トリオ 30
プロフィールを作る時、名前などの基本的な事の他に、好きな色や好きな食べ物と言った好み、それと“100万あったら何に使う?”と言った質問のような項目があったりする。
そんな質問に “自分を動物に例えると?”がある。
俺は自分をズット“猫”だと思っていたし、実際に猫と書いた事があるのだが、毛むくじゃら曰く、少し違っているらしい。
俺を“目付きの悪い猫”と言ったのは何処の誰だ?
まぁ、それから随分と経ったのだから印象が変わったのかも知れない。
「じゃあ、何?」
尋ねてみると1代目も興味を持ったらしく近付いてきた。すると毛むくじゃらは1代目の顔を少し眺め、
「1代目は犬やな」
と断言した。
「え!?どの辺りがですか!?」
異論を唱えたのは1代目本人。しかし、俺も犬だと思っていたので、
「人懐っこい所」
と、説明した。
毛むくじゃらはニヤリと笑いながら頷いている。
「それなら毛むさんの方が犬っぽいじゃないですか」
グッと顔を近付けてくる1代目は、結構真剣に講義をしてくるのだが、そう言う行動も含めて全てが犬っぽい。
「1代目は子犬で、こっちは……狼かな」
1代目が無邪気な感じなのに対して毛むくじゃらは厳しくて、優しい。
「え!?1匹狼ってイメージないやろ?」
そんな格好良さげなイメージを持ってたまるか!
「狼って群れで生活してるやん?子供の面倒もよく見るらしいで」
要するに、親父っぽいと言う事だ。
「……誰が子供ですか!」
1代目のツッコミに笑っている俺を見ている毛むくじゃら、どうやらまだ何の動物かを考えているようだ。
ん~~~。と1回長く唸った毛むくじゃらは、自分で何か納得したのかウンウンと頷いてから、
「狐やな」
と、謎に満ちた答えを発表した。