レモンツイスターの彼
夏はもう終わったのになぜ。これ以上伝えたいことはあるの?
いつも、彼はしげしげ眺めてた。
レモン味のシマシマにあられ糖のついたレモンツイスターを。なにがそんなに気になるんだろう…
ん!昨日は二人で眺めてた。しかし、ただ眺めて立ち去る。
そして今日もまた来た。眺めてる。あ!3人に増えた!!いや、4、5…やばい。
―この世のものじゃない―
しかも何か話してる。
夏だからか…
夏だからなのか…
今は秋です。
もうすぐ終わるのか?
そうでしょう。いつ会えるか分かりません。しかし今はこれっきりなのです。あられ糖の消化のためだけにいたのです。
あられ糖なんて、クリスマスまでとって置けば良かったじゃないか!!
いえいえ新鮮なうちがいいでしょう。
入れ替わり立ち代わりの激しいなかにぽつんと現れ、いつの間にか消えていたり。
レモンツイスター香りが良かったよね。ただのツイスターと間違われたこともあったけど。
夏の終わりを見送り消えていきます。さようなら。
意味が分からなかった。
あの黒スーツ集団のいう意味が解らなかった。
しかし良かろう。この世の者ではないのだから。
レモンの香りだけ残し彼らは消えていった。
深い意味はありません。
ただただセンチメンタルなだけです。
レモンツイスターにもあられ糖にもさほど思い入れはないのです。
ただあの香りは忘れられません。近くにいるだけでわかるのです。