表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

六話「重なる影」

この日は久しぶりに夢を見た。まだ自分が不老不死者ではなく人間としていた頃の、幸せな時間だった頃の夢を見た。それは両親と弟と手を繋ぎピクニックであろうか?母の手には籠が持たれていた。空を見上げれば雲一つない快晴だ。何か話しているが声は一切聞こえず笑顔の俺が口だけをパクパク動かしている。これは夢だと分かっていても現実だと錯覚してしまいそうなくらいとても、とても幸せそうな家族だ。その後もその家族を眺めていた。ふと上からゴォっと言う音が鳴り響き見上げてみるけどそこには黒塗りの飛行機。俺は直感的に戦闘機だと感じ立ち上がり知らせようと思うが動かない。上を見上げると黒い物体が1つ俺たちに向かって落ちてくる。家族はそれに気がつき急いで離れるがもう黒い物体と地面までの距離は近くなっている。両親は逃げるのは無理だと思ったのか近くの壁を背に俺と弟に覆い被さる。と、同時に辺り一面光に包まれた。

そこで夢から覚めた。カーテンの隙間から太陽の光が零れている。俺は布団をめくり座った状態になった。そこでふと気がついた。俺の頰に生暖かい雫が滴っている事に。それは“涙”と呼ばれるものだ。最後に流したのはいつだったか・・・。俺は涙を拭い1階へと降りる。洗面所へ行き顔を洗う。鏡には特徴的な赤茶色の髪がボサボサになっており瞳は涙を流したせいかいつもより赤が目立つ茶色だ。俺は歯磨きを済ませ学校の準備をする。教材を入れ指定された服を着る。この作業も慣れた手つきだ。着替えて通学路を歩き学校に行く。実につまらない。だが、考えながら歩くには充分だ。今朝見たあの夢・・・あれは今でも鮮明に覚えている過去そのものだった。覚えておかなきゃいけない、だがその反面あの悲劇を忘れたいとも思う。もう、失うのは懲り懲りなんだ。だから俺は人間と干渉しないようにしている。しているのだが、この高校に来て変わってしまっているのは自分でも分かっている。あんな奴ら、放っておくべきだったか?正解なんてない。あれが良かった、これが悪い。それは単なる人の価値観だけで実際は何も決まっていない。固定概念というやつだな。

通学路中にある横断歩道の信号が赤色。俺は立ち止まり思考を一度止め休憩する。頭を使うのは疲れる。

「ま、待って!」

後ろから若い大人の女性が叫び俺のすぐ横からまだ幼い、小学4・5年生の男の子が道路へ飛び出るように走っていった。視界の端に大型トラックが猛スピードで突っ込んでくる。どうやら子供に気づいていないようだ。このままいけばトラックと男の子は衝突して男の子は幸いで重傷、最悪死に至るだろう。

・・・・・俺の足は勝手に動いていた。その男の子の腕を掴み歩道の方へ軽く投げる。まだ小学生という事もあって体重は軽い。さてと、馬鹿な俺は他人の子供の代わりに車道へ飛び出し目の前には大型トラック。普通の人ならBADENDだろう。でも、俺は死なない身体だ。だが、これで不老不死者とバレるのは嫌なので軽く顔の前で腕を交差し防御の体制をとる。そこでやっと運転手は俺の存在に気づきハンドルをきる。腕に激しい痛みが走るが耐えられないほどではないが吹っ飛ばされた衝撃で空中へ浮いた後背中を地面に打ちつける。頭はなんとか打たずに済んだが・・・これは地面との摩擦により背中がヤバイだろうな。俺は少しフラつきながらも立つ。腕は折れている、肋骨も何本か逝った。が、こんな怪我は数十分もあれば問題ない。俺は素早くその場から逃げるように路地裏に入った。誰も見られぬよう・・・。大通りの方が騒がしくなる。すぐ近くから救急車や警察のサイレンが聞こえる。誰かが読んでおいたのだろう。俺の特徴は分かりやすいから覚えてしまったかもしれない。俺は自分に問う。どうしてあんな子供1人を助けたんだ、と。助けなければあの子は死んでいた。そういう理由なのかもしれない。だが、多分・・・いや、確実に弟の後姿と重なったんだ。でなきゃ助けたりなんかしない。今日は学校は休むか、服はボロボロ血も少し、じゃないかなり付いてしまったかもしれない。

俺はそのまま路地裏を通り家に帰宅。幸い通学路の半分より手前のところの信号機の場所だったのですぐに家に着いた。俺はすぐに教師に学校を休むことを伝えた。

「・・・さてと」

現在時刻は朝の8時。血濡れた服から部屋着へと着替えた。・・・休むと言ってもやる事がない。遊ぶものも無い。外に出歩くわけにもいかない。あれ?これって暇で干からびるパターンじゃ・・・ま、まぁなんとかなるだろう。俺は中古で売っていたパソコンを開く。開いたってアプリなんてものは入れていない。俺は何も無いただの機械を適当に扱う。

パソコンをやって約20分、何か面白そうなサイトを見つける。小説、かぁ。書いても悪くないかな。俺はそのサイトにログインし、小説を書こうとする。が、ピーンポーンと言う音が聞こえた。俺の家に訪ねる奴なんて、物好きにもほどがあるんじゃないか?俺は怠そうに立ち上がり玄関へ向かう。覗き口から覗くと警察の格好をした男性2人組みがいた。・・・多分俺が考えている事は高確率で当たっているだろう。

俺はゆっくりと玄関の扉を開けた。

「あ、どうも警察のものです。先ほどここから500メートルほどの距離で事故が起きたんです」

「は、はぁ・・・」

「それで男性の方が小さなお子様の代わりに跳ねられたと伺いましたがその人物があなたと似ているんですが、違いますか?」

「そんな事があったんですね。もし俺だとしてもおかしくないですか?トラックに跳ねられたとしたらこんな風に立てれないはずじゃないんですか?」

警察は何かをメモしながら俺の話を聞いていた。正直、さっさと帰ってほしいのが真意だがここは黙っておく。

「そうですか。貴重なお時間を分けていただき感謝します。」

以外にも速く終わった。

「あ、いえ。別に構いません」

俺はそう言って扉を閉めた。俺は人間であれば当たり前な事を言って警察を追い返した。玄関のそばで立っていると、玄関の外からも同じような説明をしているのが聴き取れた。一刻も早くこの騒動が収まってほしいと、そう願うばかりだ。

その後は特に何もする事がないのでパソコンと睨み合いながらも1日を終えていった。気づけば夕方。夕方になったから何か特別な用事があるわけでもない。強いていうなら学校からの連絡ぐらいだ。俺は少し早いが風呂にする。最近は良いことがない。期待はしていないが不幸の方が多い気がする。もう、明日は平凡に過ごせますように・・・。なんて神様に祈っても俺は堕とされるだろうなw

その後は風呂から上がり眠りについた。

リアルでも色々忙しかったんです。と言うただの言い訳だ…

まぁ気分が向かなかったのもありますがこれは不定期です。もう見てる人いるかは知らないけどw

今回は弟さんの影と小さな男の子の影が重なり咄嗟に動いてしまった。そのせいで車に跳ねられてしまったがすぐにその場を去る。と言った場面でしたね。これが失踪しないよう頑張りたいです(願望

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ