗う事は、僕の一番の望みだったんだ。しかし、小さい状態で、いいんだ。これだったら、王宮でも出来るのではないか?」


 「ええ、でも、日差しが温かくて、屋外で、もしかしたら、にゃあ様も気分がいい日かも知れません」


 「うん、わかった。今日出来ることは、今日のうちに終わらせよう」


 「はい」


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