1代目 14
毎回恒例となっている1代目による“笑わせて”は、1回の居候につき2回ある。
1回は昼寝の時と、もう1回は夜に寝る前。
何故こんな事で笑うのだろう?と疑問になるほど良く笑う1代目だが、1度だけ手こずった事がある。
それは“笑わせて”ルールが出来上がって間もない頃の事。
眠たくなって寝転んでから笑わせられる話を考えるより、笑い話をいくつか用意していけば楽なんじゃないか?と思った事が切欠で、俺は外出前に“意味が分かると面白い話”と言うサイトを見て、とある話を丸暗記したのだった。
「笑わせてください!」
ソファーに寝転がるとやってきた1代目に、用意していたその話を意気揚々と聞かせたのだが、1代目の顔は笑う所か、多少渋い。
「……いまいちですか……」
「それ笑い話なんですか?」
何処となく申し訳なさそうにも見える。
「意味が分かると面白い話ですよ……今日調べて、色々見たんです」
「わざわざ調べて、選りすぐったんですか?」
「覚えられそうな短い話が中々なかったんです」
「選ぶ基準そこですか!?」
つっ込んだ後に笑う癖を持っている1代目。それなのに、全く笑う気配がないので、大人しく仕切り直す事にした。
「……じゃあ、いきますよ」
「あ、はい!」
「絶対に笑わないでください」
「はい!」
「昔々ある所に、お爺さんと、お爺さんと、お爺さんがいまし……」
「お爺さん大量発生!」
何故これで笑えるのだろう……。