俺 16
カランカラ~ン♪
お客さんが来た。
2人組のお客さんは、高身長でキリリと凛々しい男性と、男性よりも頭1つ分ほど身長の低くておっとりとした雰囲気の女性。
2人は店をゆったりと歩くと、店内の中央にあるテーブルに座った。
とても絵になるからなのか、店内にいた他のお客さん達も2人を見ては「お似合い」などと呟いている。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
少し時間を置いてから先輩が注文をとりに行くと、
「ブレンドと、コーヒーフロート」
と、男性が2人分の注文をした。
注文をマスターに告げ、出来上がった品を先輩がテーブルに運ぶ。
「お待たせいたしました」
そう言ってブレンドを男性の前に、コーヒーフロートを女性の前に。
軽く礼をした先輩が籍を離れた時、男性は微かな笑みを浮かべながらブレンドをコーヒーフロートの位置を交換した。
「そっち!?」「そっちだったの!?」
周りのお客さんは2人に注目していたので、そう思わずツッコミをいれたのだった……。
「フフ……」
ありがちな話だと思う程、似たような内容の物語は何度か目にした事がある。
しかし、実際喫茶店で働いていると、これは決して「ありがちな事」ではなく、寧ろ「ありえない事」なのだ。
カランカラーン♪
お客さんが来た。
2人組のお客さんは、高身長でキリリと凛々しい男性と、男性よりも頭1つ分ほど身長の低くておっとりとした雰囲気の女性。
2人は店をゆったりと歩くと、店内の中央にあるテーブルに座った。
他のお客さんは個々の時間を楽しんでいるので、カップルが来たな、と思いはしても、目で追うような人はいない。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか?」
少し時間を置いてから先輩が注文をとりに行くと、
「ブレンドと、コーヒーフロート」
と、男性が2人分の注文をした。
注文をマスターに告げ、出来上がった品を先輩がテーブルに運ぶ。
「お待たせいたしました。ブレンドのお客様は?」
軽く女性が自己主張すると、先輩はブレンドを女性の前にセットし、
「お待たせいたしました」
と、男性の前にコーヒーフロートを置いた。
これぞ日常!