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一話「過去」

俺は屋上から教室へと向かう。この学校は屋上合わせて5階建てになっており上から1学年、2学年、3学年、職員室となっている。腕時計を確認し少し急ぎながら歩く。残り4分で授業が始まる。俺は極力目立ちたくない。誰とも関わりたくないし関わろうとは思わない。ただ静かな毎日を過ごすため今まで年齢を偽り転々と学校を移動してきた。人間なんて信用してもいつかは裏切るものだ。今までで何回か見てきた。と、そろそろ教室だな。俺の席は窓側の列の一番後ろ。俺が一番好きなポジションだ。俺は黙ってその席に着き時間になるまで小説を読もうと机を探す…が、ない。鞄の中に入れた覚えはないし持ち出した覚えもない…。

「これを探しているのかな?w」

こいつは水本美穂。翔平と同じくムードメーカーだ。その手には俺の持っている小説が掴みあげられヒラヒラと振って見せた。…ハッキリ言おう、ウザい。見た目は薄い紫の髪が腰まで伸びている。目は珍しい紫色。俺が言えたものではないが…。俺にとって元気な奴ほど面倒なものはないと言えるだろう。そのぐらい邪魔で嫌いだ。

「なんでお前が持っているんだ」

俺は機嫌が悪そうに(まぁ悪いのだが)言うがいつもの対応がこんな感じだ。美穂はニヤニヤしながら勝ち誇ったような表情だ。

「ほらほら、取り返さなくて良いの?w」

俺は確信した。こいつ、絶対人間を煽るプロになれる。俺は溜息をつきながらチラッと腕時計を確認する。残り1分でチャイムがなる。俺は次の授業の準備をするため日程表を見る。次の授業は…国語か。

「ほら早く席につかないと国語の先生に怒られるぞ?」

国語、と言う言葉に美穂はピクリと反応した。こいつの苦手科目の1つだ。

「え、あ、うん!分かった!これ返す!」

美穂は慌てて自分の席へと急ぐ。その際に持っていた小説をこちらへ向かって軽く投げつける。物は大切に扱えよ。でもまぁ相当苦手なんだろうな、あの反応から見て教師も苦手か。俺は慌てて席についている美穂を視界から外し窓の奥にある空を眺める。

「起立!」

クラスの誰かが全体に号令をかける。俺は面倒臭そうに立ち前を向く。

「気をつけ、礼!着席」

元気のいいことだな。俺はゆっくり座り教科書とノートを開いた。教科書は見れば大体の内容なら分かるしノートは黒板に書かれている事を写せば問題ない。俺はいつもの様に考え事をする。暇つぶし程度にはなる。

なぜ、俺が不老不死者になったのか…。それは俺がしてはいけない事を犯してしまったからだ。ここで少し昔話でもしようか。俺にも勿論家族がいた。両親は戦争に出され俺には弟が1人いた。だけどその弟は空爆により亡くなった。まぁその時は確か16歳だったと思う。俺の心を砕くには充分なほどだった。両親もいない、弟も失くした。そこで俺は小さい頃に本で見ていた物を地表に描き自らの血をその中心に垂らした。まぁ俗に言う召喚術だ。ダメ元だったが血が地面と触れると同時にその場が赤色に光りだした。するとその場から何かが出てきた。そいつはこう言った、『取り引きをしよう』当時の俺はそれを受け入れた。が、それが間違いだった。悪魔が手に入れたものは分からない。だけど俺は死ねない身体を持ってしまった。何度も自殺を試みた。溺水、投身、焼身…他にも色々やったがどれも失敗。俺はそこで理解した、もう人間には戻れないと…。人間とは何か。生と死を持ち支えあう生き物だと俺は思う。ならば生と死を持たない俺はなんだ?少なくとも人間とは呼べない生物になってしまった。その後は色々あって今になる。もう感情は掠れてしまっていると思う。

と、そろそろ時間だな。腕時計を確認すると授業の終わり5分前、俺はペンを手に取り黒板をノートに書き写した。書き終わると同時にチャイムがなる。号令がかかり席を立ち礼をする。この動作を何回した事やら、飽きてきたな。俺は背伸びをし、次の授業を確認しようとしたが、バンッと勢いよく後ろの扉が開けられた。

「おい、裕翔ぉ!」

俺の名前を大声で叫びながら入ってきたのは翔平だった。なんで怒っているのかは心当たりがあるが喚き散らすのはやめていただきたい。非常に不快だ。不快すぎて仕方がない、俺は席を立ち翔平を無視して廊下に出た。正直に言えば授業をサボって目立ちたくはないがそれ以上にあそこで喚き散らされるのはゴメンだ。俺が向かった場所は屋上だ。授業が始まるまで残り5分だが気にせず屋上へ向かう。後ろから何か聞こえるが無視をするのが得策だろう。少しすると声も聞こえなくなった。俺は屋上の扉を開けいつもの屋根の所で昼寝をする。昼寝を初めて大体10分後、誰かが入ってきた。こんな時間にここにくる奴がいたのか。ここは一応頭がいい奴が来る公立の高校だ。なので俺みたいに授業をサボる奴なんかいるわけないだろうと思ったが…。俺は瞼を少しだけ開け入ってきた人物を確認する。

はいどうも堕天使です!

いやぁ裕翔君はボッチが好きなようでwまぁ仕方ないよね!不老不死者になってしまったんだもの。

と、ここまでにしておいて…。今回は裕翔君の過去が主な話でしたね〜、生と死があるからこその生き物。だけどその生と死の片方が無くなってしまえば生き物では無くなるのか?と言う哲学っぽい事を考えて見たりw

さて、次回はどうなるのかな?

堕天使

不幸続きがお送りしました

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