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にゃあ様のお世話係

第11章

 今日はヒロイの誕生日パーティー開催日。


 シャドウ宰相と話してから、ヒロイの精霊の存在に疑問を持っていた。


 あの後、実は寝かしつける度に、ヒロイには、正体を明かしてくれて大丈夫だと何度も話したが、反応はなかった。


 疑惑を抱きながらも、当日はヒロイを囲み盛大な誕生会が行われた。


 スワルトイ公爵は、モモガロンの近くで、ヒロイの可愛い姿を一緒に見ている。


 「もう随分、歩くようになったもんだ」


 「はい、自分でバランスを取りながら一生懸命、歩き出しました」

 

 「子供の成長は、早い。後、数年でヒロイも学校に通うことになる。王都の学校はどうだ?なにか困ったことはないか?」


 「クラス内では、あれから揉め事はありません。しかし、お爺様、わたくしは、ヒロイを王都の貴族学校には通わせたくありません。わたくしが卒業して、領土に帰りましたら、あちらの学校に通わせたいと思っています」


 「やはり、貴族学校は苦手か?」

 「すいません、人も目が多いと感じて、息苦しいです」


 「そうか、私は、できたらヒロイには、貴族学校に幼い頃から通って欲しかったが、仕方ないな」


 「この前、新年のご挨拶で、国王陛下を訪ねた時に、王都門が開いて、悪の精霊持ちが、多く王都に流れ込むとおっしゃっていた。モモガロンも、十分、気をつけておくように」


 「はい、お爺様」


 「ーーーそれから、国王陛下に頼まれた事なのだが・・・・」


 「???何か?」


 「新入生は、この後、モモガロンの学年では、卒業試験もなく4月迄は休みになる、モモガロンは、領土に戻る予定か?」


 「わたくしは、ヒロイの近くにいます。お爺様は、領土にお帰りになりますか?」


 「本来なら、そのつもりでいたのだが、昨日、国王より、モモガロンに王宮で研究の手伝いを依頼された。すまないが、休みの期間、王宮に通ってもらえないだろうか?」


 「ーーお爺様は、国王陛下の研究内容はご存知ですか?」


 「良くは知らないが、国の為になる研究だと聞いている」


 「・・・・・・」


 「どうしても、モモガロンの力が必要らしい。国王陛下の頼みを断ることは、儂でも難しい、きっと、精霊に関係する事だろうが、4人も一緒で構わないと、おっしゃってくれたので、陛下を助けてくれ」


 「はい、わかりました。ヒロイと毎日、朝から晩まで遊ぶ予定でしたのに残念ですが、お断りできない事ですので、しっかりと努めてまいります」


 「さすが、我が孫娘だ。しっかりと頼むよ」


 スワルトイ公爵はニコニコしながら、ヒロイを見て、新しいおもちゃを渡しに向かった。



 次の日から、モモガロンは、王宮の国王陛下のもとに通う事となった。


 陛下の側近のシャドウ宰相が、直々に、モモガロンを迎えに出向き、モモガロンは、その地位を確実なモノにしたと言っていもいいだろう。


 本来であれば、スワルトイ公爵の遠縁の娘に過ぎない立場だが、シャドウ宰相が、宮殿入り口に立ち、モモガロン一行を迎えるとなると、モモガロンの重要性が周りに示された形になった。


 「シャドウ宰相、わざわざお出迎えありがとうございます」

 モモガロンたちはシャドウ宰相と一緒に王宮内部に通された。


 「ああ、王宮内部へは初めてだろう。君たちには、これから何度も通ってもらう事となる。サポールトとコベルは公爵邸では、どのようにすごしている?」


 コベルが答える。

 「はい、私たちはスワルトイ公爵邸では、スワルトイ領に関するすべてを学び、財産、土地、建物、産業、後は、財務、すべてを、今、学んでいる最中です」


 「うん、コベルは、それらすべてを把握できる自信はあるか?それとも、サポールトと共同で行う予定でいるのか?」


 「はい、私達二人は、得意分野が違いますが、共有できる部分も多く、二人で色々な事を吸収し、共有して行きたいと考えています」

 「うん、君の答えは私の聞きたかった答えだ。サルポートはどうだ」


 「はい、私もコベルと同意見です。もともと、私達の家はスワルトイ家に忠誠を誓っている家です。スワルトイ家の為に働くことが、私たち一族の喜びです」


 「うん、いい返答だ。そこで、君たちには王宮では、それぞれにインターシップに就いてもらいたい」


 「ーーしかし、お嬢様の安全が・・・」


 「王宮の警備では、不安だと言いたいのか?」

 「・・いいえ・・」


 「この件は、スワルトイ公爵にもすでに承諾を頂いてある。勿論、武道の訓練にも参加してもらい、今後の警備に役立てて欲しい」


 「王宮での学業と訓練は格別だ。きっと、将来に役立つ。頑張って欲しい」


 「女性二人にも、それぞれ目標となる上司が付く。その女官のもとで、1からの研修だ。厳しいだろうが、モモガロンが社交界にデビューした時には、必ず、役に立つ。主に恥はかかせられないと、肝に銘じて望んで欲しい」

 

 「はい、」4人は厳しい顔で、シャドウ宰相に返事をして、モモガロンと別れた。


 「モモガロン様は、こちらに、どうぞ・・」


 モモガロンが通された部屋は、国王陛下の途轍もなく広い執務室。

 「ここは・・・・」


 「国王陛下の執務室、一般の人間は僕と、スワルトイ公爵と、タツトヨリイ公爵だけが、入室を許可されている。その他の官僚たちは、手前のもう一つの執務室までしか、来ることが出来ない」


 「あの・・・国王陛下は・・・私にいやらしい事をするのでしょうか?それは・・ちょっと・・」と、真顔で、シャドウ宰相に聞いた。


 「その答えは陛下から聞くといいだろう・・・・」


 暖かい日差しが差し込む広い部屋は、天井がものすごく高く感じられ、中二階くらいの高さから、素敵なバルコニーが続き、その向こうには手入れが行き届いている素敵な庭が望めた。


 その中で少しウトウトしていると、国王陛下はやって来た。


 「モモガロン、すまない、随分と待たせたな。少し公務に手間取ってしまった」


 「お忙しいのですね。わたくしは何をお手伝いすればよろしいでしょうか?」


 「ああ、あの時のにゃあ様が、君を恋しがっているので、少し相手をして欲しい」

 

 「??????」


 「にゃあ様ですか?」

 

 「ああ、そうだ。ここで、毎日、彼らの世話をお願いしたいと思って、君を呼んだ。この部屋は、有事が無ければ、立ち入り禁止区域で、普段は、にゃあ達がのんびり暮らしている」


 「陛下の精霊たちは、普段、陛下から離れる事があるのですね。わたくしの精霊は1匹で、常にわたくしと共にいます」


 「ああ、何しろ数が多くて、溢れでるので、この場所を作った。シャドウが言うには、にゃあは、暖かい場所を好むと、言うので、冬はこちらで過ごしている」


 「それでは、夏は?」


 「夏は、北側の噴水広場の木陰に部屋を作った。その方が私も仕事がはかどる。夏は私も暑さが苦手で、少し辛いから丁度いい」


 国王陛下と話をしていると、陛下からたくさんのにゃあ様がこぼれ落ちてきた。


 「陛下、にゃあ様が・・・」


 「ああ、君が来た事が、わかったのだろう。暫く、相手をしてやってくれ、食事はシャドウに運ばせる。今日は、すまないが、これから会議が多く、この部屋に戻る事はできない。頼んだよ」


 国王陛下は上着を交換すると、また、ドアの向こうに、大急ぎで出かけて行った。


 陛下は、きっと、この部屋では、少し、気を許しているに違いない。上着を着る動作だけで、にゃあ様はこぼれ落ちる。

 (本当は、どんだけにゃあ様は、存在しているのだろうか?100匹以上は絶対に存在する。)


 モモガロンは考える。国王陛下のにゃあ様は、本物の精霊で、自分の中にいる唯一つの竜は、もしかしたら幻影なのか?


 しかし、白と黒、どこで、分かれるのだろう?

 「う〜〜〜ん、わからない・・・」


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