表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/100

トリオ 27

 朝、目が覚めてリビングに向かうと、毛むくじゃらが立っていた。

 俺に背を向けている格好だから、きっと「おはよう」と急に声をかけるとビックリさせる事が出来るのだろうが、寝起きで怒られるのは嫌だったので、存在を知らせる為に肩を叩いた。

 「おはよ」

 何をしているのだろう?と手元を見てみると、2人分の食器の片付けをしていたようだ。

 朝の挨拶も返してくれない毛むくじゃらは、ピタリと動きを止めている。そして数秒後、食器洗いのスポンジを横に置き、泡だらけの手も気にせずにその場にしゃがみ込んでしまった。

 「もー!」

 え?

 「もしかして……ビックリした?」

 「マジでやめて。マジで!心臓止まるかと思ったわ!」

 そんなに!?

 「ちゃんと肩叩いたやん」

 「あのなぁ。誰もおらんと思ってる所で急に叩かれてみ?誰でもビックリするわ!」

 あ、確かに……でも、俺は別にビックリさせようと思ってたんじゃなくて、普通に歩いてきただけ。しかもなに?誰でもビックリするって言い切ってさ。そんなの……確かめてみたくなるじゃないか。

 と、言う事で一旦自室に戻り、1代目がトイレから出てくるのを待った。

 ジャァー。

 水を流す音がして、

 ガチャ、バタン。

 出てきた。そしてパチンと電気を消す音がして、足音。1代目は自室に向かったようだ。

 トコトコと頭の中だけで言いながら1代目の後を追いかけ、自室のドアに手をかけた1代目の肩をポン。

 ビクッと跳ねる。とはこの事だろうか。ピンと背筋が伸び、そして数秒間の沈黙。

 「おはよ」

 声をかけてみると、ゆっくりと振り返ってきた1代目は、そこでようやく、

 「ビックリしたぁ~……ビックリしたぁ!」

 と、声を上げた。

 やっぱり、突然叩かれたらビックリするのか……って、当たり前だ。

 だったら次なる実験。

 「同じようにして毛むくじゃらをビックリさせてみ」

 ビックリさせる相手が誰であろうとも、ビックリするのかどうか。

 1代目は笑いを堪えながらゆっくり、ゆっくりと足音をたてないように歩いてリビングに向かって行く。

 リビングではまだ食器の片付けをしている毛むくじゃら。カチャン、カチャンと食器の音がしているので多少の足音ならたてても大丈夫そうだ。

 笑いを堪える1代目は、更にソロリソロリと歩いて進み、終にリビングの中へ!

 ポン。

 肩に手を置いた。すると毛むくじゃらは、

 「SINに飯いるか聞いてきて」

 と。

 ビックリする所か普段通り過ぎて、逆に俺がビックリしたわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ