毛むくじゃら 2
正月休みだと言うので、俺はいつもより早めに毛むくじゃらと1代目の家に向かって自転車を走らせた。
いつもは6時半頃なのに、今日は5時ちょっと過ぎ。
本当ならもっと早めに行っても良かったのだろうけど、寝落ちてしまっていた。
ピンポーン♪
押してスグに聞こえる足音と、はいはいはいとの掛け声。これは間違いなく毛むくじゃらだ。
部屋に入り、新年の挨拶などを少々。
「あけおめ」
と言えば、
「ことよろ」
と返ってくる。
今年も息ピッタリだ!
挨拶が終わった所で、持参した数々のお菓子をテーブルに広げる。これらは姉達が来た時の為に蓄えていた食料なのだが、姉が1人来なかったと言うだけで余ってしまったお菓子であったり、餅であったり。
「なんか食べる?」
と言えば、
「なんか飲む?」
と返ってくる。
こうして軽く飲み会を始めたのだが、一向に1代目が出てこない。
何かあったのだろうか?と尋ねると、どうやら1代目は学生時代の友達何人かで初詣に行ったらしい。しかも隣の県まで。
帰りの電車は非常に混雑する事が予想される。と言う事は帰って来るのはもっと遅くなるか、それとも泊まってくるかのどっちかだろう。
久しぶりにノンビリと2人。
いつもは1代目の目があるから押さえていた……年上なのだからと、これでもしっかりとしていたつもりだ。
でも、今は俺達しかいない。
俺は持っていたチューハイの缶をテーブルに置くと毛むくじゃらの隣に座り込み、
「初ドーン!」
と言いながらタックルした。
「うぉっ!んじゃ初笑い!」
今度は毛むくじゃらからのくすぐり攻撃を受ける。
全力でアフォな年長組の正月は、こうして過ぎてゆくのでした。